(令和6年度 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究) 独居認知症高齢者等の地域での暮らしを安定化・永続化するための研究 「分譲マンションにおける要配慮者災害対応マニュアル」
発行元:マンションみらい価値研究所
テーマ:マンションの要配慮者が、(在宅避難を含む)避難生活を適切に行い、必要な支援を受けるためのマニュアル
発行日:2025/05/29
公開日:2025/08/06

大塚 理加
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
田中 昌樹
大和ライフネクスト株式会社 マンションみらい価値研究所
王尾 和寿
株式会社 中央地学
粟田 主一
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
2024年、マンションみらい価値研究所は、国立研究開発法人防災科学技術研究所に協力し、マンションの管理員に対するアンケート調査(以下「本調査」とする)を実施し、災害時の要配慮者の有無や災害時要配慮者名簿の有無などを明らかにした。また、本調査の結果に基づいた「分譲マンションにおける要配慮者災害対応マニュアル」を作成した。
1.災害時に配慮を要する方の居住有無について
(1)災害時に配慮を要する方は多様であり、以下はその例である。
①高齢者(避難時の行動に配慮を要する場合)
②高齢者(認知機能の衰えが見られ、配慮を要する場合)
③肢体不自由の人(障害のある方)
④目の不自由な人(障害のある方)
⑤聴覚・音声言語障害のある人(障害のある方)
⑥知的障害のある人(障害のある方)
⑦内部障害のある人・難病患者・医療機器を使用中の人(障害のある方)
⑧妊娠中の人(出産後からまもなく避難行動が困難な場合を含む)
⑨乳幼児・児童
⑩外国人で日本語に不慣れなど避難行動が困難な方
⑪その他
(2)災害時に配慮を要する方の有無を把握するため、下記のいずれかに該当する居住者の人数について管理員にアンケートを実施した。
① 独居高齢者、高齢者のみでお住まいの方
② 妊娠中の方、乳幼児の養育者、乳幼児・児童、外国人で日本語の理解が困難な方
③ 知的障害がある方、精神疾患がある(と思われる)方、意思疎通が難しい方、認知症と思われる方
④ 歩行機能に障害がある方、目の不自由な方、聴覚に障害がある方
⑤ 要支援・要介護高齢者、訪問医療・看護・介護を受けている方、医療機器を利用している方、寝たきりの方
アンケート結果は以下の通りとなった。

「独居高齢者・高齢者のみでお住まいの方」が「いる」と回答した割合は80%を超え、その他の要配慮者についても「いる」の回答が多い結果となった。このことから、多くの分譲マンションでは災害時に配慮を要する方が居住していると推測される。
2. 要配慮者名簿について
(1)要配慮者名簿の作成状況について、管理員にアンケートを実施した。

分譲マンションにおいて災害時要配慮者名簿を作成している割合は10.4%となった。災害時要配慮者名簿は、災害時に要配慮者への適切な対応を行うために必要となる。すでに約1割の分譲マンションで、要配慮者を考慮した取り組みが始まっていると考えられる。
3. 「分譲マンションにおける要配慮者災害対応マニュアル」について
本調査結果をふまえ、災害時要配慮者への災害対応を促進するため、管理組合向けに「要配慮者災害対応マニュアル」を国立研究開発法人防災科学技術研究所が作成し、当社も協力した。本マニュアルでは、マンションの管理組合が災害対策の主な担い手となる前提のもと、管理組合としての進め方を詳細に説明。さらに、支援を行う人の負担やリスクにも配慮した内容となっている。
研究名
(厚生労働科学研究(認知症政策研究事業)(課題番号22GB1003))
「独居認知症高齢者等の地域での暮らしを安定化・永続化するための研究」
執筆者
大塚 理加
国立研究開発法人 防災科学技術研究所 社会防災研究領域災害過程研究部門 契約研究員 社会防災研究領域総合防災情報センター情報統合運用室
執筆者
田中 昌樹
マンションみらい価値研究所研究員。一般社団法人マンション管理業協会出向中。現在は、マンションみらい価値研究所にて、防災・減災に関する統計データの活用や居住者の高齢化や災害の激甚化などの社会的な課題について、調査研究や解決策の検討を行っている。
執筆者
王尾 和寿
株式会社 中央地学 代表取締役社長
執筆者
粟田 主一
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 認知症未来社会創造センター センター長 山形大学卒。 専門領域:老年精神医学 所属学会:日本認知症学会副理事長 日本老年精神医学会理事 日本認知症ケア学会理事