マンションを取り巻く現状と未来
いま、マンションには住居の老朽化と居住者の高齢化という「二つの老い」に代表されるさまざまな課題が山積しています。
たとえば、組合員の高齢化に伴う諸課題(理事のなり手不足や認知症高齢者の増加)、高経年化に伴うマンション再生の困難さ(建替え決議や敷地売却決議、大幅なリノベーションなどの合意形成の不全)、管理組合財政の逼迫(駐車場の空きや管理費等の未収金、修繕積立金の不足)、近年多発している気象災害や切迫する巨大地震など災害への備えなどです。
マンションが多くの課題を抱えているにもかかわらず、それらに対するマンション所有者や居住者の関心は総じて低く、多くのマンション管理組合で将来どのようにしていくべきかといった根本的なことすら意見がまとまっていないのが現状です。分譲マンションは、社会インフラの一つとさえ言われている中、このまま何も対策を講じなければ、管理不全と呼ばれるマンションが日本中にあふれることになりかねません。
これまでマンション管理会社は情報の発信にあまり積極的ではありませんでした。マンション管理会社は古くから「クレーム産業」と呼ばれ、騒音や漏水などあらゆるトラブルを数多く経験してきています。それらには「負」の側面も含まれるため、情報発信はマンションの資産価値低下につながるとも言われてきました。
しかし、マンションが抱えるさまざまな課題は、管理会社だけでは決して解決することができません。マンションに関わるさまざまな人たちによって、解決策を考える必要があるのです。
マンションみらい価値研究所は、マンションに住むみなさまの水先案内人となり、明るいみらいに導いていきます。
マンションみらい価値創造宣言
私たちは、
- 企業活動を通じて得られたデータや知見を調査分析し、研究報告書やレポート、コラムなどを通して広く社会に向けて情報発信をします。
- 志を共にする皆が集まり、検討する場をつくります。
- みなさまと協力し、将来の分譲マンション全体の価値創造に貢献し、新たな未来を発見することを目指します。
マンションみらい価値研究所一同
所長よりメッセージ
久保 依子
マンション管理士、防災士。不動産会社での新築マンション販売、仲介業を経て、大和ライフネクストへ転籍。マンションフロント担当、賃貸管理担当などを経験したのち、新築管理設計や事業統括部門の責任者を歴任。一般社団法人マンション管理業協会業務法制委員会委員を務める。著書『マンションの未来は住む人で決まる』が第15回不動産協会賞を受賞。
マンションはコンクリートの塊ではありません。そこに住む人々の生活があり、人生があります。マンションを考えるうえでは、物理的な建物としての機能のほか、そこに暮らす人の生活もあわせて思い描く必要があります。これは、管理会社である私たちが取組むべきことなのです。私たちはマンションと共に歩んでまいりました。この経験を活かし、管理組合をはじめ、管理会社、専門家のみなさんなどマンションに関わるすべてのステークホルダーの方々と共に課題解決に向けて努力してまいります。
研究員紹介
- 大橋 正和
- 小木 雪子
- 上浦 由樹子
- 久保田 麻記子
- 剱持 くるみ
- 田中 昌樹
- (五十音順)