論文

マンションにおいて「2つの老い」が進行するとともに、直近では建設コスト等の高騰から、将来的な修繕費用が上振れし、区分所有者の経済的負担が従来以上に大きくなる可能性が出てきている。三菱UFJリサーチ＆コンサルティングとマンションみらい価値研究所は、国土交通省「マンション管理適正化・再生推進事業（課題の解決に向けた事例の収集・分析等を行う事業）」を通じ、 段階増額積立方式における修繕積立金の引き上げの実態や管理組合における合意形成の状況を把握するための調査・分析を実施し、レポートとしてとりまとめた。

「マンションは管理を買え」と言われて久しいが、「管理」の研究は依然として少ない。本稿では、①各年度の管理組合活動や点検・清掃、 ②中長期的に実施する大規模修繕工事と市場価値の関連を多面的に研究した。 ＜主な成果＞ ①日常的な管理運営の質は、市場価値を上げる可能性があることが明らかになった。 ②適正な積立金が設定され、計画通りに適切な修繕が実施されていることは、市場価値が高まる可能性があることが明らかになった。

タワーマンションは、バブル崩壊後の都心回帰や都市政策を背景に、特に2000年以降に、再開発事業等により全国に約1,400棟が供給され、眺望や日当たりの良さ、多様な共用施設、商業施設の利用のしやすさなどから人気を集めてきた。 本レポートでは、大和ライフネクストが管理受託する95棟のデータを用いて、従来は分析の対象とならなかったタワーマンションの居住実態や建物・設備の管理状況、管理組合の運営実態等を分析した。