2024/10/10
第22回 マンションみらい価値研究所セミナー 「創業73年!老舗不動産会社3代目社長が語る『本当に正しい不動産情報とは』」
9月19日(木)、第22回となるオンラインセミナーを開催。今回はゲストに株式会社菊屋橋不動産代表取締役 中瀬拓也氏を迎え、「創業73年老舗不動産3代目社長が語る『本当に正しい不動産情報とは』」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。宅建にまつわる豆知識や、不動産会社にて「お客様によく聞かれる質問」やその回答例、アメリカでの不動産取引の特徴など、バラエティ豊かに「本当に正しい不動産情報」を得るための参考情報をご案内した。<ゲストPROFILE>中瀬拓也氏 株式会社菊屋橋不動産代表取締役1983年、下町浅草にて不動産屋を営む家庭に生まれる。物心ついた頃には不動産屋の店舗の床で遊び、間取り図面を塗り絵にして遊ぶ。小学校の卒業文集にて「(楽そうなので)不動産屋を継ぐ」と意思表明。2006年、不動産管理会社へ入社し、分譲マンション管理部門、賃貸マンション管理・売買部門を経て株式会社菊屋橋不動産へ入社。2018年に代表取締役に就任。
2024/09/13
第21回 マンションみらい価値研究所セミナー 「シニアのための分譲マンション事業から学ぶ、高齢者のライフスタイル」
8月22日(木)、第21回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに株式会社コスモスイニシア ウェルデザイン事業部事業企画部 部長兼アクティブシニア研究所 所長の森本恵里氏を迎え、「シニアのための分譲マンション事業から学ぶ、高齢者のライフスタイル」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。「シニア」という言葉は、いわゆる「後期高齢者」を指すニュアンスで用いられるが、たとえば「シニア向けマンション」という使い方をした場合、ターゲットが要介護者なのか自立生活者なのかによってニーズがまったく変わってくる。森本氏は、分譲マンションの営業・マーケティングなどを経て、現在は「アクティブシニア」(自立生活者)に向けた分譲マンション企画に携わっているという。対談は、高齢化社会を快適に生き抜く住環境とは何かという観点で行われた。<ゲストPROFILE>森本恵里氏株式会社コスモスイニシア ウェルデザイン事業部事業企画部 部長 兼 アクティブシニア研究所 所長新築分譲マンションの営業、マーケティング、商品企画、セールスプロモーションなどを経て、2020年からシニア事業部(現:ウェルデザイン事業部)にてアクティブシニアのための分譲マンションやセカンドニーズ向けリゾートマンションの企画に携わる。入居者向けサービスの企画やマンション管理組合運営を行う「コスモスライフサポート」も兼務。まずはじめにゲストの森本氏が、自社で扱うアクティブシニア向けの分譲マンション『イニシアグランシリーズ』を紹介した。提供するサービスの要素として、①安心のためのサービス ②健康寿命延伸(フレイル防止)のサービス ③快適な暮らしのためのサービス ④多世代交流やボランティア参加機会などの創出 を挙げた。特筆すべきは、安心のためのサービス。緊急コールボタンからの発報による24時間365日の「緊急駆けつけ」、日々の声掛けやICT技術によって孤独死などの早期発見につなげる「見守り」、さらには医療や介護などとの連携のハブを担う機能など、高齢になれば誰しも抱える不安をさまざまな角度でサポートする点だ。森本氏がサービスの紹介をしている中で、聞き慣れない言葉「フレイル」に疑問を持った久保がその意味を問う。「フレイルとは何か?」 これに対し森本氏は「加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに脆弱になった状態のこと」を表すと回答。 『イニシアグランシリーズ』では、健康寿命延伸(フレイル防止)のために大事にしているサービスが3つあるという。一つ目は「社会参加サポート」で、居住者が社会から孤立してしまわないよう、居住者同士に加えスタッフや地域の方々との交流を図るというもの。二つ目は「運動サポート」で、毎朝のラジオ体操や日常的に体を動かせる場所と指導を提供する。三つ目は「栄養サポート」で、毎日の夕食で管理栄養士が考案する減塩メニューなどを提供する。さらに「フロントサービス」では、タクシーの手配・クリーニングの取次ぎといったこれまでのコンシェルジュ業務に加え、「食事を部屋までデリバリーする」というシニア向けならではのものが付け加えられている。また、娘や息子に気軽に聞くような感覚で使用できる「生活相談」のサービスもシニア向けならでは。たとえば「テレビを買ったのに映らない」「知らない人からメールがきた」など、誰に相談したらいいかわからない日常の不憫さも丁寧に吸い上げて対応するというものだ。フレイルの問題について、国や自治体も積極的に働きかけを行っているが、高齢者が自ら応募して公共施設まで足を運び、知らぬ仲間と趣味や運動に取り組むというのにはハードルもある。それが住み慣れた環境で知った仲間とできるのであれば、ハードルは一気に下がる。その一連の説明を受け久保は、「マンションの中だけに留まらず、社会の中にあるマンションという位置づけでシニアの分譲マンションを考えていることが素晴らしい」とコメント。一方で、久保が「シニア向けのビジネスには課題もあると思うが」と問うと、森本氏は「課題はたくさんある。例えば、シニアの中での世代ごとの価値観のギャップなど。ただ、当社の取り組みは評価いただいている点も多くあるので、そういった点は突き進んでいきたい。今後も時代とともに新たな課題が見えてくると思う」と答え、 コスモスイニシアの考えるシニア向けサービスの根幹は「地域の課題解決」✕「居住者のフレイル防止」✕「居住者のやりがい機会の創出」であるとした。高齢化が進む今の社会。「住まい」が「ライフスタイル=健康寿命」の鍵になる時代になったと言えるかもしれない。次回は9月19日(木)16:00から「創業73年!老舗不動産会社3代目社長が語る『本当に正しい不動産情報とは』」と題し配信を予定している。
2024/09/04
第20回 マンションみらい価値研究所セミナー 「住民主体のエリアマネジメント 〜戸建て住宅地から学ぶマンションのこれから〜」
7月25日(木)、第20回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに株式会社プレイスメイキング研究所・代表取締役の温井達也(ぬくいたつや)氏をお招きし、「住民主体のエリアマネジメント〜戸建て住宅地から学ぶマンションのこれから〜」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。ゲストの温井氏は、マンションと同じような管理組合を組成する戸建て住宅地を企画し、分譲後の運営サポートを実施している。マンションと戸建ては、対比され、よく比較対象となる。今回は、マンションと戸建て、双方の視点からより良いマネジメントについて対談した。<ゲストPROFILE>温井達也 株式会社プレイスメイキング研究所 代表取締役 社長筑波大学芸術修士課程、環境デザイン修士課程在学中に筑波大学発のベンチャー企業として株式会社プレイスメイキング研究所を設立。大学卒業後に大手ハウスメーカーに就職。その後筑波大学人間総合科学研究科にて、アメリカの戸建て団地のマネジメントについて研究。計画的戸建て住宅地の新築時の企画・計画コンサルティングや竣工後の管理組合の運営に関わるなど、実務と研究の両面に取り組む。これまでに100ヶ所以上の管理組合立ち上げと、1000戸超の運営支援を行っている。冒頭で所長の久保は「戸建住宅にも管理組合があるというのをご存知でしょうか?実は戸建て住宅地でも管理組合を作り、管理費を集め、まちづくりをしているという事例があります。皆さんと同じように理事会や総会を開催したりしているのです」と視聴者に語りかける。それを手掛けているのが、ゲストの温井氏だ。まず、温井氏が現在の活動をするようになったきっかけについて、7年間のハウスメーカー勤務時代に、ハウスメーカー数社の住宅展示場の企画に携わった経験が大きかったという。「当時勤務していたときは、各ハウスメーカー同士はライバル関係であるという認識でいたが、他のハウスメーカーの技術者から『家づくりだけではなく、まちづくりなんだ』と教えられ、意識が変わった」と語る。ハウスメーカーを退職後、一念発起で筑波大学在学時代の恩師がいる大学院で再び学ぶことを選択し、アメリカの住宅事情を研究したという。そこで知ったのが「ホームオーナーズ・アソシエーション(HOA)」。戸建て住宅においても分譲マンションと同じような管理組合を作り、マネジメントを行うシステムだ。アメリカで先進的な住宅団地の現地調査をした際、戸建て住宅地の景観も資産価値であるという考えが印象的だったと語る。温井氏が海外研究を始めた当時、今から約20年ほど前の日本ではまだそのような考えには行き着いておらず、ましてや戸建て住宅地のマネジメントなど考えられていない時代だった。これは日本でもやるべきだと考えた温井氏は、これまで研究してきたことを実践するために起業した。社名である「プレイスメイキング」は、和訳すると「居場所作り」。研究を通じて得られた知見をもとに、本格的にまちづくりに乗り出した。よって起業の真意は、管理会社を目指したのではなく、人々の居場所作りの仕組みを構築することだったと付け加えた。当時開業され、運行が始まった「つくばエクスプレス」の沿線開発に合わせ、つくば市周辺の住宅地開発から事業をスタートした。温井氏の会社である「株式会社プレイスメイキング研究所」は、現在も茨城県つくば市に所在する。起業直後は、順風満帆なスタートとはいかなかったと温井氏は語る。「戸建て住宅で管理費を徴収する」ということが当時は理解されなかった。美観を維持したり、資産価値を守るためには、共用物を持つ管理組合を結成し、協定を締結することが有益であると訴え続けた。その活動拠点に「つくば市」を選んだことは好機に働く。このエリアは「つくば学園都市」として知られ、研究者や大手メーカー勤務者が多く住むことから、アメリカで学んだ先進的な考え方の取り入れにも柔軟だったそうだ。また、つくば市で戸建て団地の開発において、集会室の設置が求められたことも追い風になったという。2009年の「日本型HOA推進協会」の調査でも、「住宅地を選ぶ際、もっとも重視した点は?」の問いに対し、1位は通勤・通学の交通の便利さであり、2位は景観や街の雰囲気が挙がっている。日本の戸建て団地は年数を経ると、樹木が塀にされたりして、街並みが壊れていくことが多い。所有者全員から構成される管理組合は、美観を維持し、資産価値を守るために、戸建て団地でも有効であることを実感した。ここで久保が「戸建ての管理組合方式は、既存の戸建て住宅でも導入できるのか?」と問うと、「実際それは難しい」という。やはり戸建て住宅地の分譲時に「管理組合」の説明をし、納得してもらう必要があるといい、あとから管理組合の結成をすることは困難であると語った。また、久保から「マンションの第三者管理方式のようなものはあるのか?」の質問に対しては「現状なく、むしろその点を教えてほしいと思っている」と、開発途上であることも明かした。温井氏は、戸建て住宅地においても分譲マンションのような管理組合結成の必要性は「ある」とし、アメリカでは当たり前の住宅のマネジメントのメリットを、日本においても浸透させることに精力を傾けている。今後、日本の戸建て住宅地においても、管理組合を組成し、将来の姿を想定してマネジメントの仕組みをつくる取り組みは広がっていくことだろう。
2024/07/03
第19回 マンションみらい価値研究所セミナー「賃貸仲介の現場からひも解く入居者ニーズ〜マンションの管理状況は大事な判断基準〜」
6月13日(木)、第19回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストにアットホームラボ株式会社 執行役員の磐前淳子(いわさきじゅんこ)氏を迎え、「賃貸仲介の現場からひも解く入居者ニーズ〜マンションの管理状況は大事な判断基準〜」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。終の棲家と思われている分譲マンションだが、将来的に売却や賃貸に出すことを想定すれば、物件としての資産価値の維持や向上は必須だ。そうした観点から、賃貸仲介の現場におけるマーケットニーズを解説してもらった。<ゲストPROFILE>磐前淳子氏アットホームラボ株式会社 執行役員データマーケティング部 部長不動産情報サービス「アットホーム」に入社後、営業職・企画職に従事。2019年よりアットホームのAI開発・データ分析部門より独立した「アットホームラボ株式会社」の設立に伴い、現職に至る。不動産市場動向や業況の分析などを担当し、各種レポートの公表のほか、講演・執筆、メディア対応などを行う。セミナーの冒頭で磐前氏は、不動産業界は長いコロナ禍の停滞期を抜け活気が戻っているとしたうえで、賃貸住宅の家賃の推移について解説した。『地場の不動産仲介業における景況感調査』(23年10月〜12月期)によると、コロナの感染が拡大した2020年は過去最低の落ち込みを見せるも、行動制限が緩和されると業況は回復傾向となり、2024年に入るとコロナ禍前を上回る水準となった。顕著なのは東京23区の家賃高騰。今年頭から出足は好調で、いわゆる春の繁忙期はさらに好調感が増したという。特にファミリー向き物件が人気で品薄の状態となっており、実際にファミリー向き物件の家賃上昇は昨年の同じ時期に比べ5.8%、金額にして12,252円増加しているという(50㎡〜70㎡/221,940円 ※アットホーム調べ)。磐前氏によるとその主な理由は2つあり、一つ目は建築や維持管理にかかる諸費用の高騰、二つ目は分譲マンションの高騰による賃貸需要の増加とした。さらに、コロナ禍のリモートワークにより都心を離れた人たちを含む、都心への人口流入の回復も賃貸需要を後押ししていると補足した。コロナの5類移行後はその動向が著しく、経済活動の本格再開で職住近接の思考が高まっているそうだ。また磐前氏は「今年いっぱいは家賃の上昇が続く」と予想していると語る。その理由は「下がる要素が見当たらないから」とした。では、価値のある住まいの価格とはどうやって決まるのか。磐前氏は、駅徒歩分数や築年数といった“当然の需要”もさることながら、自然災害が多発している昨今においては、洪水被害リスクの指針となるハザードマップも重要であるという。興味深いのは、古地図で立地を確認するのも有効であるということ。大切にされる寺社仏閣などがあるエリアは、地盤や高台などの条件から災害に強い可能性が高いとした。これらの説明を受け当研究所所長の久保依子は、「賃貸全体の景気は良いが、すべての物件の価値が上がる訳ではない。消費者が何を欲しているのかを意識することが、マンションの資産価値向上につながるといえる」と語った。また磐前氏に対し「国土交通省による管理計画認定制度やマンション管理業協会によるマンション管理適正評価制度など、マンションの管理の状況を外部から見える化する試みが進められているが、こうした制度が資産価値に影響するのか」と問いかけると、「十分に影響する。アットホームグループでも消費者の方に対し、物件情報の中にそれらをわかりやすく表示することを心がけている」とした。次回セミナーは7月25日(水)16:00から「住民主体のエリアマネジメント、戸建て住宅地から学ぶマンションのこれから」と題し配信を予定している。
2024/06/12
第18回 マンションみらい価値研究所セミナー 「防災の根幹問題を理解し、何をすべきかを考える」
5月22日(水)、第18回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに東京大学生産技術研究所 教授 加藤孝明先生をお招きし、「防災の根幹問題を理解し、何をすべきか考える」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。今年の元旦に発生した「令和6年能登半島地震」や「熊本地震」、「糸魚川市の火災」など、日本で多発する災害に焦点をあて、マンションに住む人々が何をすべきかについて議論する対談形式で行われた。<ゲストPROFILE>加藤孝明東京大学生産技術研究所・教授東京大学社会科学研究所・特任教授都市計画、まちづくり、地域安全システム学、防災、復興準備を専門領域に、災害シミュレーション等の数理的・工学研究を行っている。また「防災【も】まちづくり」を提唱し、防災を基軸とした総合的な地域づくりを志向し研究活動・実践活動に取り組んでいる。携わった活動の受賞歴に、●防災まちづくり大賞総務大臣賞(葛飾区新小岩)●レジリエンスアワード2018グランプリ(伊豆市土肥)●国土交通省先進的街づくりシティコンペにて受賞(徳島県美波町伊座利集落)その他にも●日本建築学会奨励賞●地域安全学会論文賞●日本都市計画家協会楠本賞●都市住宅学会論説賞●地区防災計画学会論文賞●日本都市計画学会計画設計賞 等加藤教授は現在、東京大学内において理科系の「生産技術研究所」と文科系の「社会科学研究所」に所属し、多角的に防災を捉えながら、専門である都市計画やまちづくりの観点で防災を主軸とした地域づくり・暮らし方を研究・施行しているという。そんな加藤教授の講義を受けた久保が、第一声で「大きな災害が頻発している中、私たちも災害に対する向き合い方が進んでいると思いきや、『公助』でやってくれるべきだという間違った認識になっていた」とコメント。加えて「行政が災害を防げなかった際に謝罪会見をしているのも、当然のように思って見ていた」とも。これらの感想に、今回のセミナーにおける最も重要なポイントが詰まっているといえる。大規模震災が起きるとニュースでは、学校体育館などの避難施設に多くの人が収容されている映像や、炊き出し・給水・ボランティア活動の映像が流れ、多くは「公助」のシーンが多く採用されている。「被災しているのだから当たり前」という発想があるが、加藤教授はこれを「常識の中の非常識」という言葉を用い解説している。その一例として「被災したら被災地に留まって、不自由な被災生活を送る」ことももしかしたら常識の中の非常識であるかもしれない。また「被災者は被災者らしくという意識が働くこともあり、コンビニで水を買うことができても、ボランティアがせっかく運んでくれた水を有難そうにいただく」ことも常識の中の非常識であるかもしれない、と説明した。こうした視線を持って考えてほしいというのが加藤教授のメッセージであるのだが、対談の際に久保が「私たちマンション管理会社では、地震発生時に被害の状況や復旧時期の目安など、住民に知らせた方が良いと思われる情報を分かる範囲で掲示している」と紹介すると、加藤教授は「とても親切である一方で、行政と同じで管理会社に任せておけばなんとかしてくれるといった、『公助』があたり前だという錯覚が生まれる懸念もある」とコメント。そのうえで加藤教授は、住民が災害を自分事に捉えられるように「居住者のみんなで災害を頑張って乗り越えよう」というメッセージを追加したらよいのではないかと提案した。また、久保は自身の実体験として「趣味でサーフィンをしているが、サーファーは波に乗っていると地震に気付けない。なので、地面にいる人がサーファーに向かって「(地上へ)上がれ〜!」と声掛けする。それを受けたサーファーが次々大きな声で伝達し合うという仕組みになっている。実はこの伝達方法が、防災無線よりも早く海にいる人に届く」と解説。つまり、こうした自助ルールがコミュニティに文化として根付いていることこそが理想であるはずだと語った。災害のリスクを認識していながらも、思うように防災活動が進まないといった課題を抱えているマンションも多い。久保から「どのようなときに防災について考えるようになるのか」と質問すると、加藤教授は「(講義の中で)延焼運命共同体という話をしたが、マンションはまさしく運命共同体。電気が通らなくなればみんな電気が使えなくなるし、水が出ないとなればみんな水が使えなくなる。自分たちが同じ空間を共有する運命共同体であると認識することで、防災を考えるきっかけになる」とアドバイスをした。まとめとして加藤教授は「防災の根幹問題は、桁外れに大きい需要に対して桁外れに少ない資源しかないというアンバランスが原因。このバランスを是正していけば、災害を難なく乗り越えられるようになる」と述べ、やるべきことは「需要を減らす、資源を増やすという、この2つに尽きる」とした。次回は6月13日(木)16:00から「賃貸仲介の現場からひも解く入居者ニーズ〜マンションの管理状況は大事な判断基準〜」と題し配信を予定している。
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