令和元年度 「厚生労働科学研究(認知症政策研究事業)(課題番号19GB10001) 独居認知症高齢者等が安全・安心な暮らしを送れる環境づくりのための研究」 ~分譲マンションに暮らす高齢者の現状の推計と課題の検証~
発行元:マンションみらい価値研究所
テーマ:住居形態別の高齢者の居住状況の推計手法の検討
発行日:2020/03/01
公開日:2020/07/31

田中 昌樹
大和ライフネクスト株式会社 マンションみらい価値研究所
[研究目的]
超高齢社会の我が国では、地域における特性や多様な要素の把握し、連携をはかる必要がある。分譲マンションでは、外部から部屋内が見えなかったり、不動産を所有しており日常生活上などの困窮がつかみ難いなどから、社会福祉制度の手が届かないとの声が聞かれる。オートロック等に代表されるセキュリティの高さは、社会福祉支援を困難にしている側面もある。
本調査研究は、全国的な分譲マンションの独居高齢者数の推計を行うと共に、特定のエリアでより詳細な分析を行い、地域での課題を明らかにすることを目指した。さらに、医療機関や災害リスクなどのデータを加えて検証していくことによって、様々な主体が、課題の解決策に向けての取り組みを進展させることを期した。
[研究方法]
国勢調査などの統計データのみを用いる簡便な手法(「①センサスデータ評価法」とする。)を行った。さらに、国勢調査などの統計データに加えて、建物・分譲マンションに関する民間データを併用して用いる手法(「②ハイブリッドデータ評価法」とする。)を新たに考案し、それら2つの手法の比較も行った。
①センサスデータ評価法
国勢調査データ等を用い、地域別の分譲マンションに居住する世帯数・高齢者数、高齢単身世帯数、高齢夫婦のみの世帯数等を推定(報告書3章)
②ハイブリッドデータ評価法
国勢調査データと民間会社のデータを併用して、特定エリアの確度の高い推計値を得る(報告書4章)。災害リスクの地域分析や高齢者の現状分析などを行い、地域に暮らす高齢者の課題解決に向けた基礎的データを得る。
執筆者
田中 昌樹
マンションみらい価値研究所研究員。一般社団法人マンション管理業協会出向中。現在は、マンションみらい価値研究所にて、防災・減災に関する統計データの活用や居住者の高齢化や災害の激甚化などの社会的な課題について、調査研究や解決策の検討を行っている。