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2022/09/15
第2回 マンションみらい価値研究所セミナー 「管理計画認定制度が施行された!管理組合が絶対押さえておくべき重要ポイントとは」を開催
続きを読む8月末、管理計画認定制度をテーマにトークセッションが開催された。この日のゲストは、東京弁護士会の中でもマンション部会に所属している土屋賢司氏。この「マンション部会」とは、マンション管理士の資格を有する約40名のメンバーで構成されており、先の土屋氏も16年の弁護士生活の約半分はマンション管理士として活動。自身の業務も、マンション管理相談窓口の開設など約9割がマンションに関わる案件だという経歴の持ち主だ。 さて、本日のテーマとなっている「管理認定計画制度」の施行。その内容と、どのような期待がもたらされるのかと言った点でトークセッションが繰り広げられた。 まず、この制度に対してどのように思うか、という質問に対して口火を切ったのは土屋氏。「一言でいえば、マンション管理を公的に評価する、画期的なものだと思う」とまずは賛成の意思を示した。続けて「マンションは管理が大事というが、この制度をきっかけに、特に理事ではない“無関心層”といわれる人たちの意識付けのきっかけになればと期待する」と述べた。 そもそも、この制度施行の背景には何があったのか。そのおさらいを解説したのが、研究所所長・久保依子だが、開口一番「マンション管理適正化法が改正され、マンション管理計画認定制度が制定される、というニュースは最初しっくりくるものではなかった」と切り出す。その理由として「マンション管理適正化法は、マンション管理業者をしばる法律だという印象が強かった。重要事項説明や管理事務の報告、財産の分別管理など、マンション管理業者が守るべき条文が多い上、過去の改正はそれらをより厳しくするものであった」という。だが、「今回の適正化法の改正は、管理組合向けの制度の創設となっていた。国が管理組合の為にマンション管理適正化指針を定めている条文があり、今回の適正化法の改正は、管理業者をしばるものではなく、管理組合に向けた改正という点で過去の改正履歴とはずいぶんと違うものになっているように思う」と、久保も賛成の意志を表明した。久保がポイントとして挙げた2点を追記すると、「一つ目は管理不全または管理不全一歩手前のマンションには、指導、勧告、助言ができること。二つ目は、16項目の基準をクリアすれば国からマルがもらえること」だ。 土屋氏によると「認定する主体、つまり行政の立ち位置ががらりと変わった」ことが特徴だと語る。というのも、マンションという私的財産に行政が口を挟むのはお門違いだ、というスタンスを貫いてはいられなくなったのだという。それは「建物が老朽化して、外壁が通行人に危険を及ぼしたり、建物倒壊の危険などもある中で、行政が区分所有者に代わり建物を除却する必要が出てくることが想定できるから」。私的財産の範疇を超え、地域に被害をもたらす問題へと発展しかねないからだ。 今回の認定基準が修繕計画や修繕積立金など「修繕」に重きを置いているのはそのため。よって今回の改正でも、地方自治体ごとに適正化推進計画を策定することになっている。 「都道府県および市・区などの地方公共団体がマンション管理適正化推進計画を策定しなければ認定制度を行うことができない。しかし、推進計画の策定時期は全国一斉ではなく、マンション化率が低い地域などでは、策定しない地方公共団体もある。いずれにせよ推進計画策定後からのスタートということになる」と付け加えたのは、当研究所のメンバー。 その裏付けとなるデータとして、国土交通省が各地方公共団体に行ったアンケート調査によると、政令指定都市では令和4年度中にすべての計画が策定される見込みで、全国の都道府県では28%が不明であり、東京都区部でいえば、本年度中が61%、令和5年度までが87%と、約9割が策定見込みだという。 適正化推進計画が策定されたら、いざ認定制度の申請へと進められるようになるが、申請には総会決議が必要となる。総会での決議までに取り組むロードマップは以下の通り。 まずは理事会で、管理組合にとっての目的や意義、メリットなどを整理する。現状が認定取得可能な管理状態なのか、補完的に整備する項目があるのかを確認し、補完整備が必要なら、区分所有者や管理組合の負担などを精査する必要がある。 また土屋氏は、「マンション管理の適正化の推進を図る基本的な方針(R3年9月)の中に、管理組合に向けて発した『マンション管理適正化指針』がある。認定基準の大元のような指針内容であり、網羅性も高く大変優れている。ぜひ、みなさんも一読いただきたい」と意気込む。 今回の制定は、目標を達成させるべく、管理組合員全員が管理意識を高く持つことが狙い。達成できれば認定がおり、認定されているマンションとして市場で高く評価されるというモチベーションにつながっていく。その認定期間は5年であることから、5年毎にその最低限度の状態を確認していくことになる。 さらに認定のメリットについて土屋氏は「大きく分けて2つある。一つ目は、フラット35の利率やすまいる債の利率が優遇されること。しかし重要なのは二つ目。認定を目指して理事や住民の意識が変わり、その結果、認定を受けられるような管理が実現すること。つまり認定制度を通じて管理そのものが改善されていくこと」と解説した。 加えて久保は「永住志向の方には関係ないと思うかもしれないが、それは違う。建物は高経年化が進み、同時に社会は少子高齢化。さらに住宅余りの時代となっている。管理不全に陥ったマンションを相続した子孫は、売れない、貸せないという負の遺産に苦しむことになる。これからのマンションは、市場から居住価値を認められるかどうかが大きなポイントとなる」とした。 終の棲家とするも、投資用とするも、“活きたマンション”でなければ意味がない。そのためには、日頃の手入れ、計画的なテコ入れという「管理の質」がすべてを物語る。そうした意味でも、今回の管理計画認定制度の施行は、専門家・マンション管理業者はもちろん、分譲マンションに住む人・住もうとしている人、すべてに一石を投じ、大きく舵を切る可能性を秘めているといえる。 さまざまな観点からの議論がなされたところで、管理計画認定制度に関する押さえておくべき全体像をマインドマップ化。カテゴリー分けされた課題について、より専門的な見解を促した。 管理計画認定制度は、今後の動きに大きな期待と注目が集まっていることは間違いない。
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2022/07/01
多摩マンション管理組合連絡会 セミナー&インタビュー取材
続きを読む多摩ニュータウンとその周辺地域は、旧公団・公社の団地や民間マンションが集まった国内最大のマンション集積地です。「多摩マンション管理組合連絡会」は、地域の管理組合と専門家、そしてマンション管理の経験が豊富な住民有志の連携組織。知恵を出し合い、さまざまな学びや問題解決などの活動を積極的に行っています。 今回は、2022年4月17日、パルテノン多摩にて同連絡会が企画したセミナー後にインタビューを実施。マンションみらい価値研究所からの講演内容も含め概略をレポートします。 多摩マンション管理組合連絡会会長:二宮 正行 様副会長:西山 博之 様事務局長:橋口 房雄 様インタビュアー:マンションみらい価値研究所 大橋 正和 (以下、敬称略) 多摩マンション管理組合連絡会の活動内容 (インタビュアー 大橋)本日は、当研究所をお招きいただき、「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」というテーマでお話の機会を頂きました。ありがとうございます。インタビューの後半で、今日のセミナーの感想などもお聞かせいただければと思います。まずは、多摩マンション管理組合連絡会の活動内容やマンション管理の課題などをインタビューさせていただきます。 多摩ニュータウンは昭和40年頃に開発が始まり、すでに50年程の歴史があります。周辺のマンションも合わせると、400以上の管理組合があるとのこと。初期に建設されたマンションは、すでに築40年を超えるものもあります。連絡会が結成されて14年目。やはり、高経年マンションの問題などもあり、問題意識が高まって連絡会を立ち上げたということが背景でしょうか。また具体的にどんな活動をされているかもお聞かせください。 (橋口)事務局長の橋口です。現在は、理事会に加え、メンテナンス部会・管理運営問題部会・民間マンション部会という3つの委員会を、毎月1回それぞれ会合を実施しています。加えて、毎年7月の新任理事実務講座、年2回のセミナーや総会、また、広報部会では定期的に広報誌も発行し、連絡会のホームページも更新しています。本日のセミナーも定員を48名としていましたが、おかげさまで満員御礼となりました。※多摩マンション管理組合連絡会URLhttps://tamakanren.org/ (インタビュアー 大橋)頻繁に活動されているようですね。総会や年2回の定期セミナーも入れれば、年40~50回ぐらい会合をされていて、とても素晴らしいと思います。 ところで、多摩ニュータウンは、公団が供給から撤退された後は、民間のデベロッパーが供給を始め、比較的新しいマンションも多くあると聞いています。二宮さんはお若い方なので、お住まいは民間の方のマンションですか? (二宮)現在、会長をさせていただいております二宮です。そうですね、私は、ニュータウンの中で十数年前に民間が分譲したマンションに住んでいます。私が所属する管理組合には、連絡会設立当初より組合会員として入会しておりまして、三期の理事長に就任した際に、連絡会に参加したのがきっかけです。マンション管理の勉強にもなると思って、理事長退任後に連絡会役員として地域活動に参加させていただいています。また、連絡会を立ち上げた現在の副会長・西山さん、常光さん他設立メンバーの努力かと思います。多摩市への働きかけや多くのマンションへの声掛けなど、奮闘の末、連絡会ができたと聞いています。 (西山)みなさんのご協力で設立できたのですが、準備だけで2年ぐらいかかりましたでしょうか。最初は少数の有志と、現在も中心となっている管理組合、そしてマンション管理士などで設立準備に入りました。多摩市にご協力いただき13回にも及ぶ設立前の準備会も、市役所に会議室をご提供いただきました。そして、2008年3月に多摩市長名で、会員募集を開始いたしました。私の住むマンションは、ニュータウンの中では初期のころに建設された公団のマンションで、すでに築年数も40年を超えています。しかし当時は、高経年マンション問題というより、多摩ニュータウンのマンション供給が公団から民間分譲に切り替わり、タウンに新しいマンションも増加していったのですが、タウン内のマンション住民や管理組合のつながりなどが、どんどん希薄になっていってしまいました。 また、マンションの管理運営は難しいもので、地域としてのつながりの中で、経験や知識の共有をしていく意義は十分にあるという思いもあり、みなさんに声をかけていきました。 (連絡会の設立について語る 西山様) (橋口)連絡会の中でも公団時代の古いマンションの多くは、メンテナンス部会・管理運営問題部会などで活躍されており、最近は、新しい民間のマンションは民間マンション部会で活動されています。いまや、最も活発なのが、民間マンション部会でしょうか。 (西山)旧公団系のマンションと民間系のマンションでは、単に古いか新しいか、という違いだけでなく、マンション管理の意識の違いも大きいのです。旧公団系の管理は、完全に自主管理というわけではありませんが、管理会社に委託する範囲はごく一部です。ですから、大規模修繕工事もすべて自分たちで、どうしようかと考えていかなくてはならない。ある意味、必死なんですね。新しい民間系は管理会社への全部委託のところもありますから、そのあたりの意識の違いは大きいかもしれません。 (二宮)とはいえ、理事会が替わると、連絡会に顔を出さなくなるなどのケースもありますね。致し方ないのかもしれませんが、自主性を持って運営を行うことが大切だと思うのですが、マンション管理は専門的です。単なる知識だけでなく、いろいろな経験知を共有しながら、マンションのそして街全体の居住価値が高まれば素晴らしいことですね。 (左:西山様 右:二宮様) 多摩ニュータウン 50年の変化 (インタビュアー 大橋)ありがとうございます。話は変わりますが、多摩ニュータウンの街の変化についてお聞きします。他の40年・50年と経過していったニュータウンでは、年代別人口構成のピラミッドが逆三角形の少子高齢化現象になったり、商店街もシャッター商店街といわれる閉店する店舗も増加していたりすると聞きます。大阪の千里ニュータウンは、ニュータウン自体の再開発として、複数のマンションが建替えにより生まれ変わっていく事例もありますが、多摩ニュータウンはいかがですか? (橋口)多摩ニュータウンは、シャッター商店街は出現していませんが、確かに他のニュータウンではそんな現象が問題になっているようですね。しかし店舗の業種は入れ替わり、介護系やデイサービスなどの店舗が増えているようです。多摩ニュータウンは東京都心にも近く、交通の利便性もよく、駅前はにぎやかなのでショッピングにも便利です。緑も多いですし道路も広い。高低の緩やかな変化もあり、住まうには最適な街ではありますが、今後の少子高齢化の中で、街としての持続可能性は、やはり、より若い世代が住みたいと思える街づくりがポイントなのでしょうね。 (西山)大阪の千里ニュータウンは、建替えがたくさんあるようですね。多摩ニュータウンでは、永山の諏訪2丁目団地という640戸のマンションが、1240戸を超えるマンションに建替えられています。日本初の団地の一括建替えという事業でもありましたが、その後、他のマンションも追随するかというとやはり、余剰容積や収支の難しさなどもあり、いかに永く、居住価値を維持していくかをテーマに考えるマンションが多いようですね。 講演内容の感想 (インタビュアー 大橋)なるほど、マンションの高齢化そのものに目が行きがちですが、“街”もマンションのポテンシャルになるわけですから、自分のマンションだけでなく、もっと視野を広げ持続可能性を考える必要があるのですね。確かに建替えといっても、簡単にできるわけでありませんし、できるのは条件のそろった、ほんの一握りのマンションだけですからね。 さて、本日は「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」というテーマで、マンションみらい価値研究所より講演させていただいております。適正化法の改正の本当の“狙い”があって、また管理計画認定制度がマンション管理を変えていくターニングポイントになりえるということを私も納得しましたが、ここでご感想などをお聞きしたいです。 (橋口)今回の適正化法の改正や管理計画認定制度を深く理解されていない方には、難しかったかもしれません。しかし、改正した“狙い”とか、管理計画認定制度が作られた背景を知ることで、いま、マンション管理に直面する課題を初めて理解できるのかもしれませんね。 (二宮)お話の中に「資産価値」と「居住価値」という内容がありました。「資産価値」は、流通価格など客観的に評価できる価値ではあるけれども、売って初めてお金になるもの。現代は、永住志向が強いため、自分のマンションを売る前提ではありません。一方で「居住価値」は、住んでいる人しかわからない主観的な価値。とはいえ、住み続けるなら「居住価値」が大切だし、それを客観的に証明できるようになる制度が、今回の管理計画認定制度というところが目からうろこが落ちる思いでした。管理組合が目指す目標が明確になり、また中古流通市場も管理計画認定制度を基準に評価されていく、そんな転機が今回の改正だったんですね。今後は、連絡会も行政と連携を取りながら、本制度を多摩市全体に浸透させ、街全体を活性化させてきたいと思います。 (インタビュアー 大橋)今日はお忙しい中、貴重なご意見を賜りありがとうございました。多摩ニュータウンに根付く、「マンションの」「管理組合の」「街の」まじめなコミュニティ活動を、マンションみらい価値研究所はこれからも応援してまいります。 (左:橋口様 中央:西山様 右:二宮様) 「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」講演骨子 「日本人にとってマンションってなんだろう」高度成長期に都市部へどんどん人が集まり住宅が不足。一般的なサラリーマンの給料では高額過ぎて購入が難しい、立地の良い戸建てから、マンションに注目が集まり始める。しかし、高度成長期が終焉(しゅうえん)を迎え、作り過ぎた住宅が、世帯数よりも13%程度も多い住宅余りの時代に突入していき、ここを“終の棲家(ついのすみか)”にと思い始めた頃には、さまざまな問題があることに気付きはじめる。 環境変化はそれだけではない。適正化法制定から今回の改正に至る20年間で、消費税の導入や最低賃金の上昇で管理組合収支は悪化の一途をたどり、さらに住まう方の半数が60歳以上となった。そして、管理会社が管理組合を選別していく時代にもなった。 講演では、上記の環境変化を整理するとともに、「資産価値」と「居住価値」の違いや今後の中古流通市場の在り方を整理しつつ、管理計画認定制度の認定基準が、管理組合の運営上の目標になることを確認していく。 講演目次 マンションみらい価値研究所では、管理組合運営等の研究や情報交換などを行っているNPOや団体からの依頼でセミナー等の講演を行っています。お問い合わせフォームよりお申し込みください。
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2022/06/23
第1回 マンションみらい価値研究所セミナー 「マンションの“みらい”への期待と課題」を開催
続きを読む6月1日、マンションみらい価値研究所は「マンション元気ラボ」と統合。合わせて、「マンション元気ラボメルマガ会員」も「マンションみらい価値研究所メルマガ会員」と改称して、新たなスタートを切ることとなった。 これを記念し、情報発信・交流の場として新設された配信スタジオ「赤坂プラスタ」にてオンラインセミナーを開催。「マンションの“みらい”への期待と課題」をテーマに行われ、約100名の方にご視聴いただいた。 セミナーには、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子が出演、ゲストには、横浜マリン法律事務所の弁護士でマンション管理士の資格を有するの佐藤元(げん)氏を迎え、座談会形式でのセッションとなった。 冒頭、法律家である佐藤氏が、「マンション管理適正化法」や「建替え円滑化法」などの相次ぐ法改正をどう見ているかというポイントから議論はスタート。これについて佐藤氏は「マンション管理適正化法の改正により、管理計画認定制度が導入されると共に、管理が不適切なマンションへの勧告制度が創設されたことで、今後空き家措置法のように強固な措置が議論されていくかに注目している」と述べた。さらに建替え円滑化法については、「団地の敷地分割が実務でどう使われていくかにも関心がある」とコメントした。 また久保は区分所有法に触れ、「実はマンションだけの法律ではなく、戸建てでも共有部分があれば団地管理組合が成立する。マンション同様、修繕積立金を集めて維持管理を行うだけでなく、集会棟にEV充電器を設置して共用のレンタカーを運用したり、太陽光パネルを設置していたり、街づくりという点ではマンションより進んでいる例もある」とあいさつに一言を添えた。 そして議論は、本セミナーのお題である「マンションの“みらい”への期待と課題」へ。「マンションとは私たち日本人にとって、なんなのだろう?」という点に着目してはじまった。 口火を切ったのは佐藤氏で、「国土交通省の調査によると、分譲マンションのストック数は一昨年の年末時点で675万戸であり、国民の1割超が居住している計算になる。その上で“マンションとは私たち日本人にとって、なんなのだろう?”に沿って考えると、区分所有者が管理のためにやらなければならないこと、やれることのギャップが大きいと感じている」と発言。 そのギャップについての説明として「運営の中には、技術的なこと法的なこと、難易度の高い判断が求められることが多い。理事会のメンバーに専門家がいるとは限らない中、コンサルタントや弁護士に委任して意思決定していく必要がある。しかし役員のなり手不足は深刻で、これでは理事会管理方式が成り立たないことも頭を悩ませる問題だ」とした。そこで話は「区分所有法」へと進む。 「昭和37年に制定された区分所有法は、建替えや解消の規定を備えていなかった。これではまずいと昭和58年に全面改正し、建替え決議を追加。その後平成14年にも改正を行い、建替え要件を一部緩和している。この時の建替え円滑化法により、建替え決議がなされた事案を、行政法のスキームを使って進められるようになったのは大きい」と評価。「平成26年の改正では敷地売却制度を新設したことにより、5分の4の決議で実現できるように。また阪神・淡路大震災を受け『被災マンション法』が制定されると、全壊の場合5分の4の決議で再建できるようになり、東日本大震災後の平成25年には大規模一部滅失の場合でも5分の4の決議で解消、敷地売却ができるようになった」と解説した。 「しかし、問題は区分所有法。現状で区分所有法に解消の制度はない」と指摘。出口を考えずに走りだしてしまった制度だと憤った。 これに対し久保は「建替えや売却など、マンションに解消という出口がないということは問題だが、実は区分所有者にも出口は用意されていない」と斬り込む。 「独居老人となった時、自分の死後はどうなるのかという問題がある。相続人がいなくても国が引き取ってくれるというわけでもない。管理組合には重くのしかかる問題となり、相続財産管理人制度を利用せざるを得ない状態になる」と八方ふさがりの事例を展開する。 果たして日本人にとってマンションとはなんなのだろうか、その解決の糸口を探るべく、リゾートマンションの温泉設備を巡る維持管理や滞納管理費の問題、またシニア向けマンションでは認知症を患うと退去しなければならないという規約がある問題、投資用ワンルームマンションの利益相反への問題、タワーマンションの解体問題なども例に挙げられる。 話は定期借地権へ移り、「50年など期限付きの借地の上で建てられていることで、出口が明確になっているマンションもある。この出口に向け解体費用を積み立てることは、終わりを想定していない場合と異なる点では総じて評価できるのでは」といった意見も出された。 さまざまな観点からの議論がなされたところで、これまでに出てきたキーワードを分類し、マインドマップのように見える化。カテゴリー分けされた課題について、より専門的な見解を促した。 先に回答を求められた久保は、「高齢化」が最たる課題だと指摘。建物の高齢化はもちろん、人の高齢化は「認知症問題」へと発展し、マンション内でも認知症の入居者を巡るさまざまなトラブルが起こっている実情を紹介した。また、独居老人の孤独死も起こり得ることであり、人の高齢化とマンション、そして認知症対策こそ、これからのマンション管理業界のミッションだとコメントした。 続いて佐藤氏が挙げたのは、「区分所有法」について。現在「建替え円滑化法」と共に改正の議論が進められているとし、「日弁連からも検討メンバーを派遣し『区分所有法研究会』を発足された。私もその委員会の特別委嘱委員として参加している。建替え用件では、5分の4の決議を、4分の3ないし3分の2まで緩和できないかなどが検討されている」という貴重な情報を明かしてくれた。 高度成長期に住宅不足であった日本において、とにかく建物を作るために作られた法律であったことは間違いない。これによりマンションブームが起き現在に至る。しかしながら、弊害や将来の不安も見えてきた現代。そのまとめとして、研究所からは悲観的な言い方になってしまうようだがと付け加えた上で「“マンションとは日本人にとって、なんなのだろうか?”、その答えは、あるべき姿を法律が示してくれないが故に、経験と知識のない多くの日本人を困らせる住まいへとなってしまいそうだ」とした。 「出口のあるマンション」──ここに着目することで、マンションの未来と課題に対する“出口”が見えてきそうだ。 次回の配信は7月27日(水)16時より、「管理計画認定制度施行された!管理組合が絶対押さえておくべき重要ポイントとは」というテーマで、ゲストにはマンション管理に関わる弁護士の土屋賢司先生をお招きし、セミナーを予定している。
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2021/10/22
NPO法人マンションサポートネット8周年記念シンポジウム 「マンションの居住価値を決める『持続可能な管理』とは」を開催
続きを読む7月31日(土)、キャンパスプラザ京都(京都市下京区)において、NPO法人マンションサポートネット主催のシンポジウム「マンションの居住価値を決める『持続可能な管理』とは」が開催されました。 コロナ禍の状況を鑑み会場での参加人数を絞り、オンラインとの併設で約90名の参加となりました。不動産としての「資産価値」のみならず、マンションに住まう人たちの今や未来の幸せを見据えた「居住価値」という考えを、多角的に捉えるための講演とパネルディカッションが行われました。 基調講演に登壇したのは、日本マンション学会会長で京都橘大学教授の鈴木克彦氏。『持続可能な管理とはマンションの居住価値を決める「持続可能な管理」は?』と題し、京都市内の分譲マンションの実態や海外の居住価値の高いマンションの実例などを交えて、参加者に語りかけました。 日本マンション学会会長・京都橘大学教授の鈴木克彦氏 マンションのストック戸数が約675.3万戸に達し(令和2年末時点)、国民の1割超がマンションに居住する時代。「戸建住宅に住むまでの仮の住まい」から、永住思考の高まりにより、「終の住処」という存在として捉えられるようになりました。住民の年齢層が高くなるほどその傾向は顕著で、高経年のマンションに住まう人たちの高年齢化がもたらす、建物と住人のいわゆる「2つの老い」が進行している現状が浮き彫りになっていると鈴木氏は指摘します。 それにより「区分所有者の減少」「役員の担い手不足」が加速し、管理組合の機能が低下しているマンションが増加。適切に維持管理されず「管理不全」に陥るマンションの増加を鑑み、令和2年6月に「マンション管理の適正化の推進に関する法律」(平成12年法律第149号)が改正されました。ここに地方公共団体が管理組合に対して必要な助言及び指導ができる旨の規定などが盛り込まれたことで、自治体と管理組合との関係性がドラスティックに変化。「マンションの価値は管理で決まる時代」への対応が急務となりました。 そんなマンションを取り巻く状況を知るべく、京都市内の分譲マンションの実態調査(令和元~2年)に調査員としてかかわられた鈴木氏。「築30年以上の高経年マンションが10年後に全体の半数以上になる」「住戸数50戸以下の小規模マンションが他都市に比べて多い」という地域性を把握したうえで、「築年数が古いほど計画的な維持管理・修繕が十分でない」「住戸数の少ないマンションほど『要修繕』と判定される比率が高い」という傾向が表れていると説明しました。しかし一方で、「問題なし」とされるマンションの割合が築年数を40年を超えても大きな変化が見られないことから、築年数そのものよりも、持続可能な管理体制が建物の整備状況を左右すると強調しました。 それでは、マンションの居住価値を決める持続可能な管理とは、一体どのようなものでしょうか。鈴木氏は経済効率ではなく、精神的な豊かさや生活の質の向上を目指すのが21世紀の「成熟社会」であるとし、成熟社会におけるマンションの価値とは「不動産の価値を、時間の蓄積で得られた資源や生活の価値、すなわち『暮らし(居住)の価値』に置き換え、共有していくこと」と強調しました。 そのためのキーワードに「サスティナビリティ=持続可能性」「インクルーシブネス=多様な人材を排除せず受け入れる包摂性」「レジリエンス=想定外のことを乗り越える回復力」を挙げ、「お互いが寛容の心をもって多様性を受け入れるコミュニティを形成し、様々な社会的危機をともに乗り越えるしなやかな強さを持ち、誰もが永く住み続けられるマンションにするための管理を実現することができれば、必然的にマンションの居住価値は高まります。それこそが私たちが目指すべき、持続可能なマンション管理ではないでしょうか」と語りかけ、参加者の理解を求めました。 「誰もが永く住み続けられるマンションにする管理により、マンションの居住価値は高まる」と話す鈴木氏。 休憩に引き続き行われたのは、「管理計画認定制度に備える管理組合の取り組み」と題した、NPO法人マンションサポートネット理事長・佐藤武氏による講演です。佐藤氏はマンション管理士、一級建築士の資格を持ち、これまで様々なマンション管理組合のコンサルティングを手がけてきた経験から、マンション管理適正化法改正にともなう「管理計画認定制度」の実施をにらみ、管理組合が留意すべきポイントを解説しました。 NPO法人マンションサポートネット理事長・佐藤武氏 今回の法改正は、国によるマンションの管理の適正化の推進を図るための基本方針の策定を目的としており、①管理適正化の推進に関する方針の明確化と役割の強化②地方公共団体による能動的な関与の円滑化③地方公共団体によるマンションの実態把握、専門家派遣等の支援が柱となっています。 「マンション管理適正化推進計画制度(任意)」「管理計画認定制度」を実施し、必要に応じて地方公共団体が管理組合に対して助言指導や勧告を行うことができるとするなど、行政がマンション管理により深く関わる姿勢を示したものといえます。 佐藤氏は、昨年12月に神戸市が決定した「神戸市マンション管理の適正化の推進に関する要綱」を例に、地方自治体によるマンション管理の実態把握と評価に対して備えるべきポイントを挙げていきました。神戸市の「マンション管理状況届出書」では①管理形態(全部委託/一部委託/自主管理)②管理組合の有無③管理者(単独/理事会方式/第3者管理方式)④管理規約(有無/最終改正年)⑤区分所有者名簿(請求一覧表/連絡名簿)の有無⑥居住者名簿(緊急連絡名簿/要援護者名簿)⑦空き住戸の割合⑧占有者(賃貸化等)住戸の割合などが問われており、マンション管理の運営実態について、行政としてこれまで以上に突っ込んで知ろうとする意図が伺えます。 佐藤氏は「マンション管理標準指針に沿っていれば、行政からの一定の評価は得られる」とし、「大切なのは、建物設備の管理とともに日常の管理が適正に運営されていること、民主的な意思決定システムが継続されている管理組合であること、公正・公平・公開の原則により組合間の信頼度が高いことであり、それによりマンションの居住価値を向上させることです」と強調しました。 シンポジウムの最後に開催されたのは『最近の相談事例から〜管理組合あるあるFAQ〜』と題したパネルデスカッション。パネリストに講師の鈴木氏、佐藤氏、さらには弁護士でマンション管理士の小林靖子氏、コーディネーターに大和ライフネクストを迎え、多くのマンションで起こりうる問題を解決に導くための考え方や、落としどころに持っていくためのプロセスを共有するための議論を展開しました。 最初の質問は「標準管理規約が見直されたこともあり、『管理費からの自治会への支出は、明確に除外すべきでは』と管理会社からアドバイスをもらった。しかし、理事の中には京都のマンションでは、自治会との関係や実情を考えると、難しいのではという意見も多い。さて、どう考えればいいのでしょうか?」というもの。 京都のマンションコミュニティの実情に詳しい鈴木氏は「京都は明治時代から引き継がれている『学区制』に基づき、独特な自治会活動が行われている。その学区内にあるマンションでは管理組合活動の一つとして、祭などの自治会活動に積極的に参加することが慣例となっており、他の地域と比べると自治会との結びつきが強いことから、管理費と一緒に自治会費を徴収することも無視できない状況にあるのではないか」と説明。 小林氏は「法的な観点からすると、管理組合と自治会は目的や団体の性質が異なるため、切り離して考えるべきではあるが、それが難しい実態があることも事実。管理組合は地域のコミュニティ形成に重要な位置付けにあることを加味し、個別かつ具体的に検討していくべき」としました。 佐藤氏は自身の豊富な経験から「管理費から自治会費を払う慣例は、徐々に是正していくべきではあるが、管理組合が管理費等といっしょに自治会費を自治会に代わって徴収する場合でも、入って来る自治会費に対して自治会に支払う自治会費を同額にするなど、補填が発生しないように収入と支出のバランスを維持し峻別を図ることが大切。」とアドバイスしました。 2問目は「平置き駐車場の空きが数台分あり管理組合の収支を圧迫していた。理事会で、外部貸しで収入を得るために住民の車両を移動してもらい、外部者に使いやすい場所を区分し確保する案を総会にかけることにした。議案書配布の直前になって理事長が「普通決議ではなく特別決議にすべき」と思い直したが、改めて理事会を開催する時間がないため書面にて理事全員の合意をもって理事会の決議としたが、総会を招集し特別決議に変更することはできるだろうか?」というもの。 この問題を①駐車場の外部貸し、そのための駐車区画の変更も含め、普通決議か特別決議かという点②開催の時間がない場合の理事会の書面決議は有効かどうかという点③総会の場で、普通決議から特別決議への変更は有効かどうかという点に分解し、それぞれパネリストの見解が聞かれました。 ①について佐藤氏は「駐車場の形状や効用の著しい変更を伴うか否かの判断からすれば、同じ駐車場であり普通決議でも可能という見方もできるが、このケースでは事業収益を得ることや管理規約の変更なども含めて議論するする内容のため、特別決議が相当」という見解を示しました。 ②③については小林氏が解説。「標準管理規約では、理事会では理事が集まり意見交換をしたうえで結論を出すことが原則となっており、書面での決議は認められていない。また共用部分の変更、規約の設定変更という管理上重要なトピックスについては、総会を招集する通知に議案の要領を書いておかなければならず、総会の場で変更することは不適切。慎重な判断が要求される議案でもあることから、仕切り直して新たな総会の場で特別決議として扱うべき」としました。 3問目は、多くの管理組合にとって身近な質問。「相続人全員に相続放棄されて塩漬けになっている部屋を何とかしたい。何か良い方法は無いのか?」というものでした。 これに対し小林氏は「相続放棄となれば、管理費等が入ってこないことになることから管理組合が利害関係者にあたる。裁判所への予納金を用意して申し立てを行って相続財産管理人を選任。売却を図ることで区分所有者を変更することは可能」としました。 佐藤氏は「相続放棄がされた物件でも、マンションとしての流通性があれば売却などにより所有者不在は解決する。問題は相続すること自体が“負”動産になっているケースだ。売るに売れず、貸すに貸せず、管理費等や固定資産税などを負担し続けることになってしまう」と警鐘を鳴らしました。 これに対し鈴木氏は「空き家問題は深刻さを増している。新たな区分所有者を探すという目先の解決ではなく、住み続けたい気持ちが湧き上がるようなマンションにすることで解決していくべき」と強調。 最後は「一人住まいの70歳くらいの女性から嫌がらせを受けている。管理組合名で厳しめの勧告書を提出したり、警察から直接注意してもらったり、行政の担当者にも訪問対応してもらったりしたが、一向に収まらない」という相談。この女性が仮に認知症を患っているとした場合どう扱うべきかについて、それぞれの意見を交換しました。 佐藤氏は「マンションの高経年化と住民の高齢化に起因する問題は多い。まずは地域包括センターとも連携し、このような住民を日常的に気にかけ、第一連絡先を管理組合として把握することが重要」と語り、小林氏は「認知症の方は、ゴミ捨てなどちょっとしたことの仕組みがわからず、悩みを抱えていることが多い。その人の行動を責めるのではなく、一緒に助け合える関係性を構築していくべき」としました。このテーマの最後として鈴木氏は「歳を重ねれば誰にでも起こりうる問題。自分自身の問題として、様々な事情を寛容な気持ちで理解し、受け入れるコミュニティを構築することが解決につながる」と力説しました。 会場内では企業によるブースが設けられ、大和ライフネクストがAIを駆使した新しいマンション管理技術を紹介するなど、多くの参加者の関心を集めていました。
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2020/11/11
「令和2年度 第2回マンションネットセミナー『節約の美徳が管理組合の“貧困”を招く』」を開催
続きを読む主催:NPO北海道マンションネット 9月26日(土)、札幌資料館(中央区大通西13丁目)にて「令和2年度 第2回マンションネットセミナー『節約の美徳が管理組合の“貧困”を招く』」が開催されました。 本セミナーは、コロナ禍の緊急事態に鑑み、定員数は三密を避けた20名を最大とし、それ以外の方には“ネットセミナー”としてオンラインによる情報を提供する形式で実施しました。これまでに経験したことのないセミナー形式であり、問題なく開催できるのか、またどのような反響があるのかなど関係者にとっては実験的なセミナーとなりました。 会に先駆け「NPO北海道マンションネット」の理事長代行・佐藤慎二氏が開催の挨拶をし、コロナ禍のご時世を憂うと共に、今だからこそ新しいチャレンジをしていきたいという意気込みを露わにしました。 その後の基調講演ではマンション管理士より「節約の美徳が管理組合の“貧困”を招く」というテーマに於いて講演されました。「節約」と「倹約」という、一見すると似たような意味を持つ言葉の“行き違い”をテーマの軸に据え置き、行き過ぎた「節約」の間違いについて事例を交えて解説されました。 念のためおさらいしておきますが、「節約」と「倹約」という言葉の違い──あなたは明確な説明ができますか?まず「倹約」から見ていきましょう。この意味は「費用を切り詰めて、お金の無駄を省くこと」──しかし転じて「貯め込んだお金はここぞというときに投資する」と解釈することができます。一方「節約」を見ていくと「無駄を省いて切り詰める」ということではありますが、「お金だけでなく、なんでもかんでも切り詰めること」とも捉えることができます。 今回はこの「行きすぎた節約」が招く貧困について紐解きます。 管理における「節約とは何か」を考えるにあたり、まずはセンセーショナルな言葉で喚起します。大ヒットとなった著書『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)の一節を引用し「マンションはあなたにとっての負債なのか」と呼びかけます。この本によれば、たとえ住宅ローンを支払い終わっていたとしても、持ち家とは負債であり、固定資産税然り、管理費や維持費など必ずお金は出ていく。しかし「お金と人生に対しての姿勢」が正しければ、“節約の仕方”を間違わないと解説しました。 さらに「マンションを所有していることは、すでに“負債”を抱えていることであり、その節約の仕方が今後、負債を大きくするかどうかの鍵を握っている」と語りかけます。 では間違った節約の仕方とはなんのなのでしょう。それについては「悪い節約例」として下記の通り3つの事例を挙げられました。 ① 「積立金を値上げしてでも工事ができる費用の準備をすべきなのに、問題の先送りをしたことにより、費用 が かえって 増加してしまった」という 事例 ②「総会で質問や文句が出ることを恐れ、長期修繕計画の時期を変更したり、工事単価を調整したり、資金が足りていることを演出してしまった」という事例 ③「管理費会計が赤字になったことで、安い管理会社にリプレイスし、ついでに各戸が支払う管理費も減額してしまった。しかし管理品質の悪化はもとより、それに気づき元に戻そうと思っても管理費を増額できなくなってしまった」という事例 いずれの事例も、最終的には建物の価値を下げる結果となり、次世代が住み継承してくれない空き家だらけのマンションに陥ってしまうということ。行きすぎた節約が貧困の連鎖を生んでいることに気づいてほしいと、訴えかけました。 また、休憩を挟んだ後半では、「“with”コロナとマンションコミュニティ」をテーマにパネルディスカッションを開催。Zoom(WEB会議システム)によるリモート受講者の皆さまからは「チャット」機能を利用し、質問を受け付けました。 パネラーには前出・佐藤慎二氏(NPO北海道マンションネット)、沢登正一氏(大和ライフネクスト 札幌支店長)らが登壇。新型コロナ時代におけるマンション内でのコミュニティをどうすべきか話し合っていきます。 ディスカッションの途中、リモート参加者の方々からの質問も紹介。 「総会の延期は理事会で決定できるのでしょうか、またその根拠はありますか?」 「インターネットを利用した会議システムで、総会を開催することができますか?」 というお二方の質問に対しては「管理規約や区分所有法に鑑みると非常にもってこいの質問」としながら、一つ目の質問に対し佐藤氏が回答。「理事会で決議することは可能。理事会は管理組合の執行機関であるし、ましてや今回のようなコロナ禍においては緊急事態の対応になるので決定権があるだろうと考える」としました。 また二つ目の質問には沢登氏が、「できなくはないが、現実的には難しい。なぜなら区分所有法45条に『区分所有者の全員の承認を得た場合には、書面または電子的方法による総会を行うことができる』とある。裏を返せば全員の合意がなければリアルな集会以外の開催ができない為、この法律がある以上、現時点ではなかなか難しいと思う」と回答しました。 このようにラジオ番組さながら、ディスカッションの途中でも、都度寄せられた質問を紹介することで、タイムリーな話題を掘り下げることができた今回のオンライン同時並行によるセミナー。パネラーと視聴者の双方向でのやりとりができるというメリットが生まれたことはもちろん、札幌での開催にも関わらず、東京など距離の離れた場所にいる方とも同時に受講できるという点で、より多くの方に情報と熱量を同時に届けられるという機会に恵まれたようです。