セミナー実績

過去に実施された講演・セミナーをセミナー実績としてライブラリー化しています。

  • 2022/10/20

    第3回 マンションみらい価値研究所セミナー 「高経年マンション~答えが無いのが答え」

    オンラインセミナー第3弾が10月5日に配信された。今回は、明海大学准教授の小杉学氏を迎え、これまでの研究とご実績を伺う。  小杉准教授は、明治大学理工学部建築学科を卒業後、千葉大学大学院自然科学研究科に進み博士号を取得。現在は日本で唯一の不動産学部である、明海大学不動産学部で教鞭を揮っている。専門は都市計画ということで、准教授となるまでの経験も踏まえお話しいただいた。 冒頭、小杉准教授は「ひらがなで書く“まちづくり”に関心がある」と述べ、デベロップメントである“街づくり”との違いを示唆する。つまり、「まちづくり」は「人」や「暮らし」が関与することを意味する。准教授がコーポラティブ住宅の研究に参画するきっかけとなったのも、まさにこの点である。 それは1枚の写真に衝撃を受けたことにはじまる。その集合住宅の名前は「ユーコート」。入居希望者が組合を作り、土地取得から設計・建築の手配まで行うという点まではいわゆる「コーポラティブ住宅」と同じだが、大きく違うのは「住んでから」。全48戸の住宅はすべて間取りが異なって作られた自由さを備えているが、共用の中庭に犬を放し飼いにして全員で世話をし、子どもたちは親だけでなく大人全員で見守るという、一昔前の下町のような共同生活が存在するという。つまり、建てるまでが共同なのではなく、住んでからも共同であるところが「コーポラティブ住宅」の概念を超越している。小杉准教授にとってまさにパラダイスに見えた。 こんな理想的な住まい方もあるのだというお手本をみつけたところで、小杉准教授は我に返り、「これはレアケースだろう」とユーコートへの興味を一時期失うことになる。郊外で資産価値が低下する高経年・高齢化マンションなど、より社会性のあるものを研究テーマに切り替えた。 しかし巡り巡って、恩師より、25年が経過したユーコートの調査チームに参加してほしいと誘われる。再びユーコートと向き合うことになるのだが、そこで目にしたのは「25年間変わらないコミュニティがあった」こと。「それどころか独自の文化に成長を遂げていたんです」と語り口調にも熱が入る。彼らチームはこの現象を「集住文化」と呼び、どのような工夫のもとにこのコミュニティが形成されたのかを分析していく。 結論を先に言ってしまうと、ユーコートの管理組合の在り方にヒントがあり、そこでは「全員同意」が大前提に執り行われているのだという。この「全員同意」が肝であり、それには徹底的な話し合いがなされるといい、次第に団結力へと昇華、今ではユーコートはブランド化されるにまで至っている。どういうことかいえば、こうした集住文化のコアなファンがつき、売買もある意味“オーディション”で決定されている。レアケースであるかもしれないが、高経年マンションの成功例としては十分な事例だろう。 ユーコートの件が一旦の結論を迎えたところで、話題は再び建替え問題に。日本の現在の建替えの問題点は「どんな建物でも直せるが、そこには莫大なお金がかかる」こと。 そこで取り組んだのが、横浜にある約450戸の団地の建替え。住民の約55%と半分以上の人が権利を手放して転出している状態であり、建替えの難しさを感じさせた。資金面で自己負担せず建替えを行う道を選択すれば、手に入るのは建て替え前より狭いわずか30平米程の部屋。さらにのしかかるのは、建替え期間中の仮居住費用、引越し費用という経済面、さらに高齢者であれば肉体的な問題も加わる。「建替え」というと「新しいところに住める!」と思いがちだが、現実はそうも容易にはいかないことが多い。 ではそのまま古い建物に住み続けることができるかといえば、建物の老朽化が地域社会に与える影響を考えるとそうもいかない。そうした八方塞がりな現状に風穴をあけるべく、小杉准教授の同僚である藤木亮介先生が「建替えをせずに建物を新築時のレベルまで引き上げる」ことを研究、また都内のある集合住宅で提案しているという。これが可能になるのはまさに理想であり、悲願だ。 マンションを買った、住んだはいいが、その後の維持や終わり方に多大な心労と費用を要する結末を迎えている。これを小杉准教授は恋愛に喩え「太古から現代まで『こうすればうまくいく』という答えがない。だから想像力を働かせて自分磨きをしたり関係性を良くしようとしたりする」と語る。 結局のところ、建物というハード面の問題に関してであっても、人と人の話し合いにより解決できることがたくさんあるということ。慣例や法律の前に辛酸を嘗めるのではなく、共有する者同士が想像力を働かせ、徹底的に話し合うことで打開できることはいくらでもあるそうだ。先のユーコートがその理想を示してくれている。

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  • 2022/10/06

    調停委員向けのセミナー報告 『マンションの4つの将来リスク〜日本のマンション管理の課題を考える』

    ※   裁判所内での写真撮影は禁止されているため参考にスライド資料を使用しています。※   セミナー終了後の調停委員向けインタビューは、別会場にて実施、氏名は伏せてご紹介しています。 9月1日、大阪地方裁判所大会議室において約40名の調停委員に向けたセミナーが開催され、マンションみらい価値研究所の丸山が登壇した。 丸山は冒頭で「マンションみらい価値研究所」の取り組みや研究成果などの発信も行う大和ライフネクストの情報発信プラットフォーム「赤坂プラスタ」について簡単に紹介した後、本日の講演テーマ『マンションの4つの将来リスク〜日本のマンション管理の課題を考える』について90分間、熱く語った。 本題の報告に入る前に「調停」とは何かを説明すると、個人間の紛争を解決する目的で裁判所が仲介し、当事者間の合意を成立させるための手続きのことをいう。調停の場では、調停委員が当事者と一緒に紛争の実状に合った解決策を考え、また双方の言い分や気持ちを十分に聞きつけ、解決に向けた話を進めていくというもの。 調停委員は、弁護士・大学教授・公認会計士・不動産鑑定士などの専門家や地域社会に密着して活動してきた人などから選任された非常勤の裁判所職員である。 昨今、マンション管理をめぐる調停が増えているという。よって今回のセミナーは、マンション管理にはどんな人たちが関わり、どんな問題が発生しているのかについて深く学ぶことを主な目的として開催された。 マンションを取り巻く問題を大まかに整理すれば、以下の4つだろう。①    2つの老い②    管理組合収支の悪化③    社会変化についていけない現状④    自然災害等からの復旧・復興 中でも最も重大な問題は、建物と人の「2つの老い」から派生するもの。建物が古くなれば修繕費用は増加し、また機能的にも住まう方のトレンドについていけなくなる。住まう方の多くが年金受給者となってしまい、改修やリノベーションの資金手当てが難しくなる。また管理運営への活力も低下してしまう。 日本の高齢化の縮図がマンションである、といってもおかしくはない。2025年には、日本の年齢別人口構成は逆ピラミッド型が鮮明になる。25年前の2000年と人口のボリュームゾーンを比較しても約20歳跳ね上がり、45歳〜80歳となる(国勢調査からの予想)。人口は減り続け、2050年には現在のカナダの人口に近い約3,300万人が減る計算。当然のことながら、住宅余りも加速し空家が増加していく。 かつての高度経済成長期には、住宅不足の解消のため住宅供給に躍起になっていた時代があった。建設ラッシュはマンションブームを巻き起こし、すでに60年程度が経過した。過剰なマンションストックに対する少子化による人口減、そして2つの老いが、さまざまな形で問題を引き起こしていく。 そこで思うのは、「日本人にとってマンションは何だろう」ということ。日本のマンションの平均築年数は25年を超え、築40年以上のマンションは約270万戸。さらにマンション住民の半数が60歳以上と高齢化が進行。今あらためて、共同住宅であるマンションという居住形態の未来とマンション自体の存在意義を考えていかねばならない。 人の老いがもたらす主な問題は、管理組合の資金の枯渇だけではない。人の高齢化による体力・気力の低下、介護の必要性も生じ、健全な管理運営の継続が難しくなっていくことだろう。そして、終の棲家として人生を全うした後には、相続放棄や空家が問題となり始める。老朽化した建物の解体や建て替えも、個々の事情や懐具合を考えれば、マンション全体での合意形成は極めて難しい。結果、建物が放置され空家特措法による行政代執行で解体されたマンションもすでにあるのだ。しかし、行政側の解体に至るまでの手続きの手間暇や税金を使っての処分は、すでに大きな社会的経済災害ともいえる事態ともいえる。日本の近未来の姿は、けして楽観できるものではない。 丸山はこうした背景を説明するとともに、マンション管理に登場する人々の間で生じたトラブル事例などをいくつか紹介した。「管理会社との関係」では、従来の関係性が一変し管理会社から委託費値上げや更新拒否(解約)が急増していることや、、利益相反行為まがいの「工事監理の問題」などを取り上げた。 マンション管理は、それなりの専門知識が求められる。総会で選出された理事といっても、一般の方では、解決しがたい問題でもあると指摘した。「理事のなり手不足」にも関連させ、「理事会運営方式」が日本の主流のやり方になっていった歴史的経緯に加え、海外では一般的な「第三者管理方式」の比較紹介を行った。 また、最新の情報である「管理計画認定制度」にも触れ、「管理計画認定制度の“認定”が、“居住価値が高い”ことの“客観的な証明”になっている社会にしていくことが狙いだ」と展開した。 右肩上がりで分譲マンションの供給を続けてきた日本。建物と住まう人の高齢化時代を迎え、マンション管理そのものの難しさが噴出している現状がある。それに対し、現在ではどんな対策が検討されてきているのかなどの最新情報に至るまでを説明した。 マンションを取り巻く登場人物の間では、調停に至る紛争がこれからさらに増加し複雑化するだろう。まずは、マンション管理の抱える問題や背景を知っていただき、困っている当事者と一緒に解決策を見いだして行ってはと締めくくった。 座談会の様子 講演後、調停委員3名とマンションに住まうひとりの住民の立場で座談会を行った。簡単に座談会の内容も報告しよう。聞き手:マンションみらい価値研究所 大橋正和 大橋マンションの「2つの老い」が本日の一番のテーマでしたが、克服していくためのいくつかのキーワードもあったかに思います。ざっくばらんにみなさまの感想をお聞かせください。 Aさん私は築30数年、370戸のマンションに住んでいます。駅に近いこともあり空き住戸が出るとすぐ新しい方が購入されているようです。空家が増える心配は少ないとは思いますが、中古で入居された方ほど、管理組合運営へ関わるきっかけがないのか、無関心なケースが多いように感じています。 大橋駅に近いという立地ポテンシャルが高く、人気のマンションということですね。ただ、新しく入居された方が、管理組合の活動に無関心ということですね。 Aさんはい、それに加えて、共同住宅の住まい方に慣れていない、もしくは理解されていない方も見受けられます。訴訟までの問題にはなっていないものの上下間の騒音問題などが発生しています。現在は、古くから住まわれている方が、熱い思いで自治会や理事会活動をされています。コミュニティ活動も充実しています。しかし、今後、高齢化が進んでいくとどうなるのかが不安ですね。やはり、新しく入居された若い方が、後を引き継ぎ、代わって運営してもらえる、そんな状況を古くから住んでいる側が意識して作っていかないといけないのでしょうね。ルールで縛るとかではなく、あくまでも自らの気付きの中で、管理組合やコミュニティ活動に積極的に関わってもらうためにどうするかが一番のテーマのような気がします。 Bさん私もすでに築35年を超えている226戸のマンションに住んでいます。新築当時は、総会に参加される方が多かったのですが、最近は直接自分に関わること以外は総会に出てくることもなく、ずいぶん雰囲気も変わってしまいました。賃貸に出している外部区分所有者が多くなってしまったことも原因の一つなのでしょう。管理会社にはしっかりやってもらっていると思います。今日の話にもあった専門家であるマンション管理士を入れたら、よりうまく回りだすのではという話もなかったわけではありませんが、マンション管理士と管理会社との関係はうまくいくのかという想いもあり、積極的に進めていませんでした。しかし、管理会社にしてもマンション管理士にしても、立場の違いこそあれど、管理組合をサポートし健全化を図るという目的や方向性は一つなので、今日の話を聞いて検討する意味はありそうだと思えました。 大橋そうですね。ひとことで言ってしまえば、管理会社は、管理委託契約の仕様書に基づき、運営補助や理事会の指示で管理実務を行う立場。マンション管理士は、理事会が区分所有者への説明責任を果たすために専門家の立場からアドバイスする立場ですね。 Bさんそうですね。今日の話を聞いて、実務代行の管理会社と第三者的な立場でアドバイスする専門家がマンション管理士なのだということが、よくわかりました。競合することもなく、双方をうまく活用しより確かな運営ができるのかもと思えました。早い話、そのあたりの関係性が今一つわからなかったところもあり、マンション管理士の活用に踏み込めなかったのかもしれません。 Cさん私は、34年目の66戸のマンションに住んでいて、私自身も輪番で理事長を2回やっています。築年が新しいうちは、月1回の理事会でしたが、現在は2ヶ月に1回の開催としています。管理会社も適切にサポートしてくれているので安心はしていますが、マンション管理の専門性が自分自身にあるかというと、正直、自信はない。今後は、マンション管理士に何らかの形でお願いしようという話もあったのですが、やはり費用のかかることですし、大きなマンションでもなく資金的にも豊かとはいえず、二の足を踏んでいました。しかし、高齢化の問題を掘り下げて考えていくと、マンション管理士にアドバイザーになってもらう、いや第三者管理方式に切り替えるのも一つの選択であることは確かなのでしょうね。まずは、マンション管理士に依頼するといくらくらいかかるものなのか、またどんなマンション管理士にお願いするのが良いのか、もう少し一般的にわかりやすくなっている状況が必要なのかもしれませんね。 Bさん管理組合運営も大切ですし、同時にそれを下支えするコミュニティ活動も大切だと思うんです。マンションによって差が多いと聞いていますが、みなさんのところはどうですか。 Cさんマンションや地域で、夏祭りや餅つき大会などをやろうとしても、最近は新型コロナの件もあり、めっきり活動が減っているようですね。コミュニティ活動の分野もマンション管理士にアドバイスしていただける? いや、その分野は難しそうですね。 大橋管理組合の運営とコミュニティ活動は一線を画す、マンション標準管理規約ではそのような考え方です。また、コミュニティ活動の最近のトレンドは、ネイバーフッド(neighborhood=近所・地域)という、マンションからもう少し広げて地域全体での楽しみや生きがい、喜びを設計しようという考え方もあるようですね。マンション管理の専門家であるマンション管理士というよりは、街おこしなどが得意なNPOなどがアドバイザーに入って、マンションや地域も含めての居住価値の向上のために活動している事例もあるようですね。 Aさん私のマンションでは、以前は子供会でやっていた資源ゴミの回収を、今はシニアクラブが行っています。多くの元気なシニアが積極的に参加されています。その収益をコミュニティ活動に充てているのは良いことなのですが、住民の少子高齢化が進み子供会が作れない状態になってしまったからというのも、寂しい気がしています。 Bさん高齢化の問題は、やはり持続可能性をいかに確保し、若い世代につなぐかなのですが、マンション管理の専門性の問題、また同時にコミュニティ、いやトレンドで言えばネイバーフッドですか、そのあたりの専門性も必要になるのかもしれませんね。 Cさんまずはマンション管理側の解決として、マンション管理士にお願いしたら、理事会運営方式から第三者管理に換えるには、どれぐらいの費用が必要なのか。また管理規約の改正など、どんな準備が必要なのか。私たちも学んでいきたいところですね。 大橋今日は、セミナーの後の短い時間を頂き、大変興味深く、みなさまの気付きをお聞きできました。ありがとうございました。

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  • 2022/09/15

    第2回 マンションみらい価値研究所セミナー 「管理計画認定制度が施行された!管理組合が絶対押さえておくべき重要ポイントとは」を開催

    8月末、管理計画認定制度をテーマにトークセッションが開催された。この日のゲストは、東京弁護士会の中でもマンション部会に所属している土屋賢司氏。この「マンション部会」とは、マンション管理士の資格を有する約40名のメンバーで構成されており、先の土屋氏も16年の弁護士生活の約半分はマンション管理士として活動。自身の業務も、マンション管理相談窓口の開設など約9割がマンションに関わる案件だという経歴の持ち主だ。 さて、本日のテーマとなっている「管理認定計画制度」の施行。その内容と、どのような期待がもたらされるのかと言った点でトークセッションが繰り広げられた。 まず、この制度に対してどのように思うか、という質問に対して口火を切ったのは土屋氏。「一言でいえば、マンション管理を公的に評価する、画期的なものだと思う」とまずは賛成の意思を示した。続けて「マンションは管理が大事というが、この制度をきっかけに、特に理事ではない“無関心層”といわれる人たちの意識付けのきっかけになればと期待する」と述べた。 そもそも、この制度施行の背景には何があったのか。そのおさらいを解説したのが、研究所所長・久保依子だが、開口一番「マンション管理適正化法が改正され、マンション管理計画認定制度が制定される、というニュースは最初しっくりくるものではなかった」と切り出す。その理由として「マンション管理適正化法は、マンション管理業者をしばる法律だという印象が強かった。重要事項説明や管理事務の報告、財産の分別管理など、マンション管理業者が守るべき条文が多い上、過去の改正はそれらをより厳しくするものであった」という。だが、「今回の適正化法の改正は、管理組合向けの制度の創設となっていた。国が管理組合の為にマンション管理適正化指針を定めている条文があり、今回の適正化法の改正は、管理業者をしばるものではなく、管理組合に向けた改正という点で過去の改正履歴とはずいぶんと違うものになっているように思う」と、久保も賛成も意志を表明した。久保がポイントとして挙げた2点を追記すると、「一つ目は管理不全または管理不全一歩手前のマンションには、指導、勧告、助言ができること。二つ目は、16項目の基準をクリアすれば国からマルがもらえること」だ。 土屋氏によると「認定する主体、つまり行政の立ち位置ががらりと変わった」ことが特徴だと語る。というのも、マンションという私的財産に行政が口を挟むのはお門違いだ、というスタンスを貫いてはいられなくなったのだという。それは「建物が老朽化して、外壁が通行人に危険を及ぼしたり、建物倒壊の危険などもある中で、行政が区分所有者に代わり建物を除却する必要が出てくることが想定できるから」。私的財産の範疇を超え、地域に被害をもたらす問題へと発展しかねないからだ。 今回の認定基準が修繕計画や修繕積立金など「修繕」に重きを置いているのはそのため。よって今回の改正でも、地方自治体ごとに適正化推進計画を策定することになっている。 「都道府県および市・区などの地方公共団体がマンション管理適正化推進計画を策定しなければ認定制度を行うことができない。しかし、推進計画の策定時期は全国一斉ではなく、マンション化率が低い地域などでは、策定しない地方公共団体もある。いずれにせよ推進計画策定後からのスタートということになる」と付け加えたのは、当研究所メンバーでもあり、本日のファシリテーターでもある丸山肇。 その裏付けとなるデータとして、国土交通省が各地方公共団体に行ったアンケート調査によると、政令指定都市では令和4年度中にすべての計画が策定される見込みで、全国の都道府県では28%が不明であり、東京都区部でいえば、本年度中が61%、令和5年度までが87%と、約9割が策定見込みだという。 適正化推進計画が策定されたら、いざ認定制度の申請へと進められるようになるが、申請には総会決議が必要となる。総会での決議までに取り組むロードマップは以下の通り。 まずは理事会で、管理組合にとっての目的や意義、メリットなどを整理する。現状が認定取得可能な管理状態なのか、補完的に整備する項目があるのかを確認し、補完整備が必要なら、区分所有者や管理組合の負担などを精査する必要がある。 また土屋氏は、「マンション管理の適正化の推進を図る基本的な方針(R3年9月)の中に、管理組合に向けて発した『マンション管理適正化指針』がある。認定基準の大元のような指針内容であり、網羅性も高く大変優れている。ぜひ、みなさんも一読いただきたい」と意気込む。 今回の制定は、目標を達成させるべく、管理組合員全員が管理意識を高く持つことが狙い。達成できれば認定がおり、認定されているマンションとして市場で高く評価されるというモチベーションにつながっていく。その認定期間は5年であることから、5年毎にその最低限度の状態を確認していくことになる。 さらに認定のメリットについて土屋氏は「大きく分けて2つある。一つ目は、フラット35の利率やすまいる債の利率が優遇されること。しかし重要なのは二つ目。認定を目指して理事や住民の意識が変わり、その結果、認定を受けられるような管理が実現すること。つまり認定制度を通じて管理そのものが改善されていくこと」と解説した。 加えて久保は「永住志向の方には関係ないと思うかもしれないが、それは違う。建物は高経年化が進み、同時に社会は少子高齢化。さらに住宅余りの時代となっている。管理不全に陥ったマンションを相続した子孫は、売れない、貸せないという負の遺産に苦しむことになる。これからのマンションは、市場から居住価値を認められるかどうかが大きなポイントとなる」とした。 終の棲家とするも、投資用とするも、“活きたマンション”でなければ意味がない。そのためには、日頃の手入れ、計画的なテコ入れという「管理の質」がすべてを物語る。そうした意味でも、今回の管理計画認定制度の施行は、専門家・マンション管理業者はもちろん、分譲マンションに住む人・住もうとしている人、すべてに一石を投じ、大きく舵を切る可能性を秘めているといえる。 さまざまな観点からの議論がなされたところで、丸山が管理計画認定制度に関する押さえておくべき全体像をマインドマップ化。カテゴリー分けされた課題について、より専門的な見解を促した。 管理計画認定制度は、今後の動きに大きな期待と注目が集まっていることは間違いない。

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  • 2022/07/01

    多摩マンション管理組合連絡会 セミナー&インタビュー取材

    多摩ニュータウンとその周辺地域は、旧公団・公社の団地や民間マンションが集まった国内最大のマンション集積地です。「多摩マンション管理組合連絡会」は、地域の管理組合と専門家、そしてマンション管理の経験が豊富な住民有志の連携組織。知恵を出し合い、さまざまな学びや問題解決などの活動を積極的に行っています。 今回は、2022年4月17日、パルテノン多摩にて同連絡会が企画したセミナー後にインタビューを実施。マンションみらい価値研究所のコラムニスト丸山が務めた講演内容も含め概略をレポートします。 多摩マンション管理組合連絡会会長:二宮 正行 様副会長:西山 博之 様事務局長:橋口 房雄 様インタビュアー:マンションみらい価値研究所 大橋 正和 (以下、敬称略) 多摩マンション管理組合連絡会の活動内容 (インタビュアー 大橋)本日は、当研究所の丸山をお招きいただき、「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」というテーマでお話の機会を頂きました。ありがとうございます。インタビューの後半で、今日のセミナーの感想などもお聞かせいただければと思います。まずは、多摩マンション管理組合連絡会の活動内容やマンション管理の課題などをインタビューさせていただきます。 多摩ニュータウンは昭和40年頃に開発が始まり、すでに50年程の歴史があります。周辺のマンションも合わせると、400以上の管理組合があるとのこと。初期に建設されたマンションは、すでに築40年を超えるものもあります。連絡会が結成されて14年目。やはり、高経年マンションの問題などもあり、問題意識が高まって連絡会を立ち上げたということが背景でしょうか。また具体的にどんな活動をされているかもお聞かせください。 (橋口)事務局長の橋口です。現在は、理事会に加え、メンテナンス部会・管理運営問題部会・民間マンション部会という3つの委員会を、毎月1回それぞれ会合を実施しています。加えて、毎年7月の新任理事実務講座、年2回のセミナーや総会、また、広報部会では定期的に広報誌も発行し、連絡会のホームページも更新しています。本日のセミナーも定員を48名としていましたが、おかげさまで満員御礼となりました。※多摩マンション管理組合連絡会URLhttps://tamakanren.org/ (インタビュアー 大橋)頻繁に活動されているようですね。総会や年2回の定期セミナーも入れれば、年40~50回ぐらい会合をされていて、とても素晴らしいと思います。 ところで、多摩ニュータウンは、公団が供給から撤退された後は、民間のデベロッパーが供給を始め、比較的新しいマンションも多くあると聞いています。二宮さんはお若い方なので、お住まいは民間の方のマンションですか? (二宮)現在、会長をさせていただいております二宮です。そうですね、私は、ニュータウンの中で十数年前に民間が分譲したマンションに住んでいます。私が所属する管理組合には、連絡会設立当初より組合会員として入会しておりまして、三期の理事長に就任した際に、連絡会に参加したのがきっかけです。マンション管理の勉強にもなると思って、理事長退任後に連絡会役員として地域活動に参加させていただいています。また、連絡会を立ち上げた現在の副会長・西山さん、常光さん他設立メンバーの努力かと思います。多摩市への働きかけや多くのマンションへの声掛けなど、奮闘の末、連絡会ができたと聞いています。 (西山)みなさんのご協力で設立できたのですが、準備だけで2年ぐらいかかりましたでしょうか。最初は少数の有志と、現在も中心となっている管理組合、そしてマンション管理士などで設立準備に入りました。多摩市にご協力いただき13回にも及ぶ設立前の準備会も、市役所に会議室をご提供いただきました。そして、2008年3月に多摩市長名で、会員募集を開始いたしました。私の住むマンションは、ニュータウンの中では初期のころに建設された公団のマンションで、すでに築年数も40年を超えています。しかし当時は、高経年マンション問題というより、多摩ニュータウンのマンション供給が公団から民間分譲に切り替わり、タウンに新しいマンションも増加していったのですが、タウン内のマンション住民や管理組合のつながりなどが、どんどん希薄になっていってしまいました。 また、マンションの管理運営は難しいもので、地域としてのつながりの中で、経験や知識の共有をしていく意義は十分にあるという思いもあり、みなさんに声をかけていきました。 (連絡会の設立について語る 西山様) (橋口)連絡会の中でも公団時代の古いマンションの多くは、メンテナンス部会・管理運営問題部会などで活躍されており、最近は、新しい民間のマンションは民間マンション部会で活動されています。いまや、最も活発なのが、民間マンション部会でしょうか。 (西山)旧公団系のマンションと民間系のマンションでは、単に古いか新しいか、という違いだけでなく、マンション管理の意識の違いも大きいのです。旧公団系の管理は、完全に自主管理というわけではありませんが、管理会社に委託する範囲はごく一部です。ですから、大規模修繕工事もすべて自分たちで、どうしようかと考えていかなくてはならない。ある意味、必死なんですね。新しい民間系は管理会社への全部委託のところもありますから、そのあたりの意識の違いは大きいかもしれません。 (二宮)とはいえ、理事会が替わると、連絡会に顔を出さなくなるなどのケースもありますね。致し方ないのかもしれませんが、自主性を持って運営を行うことが大切だと思うのですが、マンション管理は専門的です。単なる知識だけでなく、いろいろな経験知を共有しながら、マンションのそして街全体の居住価値が高まれば素晴らしいことですね。 (左:西山様 右:二宮様) 多摩ニュータウン 50年の変化 (インタビュアー 大橋)ありがとうございます。話は変わりますが、多摩ニュータウンの街の変化についてお聞きします。他の40年・50年と経過していったニュータウンでは、年代別人口構成のピラミッドが逆三角形の少子高齢化現象になったり、商店街もシャッター商店街といわれる閉店する店舗も増加していたりすると聞きます。大阪の千里ニュータウンは、ニュータウン自体の再開発として、複数のマンションが建替えにより生まれ変わっていく事例もありますが、多摩ニュータウンはいかがですか? (橋口)多摩ニュータウンは、シャッター商店街は出現していませんが、確かに他のニュータウンではそんな現象が問題になっているようですね。しかし店舗の業種は入れ替わり、介護系やデイサービスなどの店舗が増えているようです。多摩ニュータウンは東京都心にも近く、交通の利便性もよく、駅前はにぎやかなのでショッピングにも便利です。緑も多いですし道路も広い。高低の緩やかな変化もあり、住まうには最適な街ではありますが、今後の少子高齢化の中で、街としての持続可能性は、やはり、より若い世代が住みたいと思える街づくりがポイントなのでしょうね。 (西山)大阪の千里ニュータウンは、建替えがたくさんあるようですね。多摩ニュータウンでは、永山の諏訪2丁目団地という640戸のマンションが、1240戸を超えるマンションに建替えられています。日本初の団地の一括建替えという事業でもありましたが、その後、他のマンションも追随するかというとやはり、余剰容積や収支の難しさなどもあり、いかに永く、居住価値を維持していくかをテーマに考えるマンションが多いようですね。 講演内容の感想 (インタビュアー 大橋)なるほど、マンションの高齢化そのものに目が行きがちですが、“街”もマンションのポテンシャルになるわけですから、自分のマンションだけでなく、もっと視野を広げ持続可能性を考える必要があるのですね。確かに建替えといっても、簡単にできるわけでありませんし、できるのは条件のそろった、ほんの一握りのマンションだけですからね。 さて、本日は「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」というテーマで、マンションみらい価値研究所の丸山より講演させていただいております。適正化法の改正の本当の“狙い”があって、また管理計画認定制度がマンション管理を変えていくターニングポイントになりえるということを私も納得しましたが、ここでご感想などをお聞きしたいです。 (橋口)今回の適正化法の改正や管理計画認定制度を深く理解されていない方には、難しかったかもしれません。しかし、改正した“狙い”とか、管理計画認定制度が作られた背景を知ることで、いま、マンション管理に直面する課題を初めて理解できるのかもしれませんね。 (二宮)お話の中に「資産価値」と「居住価値」という内容がありました。「資産価値」は、流通価格など客観的に評価できる価値ではあるけれども、売って初めてお金になるもの。現代は、永住志向が強いため、自分のマンションを売る前提ではありません。一方で「居住価値」は、住んでいる人しかわからない主観的な価値。とはいえ、住み続けるなら「居住価値」が大切だし、それを客観的に証明できるようになる制度が、今回の管理計画認定制度というところが目からうろこが落ちる思いでした。管理組合が目指す目標が明確になり、また中古流通市場も管理計画認定制度を基準に評価されていく、そんな転機が今回の改正だったんですね。今後は、連絡会も行政と連携を取りながら、本制度を多摩市全体に浸透させ、街全体を活性化させてきたいと思います。 (インタビュアー 大橋)今日はお忙しい中、貴重なご意見を賜りありがとうございました。多摩ニュータウンに根付く、「マンションの」「管理組合の」「街の」まじめなコミュニティ活動を、マンションみらい価値研究所はこれからも応援してまいります。 (左:橋口様 中央:西山様 右:二宮様) 「改正マンション管理適正化法の“狙い”と管理計画認定制度」講演骨子 「日本人にとってマンションってなんだろう」高度成長期に都市部へどんどん人が集まり住宅が不足。一般的なサラリーマンの給料では高額過ぎて購入が難しい、立地の良い戸建てから、マンションに注目が集まり始める。しかし、高度成長期が終焉(しゅうえん)を迎え、作り過ぎた住宅が、世帯数よりも13%程度も多い住宅余りの時代に突入していき、ここを“終の棲家(ついのすみか)”にと思い始めた頃には、さまざまな問題があることに気付きはじめる。 環境変化はそれだけではない。適正化法制定から今回の改正に至る20年間で、消費税の導入や最低賃金の上昇で管理組合収支は悪化の一途をたどり、さらに住まう方の半数が60歳以上となった。そして、管理会社が管理組合を選別していく時代にもなった。 講演では、上記の環境変化を整理するとともに、「資産価値」と「居住価値」の違いや今後の中古流通市場の在り方を整理しつつ、管理計画認定制度の認定基準が、管理組合の運営上の目標になることを確認していく。 講師:マンションみらい価値研究所 コラムニスト 丸山 講演目次 マンションみらい価値研究所では、管理組合運営等の研究や情報交換などを行っているNPOや団体からの依頼でセミナー等の講演を行っています。お問い合わせフォームよりお申し込みください。

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  • 2022/06/23

    第1回 マンションみらい価値研究所セミナー 「マンションの“みらい”への期待と課題」を開催

    6月1日、マンションみらい価値研究所は「マンション元気ラボ」と統合。合わせて、「マンション元気ラボメルマガ会員」も「マンションみらい価値研究所メルマガ会員」と改称して、新たなスタートを切ることとなった。 これを記念し、情報発信・交流の場として新設された配信スタジオ「赤坂プラスタ」にてオンラインセミナーを開催。「マンションの“みらい”への期待と課題」をテーマに行われ、約100名の方にご視聴いただいた。 セミナーには、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子が出演、ファシリテーターを同じく研究所メンバーでコラムニストの丸山が務めた。そしてゲストには、横浜マリン法律事務所の弁護士でマンション管理士の資格を有するの佐藤元(げん)氏を迎え、座談会形式でのセッションとなった。 冒頭、法律家である佐藤氏が、「マンション管理適正化法」や「建替え円滑化法」などの相次ぐ法改正をどう見ているかというポイントから議論はスタート。これについて佐藤氏は「マンション管理適正化法の改正により、管理計画認定制度が導入されると共に、管理が不適切なマンションへの勧告制度が創設されたことで、今後空き家措置法のように強固な措置が議論されていくかに注目している」と述べた。さらに建替え円滑化法については、「団地の敷地分割が実務でどう使われていくかにも関心がある」とコメントした。 また久保は区分所有法に触れ、「実はマンションだけの法律ではなく、戸建てでも共有部分があれば団地管理組合が成立する。マンション同様、修繕積立金を集めて維持管理を行うだけでなく、集会棟にEV充電器を設置して共用のレンタカーを運用したり、太陽光パネルを設置していたり、街づくりという点ではマンションより進んでいる例もある」とあいさつに一言を添えた。 そして議論は、本セミナーのお題である「マンションの“みらい”への期待と課題」へ。「マンションとは私たち日本人にとって、なんなのだろう?」という点に着目してはじまった。 口火を切ったのは佐藤氏で、「国土交通省の調査によると、分譲マンションのストック数は一昨年の年末時点で675万戸であり、国民の1割超が居住している計算になる。その上で“マンションとは私たち日本人にとって、なんなのだろう?”に沿って考えると、区分所有者が管理のためにやらなければならないこと、やれることのギャップが大きいと感じている」と発言。 そのギャップについての説明として「運営の中には、技術的なこと法的なこと、難易度の高い判断が求められることが多い。理事会のメンバーに専門家がいるとは限らない中、コンサルタントや弁護士に委任して意思決定していく必要がある。しかし役員のなり手不足は深刻で、これでは理事会管理方式が成り立たないことも頭を悩ませる問題だ」とした。そこで話は「区分所有法」へと進む。 「昭和37年に制定された区分所有法は、建替えや解消の規定を備えていなかった。これではまずいと昭和58年に全面改正し、建替え決議を追加。その後平成14年にも改正を行い、建替え要件を一部緩和している。この時の建替え円滑化法により、建替え決議がなされた事案を、行政法のスキームを使って進められるようになったのは大きい」と評価。「平成26年の改正では敷地売却制度を新設したことにより、5分の4の決議で実現できるように。また阪神・淡路大震災を受け『被災マンション法』が制定されると、全壊の場合5分の4の決議で再建できるようになり、東日本大震災後の平成25年には大規模一部滅失の場合でも5分の4の決議で解消、敷地売却ができるようになった」と解説した。 「しかし、問題は区分所有法。現状で区分所有法に解消の制度はない」と指摘。出口を考えずに走りだしてしまった制度だと憤った。 これに対し久保は「建替えや売却など、マンションに解消という出口がないということは問題だが、実は区分所有者にも出口は用意されていない」と斬り込む。 「独居老人となった時、自分の死後はどうなるのかという問題がある。相続人がいなくても国が引き取ってくれるというわけでもない。管理組合には重くのしかかる問題となり、相続財産管理人制度を利用せざるを得ない状態になる」と八方ふさがりの事例を展開する。 果たして日本人にとってマンションとはなんなのだろうか、その解決の糸口を探るべく、リゾートマンションの温泉設備を巡る維持管理や滞納管理費の問題、またシニア向けマンションでは認知症を患うと退去しなければならないという規約がある問題、投資用ワンルームマンションの利益相反への問題、タワーマンションの解体問題なども例に挙げられる。 一方で丸山は定期借地権へと話を移す。「50年など期限付きの借地の上で建てられていることで、出口が明確になっているマンションもある。この出口に向け解体費用を積み立てることは、終わりを想定していない場合と異なる点では総じて評価できるのでは」という持論を展開した。 さまざまな観点からの議論がなされたところで、丸山が「これまでに出てきたキーワードを分類し、マインドマップのように見える化してみる」ことを提案。カテゴリー分けされた課題について、より専門的な見解を促した。 先に回答を求められた久保は、「高齢化」が最たる課題だと指摘。建物の高齢化はもちろん、人の高齢化は「認知症問題」へと発展し、マンション内でも認知症の入居者を巡るさまざまなトラブルが起こっている実情を紹介した。また、独居老人の孤独死も起こり得ることであり、人の高齢化とマンション、そして認知症対策こそ、これからのマンション管理業界のミッションだとコメントした。 続いて佐藤氏が挙げたのは、「区分所有法」について。現在「建替え円滑化法」と共に改正の議論が進められているとし、「日弁連からも検討メンバーを派遣し『区分所有法研究会』を発足された。私もその委員会の特別委嘱委員として参加している。建替え用件では、5分の4の決議を、4分の3ないし3分の2まで緩和できないかなどが検討されている」という貴重な情報を明かしてくれた。 高度成長期に住宅不足であった日本において、とにかく建物を作るために作られた法律であったことは間違いない。これによりマンションブームが起き現在に至る。しかしながら、弊害や将来の不安も見えてきた現代。そのまとめとして丸山は、悲観的な言い方になってしまうようだがと付け加えた上で「“マンションとは日本人にとって、なんなのだろうか?”、その答えは、あるべき姿を法律が示してくれないが故に、経験と知識のない多くの日本人を困らせる住まいへとなってしまいそうだ」とした。 「出口のあるマンション」──ここに着目することで、マンションの未来と課題に対する“出口”が見えてきそうだ。 次回の配信は7月27日(水)16時より、「管理計画認定制度施行された!管理組合が絶対押さえておくべき重要ポイントとは」というテーマで、ゲストにはマンション管理に関わる弁護士の土屋賢司先生をお招きし、セミナーを予定している。

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