セミナー実績

過去に実施された講演・セミナーをセミナー実績としてライブラリー化しています。

  • 2024/07/03

    第19回 マンションみらい価値研究所セミナー「賃貸仲介の現場からひも解く入居者ニーズ〜マンションの管理状況は大事な判断基準〜」

    6月13日(木)、第19回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストにアットホームラボ株式会社 執行役員の磐前淳子(いわさきじゅんこ)氏を迎え、「賃貸仲介の現場からひも解く入居者ニーズ〜マンションの管理状況は大事な判断基準〜」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。終の棲家と思われている分譲マンションだが、将来的に売却や賃貸に出すことを想定すれば、物件としての資産価値の維持や向上は必須だ。そうした観点から、賃貸仲介の現場におけるマーケットニーズを解説してもらった。 <ゲストPROFILE>磐前淳子 氏アットホームラボ株式会社 執行役員データマーケティング部 部長 不動産情報サービス「アットホーム」に入社後、営業職・企画職に従事。2019年よりアットホームのAI開発・データ分析部門より独立した「アットホームラボ株式会社」の設立に伴い、現職に至る。不動産市場動向や業況の分析などを担当し、各種レポートの公表のほか、講演・執筆、メディア対応などを行う。 セミナーの冒頭で磐前氏は、不動産業界は長いコロナ禍の停滞期を抜け活気が戻っているとしたうえで、賃貸住宅の家賃の推移について解説した。 『地場の不動産仲介業における景況感調査』(23年10月〜12月期)によると、コロナの感染が拡大した2020年は過去最低の落ち込みを見せるも、行動制限が緩和されると業況は回復傾向となり、2024年に入るとコロナ禍前を上回る水準となった。 顕著なのは東京23区の家賃高騰。今年頭から出足は好調で、いわゆる春の繁忙期はさらに好調感が増したという。特にファミリー向き物件が人気で品薄の状態となっており、実際にファミリー向き物件の家賃上昇は昨年の同じ時期に比べ5.8%、金額にして12,252円増加しているという(50㎡〜70㎡/221,940円 ※アットホーム調べ)。磐前氏によるとその主な理由は2つあり、一つ目は建築や維持管理にかかる諸費用の高騰、二つ目は分譲マンションの高騰による賃貸需要の増加とした。 さらに、コロナ禍のリモートワークにより都心を離れた人たちを含む、都心への人口流入の回復も賃貸需要を後押ししていると補足した。コロナの5類移行後はその動向が著しく、経済活動の本格再開で職住近接の思考が高まっているそうだ。 また磐前氏は「今年いっぱいは家賃の上昇が続く」と予想していると語る。その理由は「下がる要素が見当たらないから」とした。 では、価値のある住まいの価格とはどうやって決まるのか。磐前氏は、駅徒歩分数や築年数といった“当然の需要”もさることながら、自然災害が多発している昨今においては、洪水被害リスクの指針となるハザードマップも重要であるという。興味深いのは、古地図で立地を確認するのも有効であるということ。大切にされる寺社仏閣などがあるエリアは、地盤や高台などの条件から災害に強い可能性が高いとした。 これらの説明を受け当研究所所長の久保依子は、「賃貸全体の景気は良いが、すべての物件の価値が上がる訳ではない。消費者が何を欲しているのかを意識することが、マンションの資産価値向上につながるといえる」と語った。 また磐前氏に対し「国土交通省による管理計画認定制度やマンション管理業協会によるマンション管理適正評価制度など、マンションの管理の状況を外部から見える化する試みが進められているが、こうした制度が資産価値に影響するのか」と問いかけると、「十分に影響する。アットホームグループでも消費者の方に対し、物件情報の中にそれらをわかりやすく表示することを心がけている」とした。

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  • 2024/06/12

    第18回 マンションみらい価値研究所セミナー 「防災の根幹問題を理解し、何をすべきかを考える」

    5月22日(水)、第18回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに東京大学生産技術研究所 教授 加藤孝明先生をお招きし、「防災の根幹問題を理解し、何をすべきか考える」と題しお届けした。司会とナビゲートはマンションみらい価値研究所・所長の久保依子。今年の元旦に発生した「令和6年能登半島地震」や「熊本地震」、「糸魚川市の火災」など、日本で多発する災害に焦点をあて、マンションに住む人々が何をすべきかについて議論する対談形式で行われた。 <ゲストPROFILE>加藤孝明 氏東京大学生産技術研究所・教授東京大学社会科学研究所・特任教授 都市計画、まちづくり、地域安全システム学、防災、復興準備を専門領域に、災害シミュレーション等の数理的・工学研究を行っている。また「防災【も】まちづくり」を提唱し、防災を基軸とした総合的な地域づくりを志向し研究活動・実践活動に取り組んでいる。携わった活動の受賞歴に、 防災まちづくり大賞総務大臣賞(葛飾区新小岩) レジリエンスアワード2018グランプリ(伊豆市土肥) 国土交通省先進的街づくりシティコンペにて受賞(徳島県美波町伊座利集落) その他にも 日本建築学会奨励賞 地域安全学会論文賞 日本都市計画家協会楠本賞 都市住宅学会論説賞 地区防災計画学会論文賞 日本都市計画学会計画設計賞 等 加藤教授は現在、東京大学内において理科系の「生産技術研究所」と文科系の「社会科学研究所」に所属し、多角的に防災を捉えながら、専門である都市計画やまちづくりの観点で防災を主軸とした地域づくり・暮らし方を研究・施行しているという。 そんな加藤教授の講義を受けた久保が、第一声で「大きな災害が頻発している中、私たちも災害に対する向き合い方が進んでいると思いきや、『公助』でやってくれるべきだという間違った認識になっていた」とコメント。加えて「行政が災害を防げなかった際に謝罪会見をしているのも、当然のように思って見ていた」とも。 これらの感想に、今回のセミナーにおける最も重要なポイントが詰まっているといえる。 大規模震災が起きるとニュースでは、学校体育館などの避難施設に多くの人が収容されている映像や、炊き出し・給水・ボランティア活動の映像が流れ、多くは「公助」のシーンが多く採用されている。「被災しているのだから当たり前」という発想があるが、加藤教授はこれを「常識の中の非常識」という言葉を用い解説している。 その一例として「被災したら被災地に留まって、不自由な被災生活を送る」ことももしかしたら常識の中の非常識であるかもしれない。また「被災者は被災者らしくという意識が働くこともあり、コンビニで水を買うことができても、ボランティアがせっかく運んでくれた水を有難そうにいただく」ことも常識の中の非常識であるかもしれない、と説明した。 こうした視線を持って考えてほしいというのが加藤教授のメッセージであるのだが、対談の際に久保が「私たちマンション管理会社では、地震発生時に被害の状況や復旧時期の目安など、住民に知らせた方が良いと思われる情報を分かる範囲で掲示している」と紹介すると、加藤教授は「とても親切である一方で、行政と同じで管理会社に任せておけばなんとかしてくれるといった、『公助』があたり前だという錯覚が生まれる懸念もある」とコメント。 そのうえで加藤教授は、住民が災害を自分事に捉えられるように「居住者のみんなで災害を頑張って乗り越えよう」というメッセージを追加したらよいのではないかと提案した。 また、久保は自身の実体験として「趣味でサーフィンをしているが、サーファーは波に乗っていると地震に気付けない。なので、地面にいる人がサーファーに向かって「(地上へ)上がれ〜!」と声掛けする。それを受けたサーファーが次々大きな声で伝達し合うという仕組みになっている。実はこの伝達方法が、防災無線よりも早く海にいる人に届く」と解説。つまり、こうした自助ルールがコミュニティに文化として根付いていることこそが理想であるはずだと語った。 災害のリスクを認識していながらも、思うように防災活動が進まないといった課題を抱えているマンションも多い。久保から「どのようなときに防災について考えるようになるのか」と質問すると、加藤教授は「(講義の中で)延焼運命共同体という話をしたが、マンションはまさしく運命共同体。電気が通らなくなればみんな電気が使えなくなるし、水が出ないとなればみんな水が使えなくなる。自分たちが同じ空間を共有する運命共同体であると認識することで、防災を考えるきっかけになる」とアドバイスをした。 まとめとして加藤教授は「防災の根幹問題は、桁外れに大きい需要に対して桁外れに少ない資源しかないというアンバランスが原因。このバランスを是正していけば、災害を難なく乗り越えられるようになる」と述べ、やるべきことは「需要を減らす、資源を増やすという、この2つに尽きる」とした。

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  • 2024/05/09

    第17回 マンションみらい価値研究所セミナー「マンション管理の法改正の移り変わりとこれからの課題」

    4月18日(木)、第17回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに弁護士の篠原みち子先生をお招きし、「マンション管理の法改正と移り変わり」と題しお届けした。司会とナビゲートは、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子。今後のマンションがどうあるべきか、またどんな課題があるのかなどについて対談形式で解説した。 実際、久保自身も法律家がマンション管理の現場に携わることを多く経験している。たとえば区分所有法の制定や標準管理規約の制定といった業界全体に関わる大掛かりなものから、個々の集合住宅で起こる漏水や騒音トラブル、区分所有者間の内部紛争といったものに至るまでさまざまだ。 区分所有法が制定された当初は、管理室が不動産会社か管理会社名義になっていたり、共用部分である駐車場を不動産会社が売買をするなどといったことがあり、関連した紛争も珍しくなかったと振り返る。 さらに後々困ったこととしては、等価交換による旧地権者を優遇し、旧地権者に専用使用権を広く認めたり、管理費等の負担割合を安く設定したりしているケースがあり、管理組合での解決が困難になったことなどがあったという。 こうした過去の事例を参考に、区分所有法や関連法、管理規約などが整備されてきた。さらには判例の集積なども関係して、かつては多かったペットの飼育や騒音に伴うトラブルは、昨今では主たる課題に挙がらなくなってきている。 では、どういったタイミングでマンション管理に関する法律が制定または改定されてきたのだろうか。その歴史について久保が解説しながら、篠原先生と振り返った。 上記は、昭和37年(1962)に区分所有法が制定された年から、日経平均株価の変動を横軸とするグラフであり、国内景気とマンション管理に関する法制定を俯瞰するものだ。注目すべきは昭和57年(1982年)に「中高層共同住宅標準管理規約」が制定されたこと。これは、各不動産事業者によって不適切なルール設定が管理規約などを用いて行われていたことに対し、業界に対する指針を示すという位置づけであった。 昭和58年(1983年)に区分所有法は大改正され、今日の骨子ができあがった。ところが、この直後にバブル景気が起こりマンションは乱立。ペット飼育者が増えたことやリゾートマンション開発などもあり、景気を反映するように移りゆくマンションの形態に合わせて法の改正が行われてきた経緯が見受けられる。 マンションの形態だけではなく、平成7年(1995年)に発生した阪神・淡路大震災といった災害を受け、「被災マンション法」「耐震改修促進法」などが新たに制定されるなど、区分所有者を守る法律が必要であることにも気付かされた過去がある。 平成12年(2000年)には「マンション管理適正化法」の制定、平成14年(2002年)にも区分所有法の改正があり、ここで大規模修繕が過半数の決議で可決となった。 ちなみにこの平成12年の適正化法制定では、これまでの「集合住宅」の名称から「マンション」という和製英語が法律用語として正式に採用されているのにも注目だ。 その後も、構造計算書偽造による刑事事件を起こした「姉歯事件」や、「東日本大震災」などを経てその都度法改正などが行われていることに鑑みると、少子高齢化をはじめとする現代の日本の現象を受ける形で今後も法律は変わっていくはずだ。また、これから予定されている区分所有法の改正の中でも、新設が予定されている「専有部分財産管理人制度」について、篠原先生に実際に裁判になった事例の紹介を交えながら解説をしていただいた。現行法では、ひとたびゴミ屋敷となれば、その解決は非常に難しい。こうした課題の解決に区分所有法の改正が特効薬になるのかという問いにはいくつかの疑問点の指摘がなされた。 マンション建設ラッシュの時代に建てられた多くのマンションの老朽化をはじめ、空き家や認知症居住者の増加、(高齢者のみの世帯の増加を含む)家族形態の変化など日本は新たな課題に直面している現状がある。今後、マンション管理不全や建物の老朽化の課題が多発することが予測され、その都度、マンション管理を取り巻く法律は時代に合ったものに移り変わっていくだろう。

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  • 2024/04/11

    第16回 マンションみらい価値研究所セミナー「超長期修繕計画から見いだせるこれからのマンション」

    3月22日(金)、第16回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに明海大学不動産学部の藤木亮介准教授をお招きし、「超長期修繕計画から見いだせるこれからのマンション」と題しお届けした。司会とナビゲートは、私、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子。 藤木先生が研究されている80年以上という「超長期修繕計画」に関して、考え方・メリット・今後の課題はどんなところにあるのかを教えていただいた。 藤木先生は、東京電機大学工学部建築学科を卒業後、社会人生活を送りながら同大学の大学院にて修士課程を修了。さらに東洋大学大学院工学科研究科に進学し博士号を取得してされた。その後、お父様が創業したマンション保全のコンサルタント業である株式会社スペースユニオンを経て、現在の明海大学不動産学部で教鞭を振るわれている。 この経歴を見ておわかりいただける通り、藤木先生は、学術的な理論だけでなくマンション保全のコンサルタントを経験したという学問と現場の両方を知る方である点が異色の研究者である。 その藤木先生に、実務家であり研究者という視点から「超長期修繕計画」の必要性について語っていただいた。 藤木先生は2021年に「マンションにおける超長期修繕計画を活用した修繕費支出の高額化予測」という論文を発表されている。これによると、「修繕積立金の値上げ」という課題に対して急激な値上げには管理組合として合意形成に至ることができない場合が多いと説かれている。この“パターン”から抜け出すために考えたのが「超長期修繕計画」であり、その年数は80年以上の期間で計算されているという。 その説のとおり、先々に起こり得ることを予め見越した上で対応できるようにすれば、将来を予測し、長い期間をかけて資金の準備ができるようになるだろう。 ひとつ疑問になるのが「80年」という数字だが、これは現代の長寿命社会を見越した上でのもので、人生設計の一つの指針にできるのではないかと考えた数字だそうだ。確かに人生の長さを考えると、今の標準的な期間である30年の長期修繕計画の考え方では、短すぎるのかもしれない。 こうした考えを実際に落とし込み、築37年から築125年まで89年間のシミュレーションを行った事例を藤木先生よりご紹介いただいた。80年先の話とは夢のまた夢のような気がしていたが、試算してみることでマンションの将来の選択肢が広がることがわかった。

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  • 2024/03/19

    第15回 マンションみらい価値研究所セミナー「驚愕!! こんなに違うの?〜韓国のマンション管理事情〜」

    2月29日(木)、第15回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに韓国で最も多い管理戸数を誇る「ウリ管理株式会社」の盧 炳龍(ノ・ビョンヨン)会長をお招きし、「驚愕!! こんなに違うの?〜韓国のマンション管理事情〜」と題してお届けした。司会とナビゲートは、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子。 今回ご登壇いただいた盧会長は日本語が堪能で、さらに日本の住宅事情にも詳しいのだが、そのご経歴について伺った。大学では建築工学を学び、卒業後は現・サムスン物産建設部門に入社。その後日本の大成建設にも出向の経験を持つ。さらに1年間にわたり慶応義塾大学ビジネススクール(以下、慶応ビジネススクール)で学んだ経験をお持ちだということだ。 さて、今回は日本と韓国の管理会社の違いを考察する回として、まずは管理会社の受託戸数の比較を行った。マンション管理新聞が毎年発表する「2023年版 マンション管理会社受託戸数ランキング」によると、大和ライフネクストは第6位にランクインし、戸数は約27万6千戸。そして第1位の管理会社は約50万戸、第2位が約49万戸となる。 一方で盧会長が起業したウリ管理会社はというと、なんと98万2千戸の管理を受託しているという。その数は、日本の1位2位を合算した戸数に匹敵する。韓国といえば、韓流ドラマにもよく登場するセレブリティなマンションをイメージする人も多いだろう。さぞや韓国のマンション管理事情は大きなお金が飛び交っているのだろうと思いきや、「実はあまり儲かっていない」と盧会長は明かす。さらに、国民の3/4がマンション住まいであることから、必ずしもステータスになるとは言い難いとも。その実態をひとつずつ紐解いていった。 1997年、盧会長が慶応ビジネススクールで受講をしている頃、韓国では「通貨危機」が起こる。国家破綻の危機ともいえる事態を受けて、本来であれば1998年春の卒業予定を半年早める形で急ぎ帰国したという。当然住宅産業にも大きな影響を及ぼし、順調に分譲していたマンション市場は大混乱となり、未分譲が増えていったという。 韓国では、建設会社がマンションを建設し、販売も行っていた。盧会長が未分譲の解消のために日本の分譲マンションビジネスの実態を研究したところ、日本では建設会社ではなくデベロッパーが分譲マンションを計画し、販売を行っている事実を知る。日本のデベロッパーにヒアリングを行った際、盧会長が「韓国では100倍・200倍の競争率がある」と話したところ、「それはもっと高く売れるものを安売りしているということであって、機会損失になっているのではないか」との指摘があったそうだ。そのほかにも、韓国の建設会社では「売ったら終わり」であるのに対し、日本のデベロッパーは「売った後の暮らし方」にまで携わることなど、管理に対する感覚の違いを知り、学べる点が多かったという。 ヒントを得たのは「管理はストック産業である」という言葉だったと盧会長は話す。「まさに目からウロコが落ちる思いがした」と、発想のギャップに驚いたようだ。 こうした経験をもとに、2000年にサムスン物産の子会社として管理会社が設立され、盧会長が当時副社長に就任。その後に独立し、2002年に既存のマンション管理会社を4社買収して「ウリ管理会社」を起業した。ウリ管理会社は設立当時から現在までに至るまで、韓国最大手の管理会社である。 一方で、その収益構造にはまだまだ課題があるようだ。実際にどのような仕組みでビジネスを行っているかについて、韓国のマンション管理法律年表を用いて解説が行われた。その中でも注目すべきは、1984年4月に施行された「集合建物の所有及び管理に関する法律制定」だ。これは日本でいうところの「区分所有法」にあたり、実際に日本の区分所有法から学び作られたものだとした。 日本では区分所有法を前提とし、そこからさまざまな法律が施行された経緯があるため、ここも日本と韓国で大きく異なるポイントであるといえよう。 また、2015年には「住宅管理士制度」が新設されており、300戸以上のマンションには必ず住宅管理士を管理事務所長にすることが法律で定められているということだが、これは日本でいうところの適正化法に定める「管理業務主任者」にあたると思われる。 日本では、分譲マンションの区分所有者で管理組合を構成し、区分所有者が理事長をはじめとする役員を選出、そして理事会がつくられることが一般的である。一方韓国では、区分所有者および占有者が区分所有者の中から入居者代表会議のメンバーを選出する仕組みで、2020年からは区分所有者が不足する場合に占有者もメンバーに選ばれることが可能になったという。とはいえ、占有者──つまり賃借人が会長の座に就くことはできないようだが、占有者も議決に参加できたり、メンバーに選出されるという点で日本とは大きく異なっている。 その占有者だが、韓国では管理費を支払うのは区分所有者ではなく占有者であり、修繕積立金は区分所有者が払うのだそうだ。 そして先述した通り、盧会長が講演中に語った「受託戸数の割にあまり儲かっていない」という管理の仕組みについて紹介する。「管理会社の位置づけ」として、まず日本では、管理会社と管理組合は管理受託契約を締結し、管理会社から管理員やフロント社員などを派遣する形で運営をサポートしている。 一方韓国では、入居者と管理会社が管理受託契約を締結するところは同じで、「委受託契約」というのだそう。形式上は似ているのだが、実際の中身はというと「管理組合の管理会社への支払いは委託手数料のみ」だという。そこで問題は、管理事務所長である住宅管理士をはじめとする多くの常駐管理員の給与がどこから支払われるのかということだ。その給与は、入居者代表会議──つまり日本でいうところの管理組合が直接支払いをしているという。つまり、管理会社は住宅管理士などを雇用し教育を行っているのに、彼らに給料を支払っていないということだ。よって「委受託」による「手数料」には人件費は含まれないことになるのだ。 その「手数料」がどのぐらいになるのかという質問では、「恥ずかしいですね」と盧会長が前置きしつつ、「坪あたり2円が韓国の平均」だとした。これでは、韓国の通常のマンションでは、戸当たり数十円となってしまう。なお、韓国の「手数料」にあたるものを日本にあるもので置き換えて考えてみると、標準管理委託契約書に定める「事務管理業務費」となるが、これは一般的には戸あたり数百円から千円を超える程度といわれている。 このような仕組みとなった理由として盧会長は「以前は悪徳業者の横行などもあり、管理会社がお客様から信頼を得ていなかったからではないか」と考察した。 盧会長が管理会社を起業した当初は、日本の管理会社をモデルに事業基盤を築こうとしたとも明かす。しかしそこには韓国特有の仕組みが大きなハードルとして立ちはだかったことから、日本のモデルを追うのではなく、いかにして韓国独自の管理事業を展開していくかが現在の課題だと話す。そのためには、人を核としたプラットフォーム化を通じて、マンション管理を発展させていきたいと語った。

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