セミナー実績

過去に実施された講演・セミナーをセミナー実績としてライブラリー化しています。

  • 2023/06/16

    第7回 マンションみらい価値研究所セミナー「マンション管理が直面する「今」〜住むなら分譲、それとも賃貸?〜」

    5月18日(木)、第7回となるセミナーが開催された。今回は公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 会長・塩見紀昭氏をお招きし「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」と題して議論を行った。 識者登壇の前に、当研究所所長である久保依子が、自身が執筆し5月11日に公開したレポート「単身者用 分譲賃貸マンションの現状~修繕積立金不足から第三者管理者方式、ワンルーム規制条例まで~」の内容について解説を行い、「分譲賃貸マンション」という、消費者にとってはあまり聞きなれないワードの定義を紐解いた。 「マンション」という呼称は、その入居形態によって“頭”につく表記が変わる。例えば、区分所有者自身が住まうために購入したもの(または販売されたもの)に対しては「分譲マンション」であり、企業などのオーナーが所有し賃貸を目的としたものに対しては「賃貸マンション」である。 その中間にあるのが「分譲賃貸マンション」だ。これは本来分譲マンションとして購入された物件が、何らかの事情で賃貸物件として貸し出されているものであり、形態としては分譲マンション寄りである。また、元々居住する予定はなく家賃収入を目的とし購入されたものは「投資マンション」と呼ばれ、こちらは賃貸マンションの形態に近い。 以上4つの「マンション」の形態が登場したが、「賃貸マンション」が企業などオーナーの所有であるのに対し、その他の3つの形態では「区分所有者が所有者である」というところから講義はスタート。その違いによる「管理の主体」を考えていく。「マンション」という呼称は、その入居形態によって“頭”につく表記が変わる。例えば、区分所有者自身が住まうために購入したもの(または販売されたもの)に対しては「分譲マンション」であり、企業などのオーナーが所有し賃貸を目的としたものに対しては「賃貸マンション」である。 その中間にあるのが「分譲賃貸マンション」だ。これは本来分譲マンションとして購入された物件が、何らかの事情で賃貸物件として貸し出されているものであり、形態としては分譲マンション寄りである。また、元々居住する予定はなく家賃収入を目的とし購入されたものは「投資マンション」と呼ばれ、こちらは賃貸マンションの形態に近い。 以上4つの「マンション」の形態が登場したが、「賃貸マンション」が企業などオーナーの所有であるのに対し、その他の3つの形態では「区分所有者が所有者である」というところから講義はスタート。その違いによる「管理の主体」を考えていく。 本日のゲストである塩見会長は、長らく賃貸マンションに関する業務に従事されていたことから、本来は我々のような管理会社との交流はほとんどない。しかし今回はあえて“別カテゴリー”に従事される方をお招きすることで、より多角的な視点からの考察を行い、昨今のマンションにおける課題・問題の解決の糸口を探った。 所長の久保から「分譲賃貸マンション」に関する基礎知識の解説があったところで、ゲストの塩見会長が登壇。冒頭で「賃貸の分野も時代とともに複雑化している」という問題提起があった上で、「一昨年、賃貸に関する法律が改正されたこと」「今年11月、賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度がスタートすること」の2つのニュースを紹介した。 そして話題は本題に入り、まず最初に気になるのが「分譲マンション管理と賃貸マンション管理の違い」である。塩見会長は「分譲マンションは、基本的に所有者と居住者がイコールであるが、賃貸マンションはそうではない」とし、「分譲マンションは管理で買えという」ことに触れる。 「分譲賃貸マンション」と「投資マンション」は、似たようでいて大きく違う点があるという。分譲賃貸マンションの賃借人にアンケートをとったところ、そのメリットとして「ゴミが24時間出せる」「管理人がいる心地よさ」「設備面の充実」「遮音性の高さ」などが挙がったという。 その反対にデメリットを問うと「オーナーが住んでいないため美観等に無関心」「管理費・修繕積立金を安く抑えたがる」「所有者が頻繁に変わり責任の所在が不明確」などが挙がったという。 その上で「分譲マンション」「賃貸マンション」それぞれが直面している管理の課題について、塩見会長と久保で対談。久保は「分譲マンションの3大トラブル」として「漏水・騒音・ペット問題」を挙げた。一方で、これらの問題に関し、分譲マンションの管理体制では「部屋内のことには介入しない」ことが原則であることを久保が告げると、塩見会長は「そこに大きな違いがある」と話す。「主なクレーム内容は分譲マンションと同様だが、賃貸マンションでの管理は部屋内にまで介入しなければならない。それがコロナ禍により滞在時間が長くなったことで非常に増えている」と述べた。 こうした管理体制の違いもあれど、そこに住まうのは同じ「人」であることから、分譲と賃貸での管理の「今」が見えてくる対談となった。当然ながら即効性のある解決策があるわけではないが、マンションと人という2つの老いの問題、超高齢化社会における認知症、そして区分所有権の相続や第三者管理者方式など、あらゆる角度で見直さなければならない時代に突入したことで、今まさに議論が活発化しているといえるだろう。 マンションを取り巻くさまざまな事象が深刻化し、これらの課題にこれ以上目を背けることができない状況となった今、この記事を読んでいる「あなた」はどう感じるか、どう課題解決に向き合うかを考えてほしい。

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  • 2023/04/21

    第6回 マンションみらい価値研究所セミナー 「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」

    4月7日(金)、第6回となるセミナーが開催された。横浜市立大学、国際教養学部・ 都市社会文化研究科 齊藤広子教授をお招きし、「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」をテーマに講演を行った。 大学教授をゲストに迎えた今回は“授業”を模したスタイルで実施され、齊藤教授の授業を受ける生徒役には、当研究所の所長である久保依子をはじめ、同じくメンバーの田中昌樹、大野稚佳子の3名が並んだ。 コロナ蔓延初期から続く「在宅勤務」も丸3年。withコロナとなった昨今でも、出社をせず自宅等で仕事をする人が依然として多くみられる。齊藤教授は冒頭に「コロナを経験し、皆さんの生活はどう変わったか」と、生徒役の当研究所のメンバーに問いかける。最初に回答したのは田中。「運動不足になり太ってしまった」と多くの人が感じているであろうことを代弁。続いて回答した久保は「通勤をしなくなったので(通勤電車内で)喧嘩をしなくなった」という珍回答を出し、齊藤教授は「それは想定外の答えでした(笑)」と早くも笑いを誘った。 「コロナを経験し、生活がどう変わったか」について、齊藤教授は「2/7→7/7、3/24→24/24」という一見難解なキーワードを提示。分母の7は7日間(一週間)、分母の24は24時間(1日)を意味し、分子はそれぞれ在宅の日・時間を表しているという。 実はコロナ禍となる以前より、国土交通省は「テレワーク」の普及を声高に推進していた。しかしながら2015年度の調査では、テレワーク人口はわずか7.7%であった。それがコロナ禍を経て急増し、齊藤教授が調査した横浜市のデータでは、労働人口の1/3が在宅勤務をメインとしていたことがわかったという。 それでは、コロナが収束したあとはどうなるのかということだが、「在宅勤務を続けたい」と回答する人が約半数いるといい、今後もこの状況は変わらないだろうと示唆した。 「通勤時間が余暇に充てられる」「子育てや家族との時間が増える」「家庭のことを顧みる時間が増える」といったメリットが在宅勤務には多いことはいうまでもないが、デメリットにもなる“困り事”としては「食事を作る回数が増える」「気分転換できる場や機会がない」「行動が制限される」などが挙げられた。 また、都心の勤務地なら豊富にある飲食店やスポーツ施設も、郊外の自宅で在宅勤務をするようになるとなかなか行けなくなったという意見も見受けられた。 そこで齊藤教授が述べたのが、「在宅勤務✕分譲マンション」というこれからのライフスタイルの話だ。実際、分譲マンションの敷地にキッチンカーを呼ぶ、キッズルームをシェアオフィスにするといったアイデアが展開されていることも紹介した。 時代に合った住宅とは何か。今まさに問題となっているのが、オンライン会議などが多くなることで、家族の声が気になる、または家族からうるさがられる、といったことだ。在宅時間が長くなる今、改めて考えたいのが、時代に合わせた新たな住宅のカタチだ。 齊藤教授が分譲マンションにおいて「どんな共用施設がほしいか」というアンケートを実施したところ、圧倒的に多かったのが「宅配ボックス」で、次いで「ゲストルーム」「ロビー・ラウンジ」と続く。その中でも昨今の状況を反映しているような回答として「スタディルーム」や「在宅勤務サポート施設(例:コピー機など)」「サテライトオフィス」というものもあった。 それだけではなく、昨今は“おひとり様”が増えていることに鑑み、“暮らしを支えている仕組み”を見直す必要があるのではと語る。たとえばコンパクトマンションにおいてシングルライフを送る人々の中で、管理組合は成立するのかといったところにまで言及。昨今、日本でも普及しはじめた第三者管理者方式についても触れた。 実際にコンパクトマンションの住民に対しアンケートを実施したところ、近所付き合いがないと回答した人は7割という結果に。その反対に、災害時の地域情報の入手方法や、助け合えるのかといった不安に対しては5割〜6割が「ある」と回答した。 一方で、東日本大震災ではマンションでの待機または在宅避難から大きな安心を得たという事例も挙げ、マンションのメリットを経験や持論を含め解説した。 「コロナ」がもたらしたものは、人体への悪影響ばかりではなく、ひと本来の幸せとは何か、豊かな暮らし方とは何かを改めて考えるきっかけを作った、という意味では少なからず良い面もあったと感じるところもある。さらに、在宅時間が増えたことで「快適な住まいとは何か」いったことなども議論されるようになった。 齊藤教授は、今がまさに「新たな価値・暮らしの未来を作る」という可能性に着目しやすい時代であることから、自然災害発生時などを見据えたのコミュニケーション作りにも目を向けてほしいとメッセージを送った。

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  • 2023/03/03

    第5回 マンションみらい価値研究所セミナー 「超高齢化社会における共生」

    2月8日(水)、5回目となるオンラインセミナーが配信された。今回の講師には、東京都健康長寿医療センター研究所、福祉と生活ケア研究チームの研究部長・井藤佳恵先生をお招きし、『超高齢化社会における共生』と題して実施された。日本の超高齢社会を背景とした認知症や孤立死といった社会的な課題に言及する。 最初の話題には「高齢者の住環境と福祉」というテーマを掲げ、高齢期に現れるいわゆる「ゴミ屋敷」を取り上げた。ここで井藤氏は、「ゴミ屋敷」と捉えることによって、「居住者(住む人)」ではなく「屋敷(環境)」にばかり関心が向くと指摘した。つまり我々は、屋敷(環境)の課題問題という感覚でそれを捉えてしまっていることこそが問題ではないかと語る。 支援対象は人なのか、屋敷なのか。人であるとするとそれはそこに住む人のことなのか、周辺住民のことなのかを考えた時、これを環境ではなく、ひと(福祉)の課題であるという視点を持つべきではないだろうか。そうでなければ、ゴミ屋敷の住民を“排除の対象”とみなしてしまいかねない。 そこで井藤氏は「権利の尊重」の難しさを主張する。誰もが一人の人間として尊厳は守られるべきであり、我々もいずれ高齢期に入った時に、その当事者になる可能性がある。「最後までここで暮らしたい。施設には入りたくない」という本人の意思は『自由権』の行使だ。一方で、施設に入って安心安全な暮らしをしてほしいと周囲の支援者が願い行動することは『社会権』の擁護を目的としている。本人の意に反して福祉の制度を使おうとするとき、個人の中で『自由権』と『社会権』が対立することがありがあり、相容れることはなかなか難しい場合があるとも語る。 井藤氏が12年間の行政事業で担当した高齢者困難事例293人のうち、61人の住環境が「ゴミ屋敷」であったとし、その中から印象の強いお一人の事例を紹介。人の一生における栄枯盛衰を垣間見る物寂しいエピソードには涙を誘った。こちらはライブラリーを視聴することで確認してもらいたい。 後半では、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子が登場し、対談形式で進行していく。 久保は、分譲マンションを管理する立場から井藤氏に質問をぶつける。認知症の疑いがあって、他の入居者に迷惑をかけてしまう高齢者の事例が多くなっていることに触れると、井藤氏は「高齢者の迷惑行為=これこそ認知症と認識するのは良くない」とし、実際、専門医でなければ医師でも、とくに初期の認知症に気づくことは難しいという。逆に、認知症の有病率では65歳以上で15%、80歳以上では40〜80%といわれる中、その大多数が人知れず静かな生活に溶け込んでいるし、目立つ症状があるのも長い認知症の経過のなかの一時のことだとした。 また昨年、井藤氏に監修していただいた『孤立死マニュアル』の話題では、「高齢者が望む最期のひとつに“ピンピンコロリ”というものがある。要は亡くなるその瞬間まで元気でいたいということ。“最期まで家で過ごしたい”というのも多くの人が言う。そして高齢になるほど独居率は高くなる。そうであるなら孤独死は特別なことではないかもしれない」とし、「孤独死がもつ“さびしい”というイメージにアプローチするなら、“ゆるいつながり”が必要だ」とした。 この“ゆるいつながり”に対し久保が実際どういうことなのかを問うと、「管理員さんに挨拶をしたり、ゴミ収集所で軽い会話を交わしたり、毎日同じ時間に散歩にでかけるなど、自分からつながっておくことでも、気にかけてもらいやすくなる」と見解を示した。 しかし、マンションの管理員として、どの段階で行政や家族に連絡を取ったらいいのかという不安があり、これに対するアドバイスを問うと、「入居者時に、どういったときにどこに連絡するということをマニュアル化していくことも有効ではないか」とした。また「自警団のように特定の人を探し出し私的な制裁をしてはいけない」とも付け加えた。 認知症は、流行病のように昨今急に出現したものではなく、高齢期になれば誰しもなり得る。いうなれば「お互い様」だ。よって、健常である時には関心をもちにくいかもしれないが、これからは深く理解していく必要がある。「個人の権利」と「近隣住民の権利」、それが対立しているとき、その相反する部分をどのようにすりあわせて共生の道を模索していくかは、対応マニュアル含め個々の理解と協力が求められる。 講義の最後に井藤氏は「住み慣れたマンションで、人としての尊厳を維持して暮らすことを、いかにして実現していくか、これが日本の超高齢社会の課題だ」とした。これを機に我々も今一度、他人事ではなく自分事として捉えていく必要があるのだ。

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  • 2023/01/12

    第4回 マンションみらい価値研究所セミナー 「マンション管理士が語る第三者管理者方式」

    オンラインセミナー第4弾が2022年12月7日に配信された。今回はマンション管理士の親泊哲(おやどまり さとる)氏を迎え、これまでの研究とご実績を伺う。  親泊氏は、自身も区分所有者として管理組合の役員を担っていた経験を通じて、管理組合運営の面白さと、専門知識を持たない一般の住民がそれを行うことの難しさを実感し、マンション管理士の資格を取得した異色の経歴の持ち主だ。マンションで起こっているさまざまな問題を“自分事”として捉える姿勢は多くの共感を得ている。現在は第三者管理者としても尽力しており、セミナーではその活動内容と、そこで感じたことを中心に話が展開された。 そもそも第三者管理とはなにか──。これまでのセミナーでも折りに触れ解説してきた話題だが、冒頭で司会の丸山が、マンション管理のトレンドが第三者管理へ移行しつつある背景を紹介。「住民の高齢化」や「賃貸化による理事のなり手不足」等の問題を抱えるマンションが導入に至っていると解説した。 「マンションみらい価値研究所」所長 久保依子の「マンション管理士として行うコンサルタントと管理者とで意識の違いはあるのか?」という質問に対し親泊氏は、「日常から心掛けていることで、ある意味当然のことであるが」と前置きした上で、「コンサルタントとは、管理組合の一員ではなく第三者の立場から助言指導することになる。これに対し第三者管理とは“第三者”であっても管理者であり管理組合の一員であるということで、自分で実行することだ。つまり、他人の立場なのか当事者の立場なのかという意識の違いがある」と説明した。 その上で、現在の主流である理事会方式の課題について問うと、親泊氏は「マンションによって共通理解を形成することがかなり難しいこと」が第一であると答えた。さらに「管理組合の任務は、専門知識がない一般の住民によって行われなければならない、つまり職業的に行うものではないという共通項があると考える。よって多くのマンションでは、管理会社との信頼関係を拠り所として、誰が理事になっても職務が全うされるような運営が求められているということになる。しかし年度によって方針が違うなど、バランスの確保がネックになる。よって、積極的な人にやってもらいたいという偏った選任に陥りやすい」とした。 さまざまな問題・課題が明るみになってきた理事会方式の運営だが、それに変わって導入がはじまっている第三者管理者方式のメリットについては、大きく5点が挙げられるという。その内容は下記の通りである。①    管理組合運営上の責任関係が明確になる②    マンション管理を熟知した者が運営を担うことで、マンション管理の質の向上が期待できる③    管理組合運営をする上での区分所有者の心身の負担が大幅に軽減される④    区分所有者がマンションの管理・運営に対する意見を言いやすくなる⑤    管理組合運営の継続性が高まる 一方で、デメリットもあるという。それが以下の5点だ。①    相応の委託費(業務報酬)や必要経費の負担が生じる②    管理組合運営に対する区分所有者の関心が低下するおそれがある③    監査機能が働かないことによる弊害への懸念がある④    管理者本位(非区分所有者本位)にマンションが管理される懸念がある⑤    一度管理者方式に移行すると、役員・理事会制度に戻すことが困難である そこで久保が②に対し「関心を持続させるための取り組みは?」と問うと、親泊氏は「イベントなどでつなぎとめておくのも馴染まないと思うし、頻繁に印刷物が届いても読みきれないのもよくわかる。だとするとまずは説明を尽くしていくことなのではないか」とした。また③の監査の方法に対しては「総会監督型という言葉の通り、監事役がいないのであれば監査は年一回の総会しかなく、そこで監督することになるので、監事は居たほうがいい」と回答。さらに⑤に関しては、「(職務からはなれた)開放感をもった状態で理事会運営方式に戻そうとした時に、再スタートの気運が上がるのかということが問題。規定された人数が集まるのかと言う点において困難とした」と述べた。 これらを踏まえた「第三者管理者方式」の課題として、以下の5点が挙げられた。①    管理者の業務執行のチェック体制の構築(監査機能の確保)②    金銭管理を行う者や印鑑を保管する者の制限(事故防止策の確保)③    管理者に対する総会の議決権行使の委任の制限(形骸化防止策の確保)④    管理者が辞任または退任する場合等のルールの明確化(継続性の確保)⑤    管理者の利益相反関係の排除(取引の健全性の確保) 法改正により日本では導入されたばかりのこの新方式だが、社会問題となっている2つの老い(高齢化と高経年)や分譲マンションの賃貸化など、さまざまに変化するライフスタイルに対応していくための重要な鍵となることは間違いない。必要に応じて第三者管理者方式の導入も検討しながら、継続性のある安定的な運営を模索していく必要があるだろう。

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  • 2022/11/25

    大阪市マンション管理支援機構 マンション管理 基礎講座 マンションの“防災”―考え方と取り組み

    大阪市マンション管理支援機構とは、市内の分譲マンションに対し情報提供などを行うことで管理運営をサポートすることを目的とした組織。参加団体は、大阪市、大阪市住まい公社、(独)住宅金融支援機構といった公共団体、弁護士会、建築士会などの専門家団体、民間事業者団体などが連携している。また同支援機構では毎年、マンション管理に役立つ「基礎講座」を開催。特に今年度は、大阪市のマンション管理計画認定制度スタートの年にあたる。大阪市で定めた管理計画認定の上乗せ基準にスポットをあてた防災の講座が10月29日(土)に企画され、マンションみらい価値研究所の丸山が登壇した。 セミナーの構成 今回のセミナーは以下の3要素で構成された。①  そもそも管理計画認定制度とは何か?制度自体の狙いを確認②  大阪市が定めた防災に関する独自の認定基準は管理組合の“備え”のための行動目標。活用できるためにはどんな水準を目指すべきかを事例も含め解説③  マンションの強み・弱みを理解し、合理的な防災計画とは何かについて考える セミナーでは、マンションの変遷と昨今の高齢化問題や管理不全に至った経緯や、それらの対策のためにマンション管理適正化法が20年ぶりに改正され、管理計画認定制度という形で、管理組合の健全性のための具体的な目標が認定基準として示されたことの説明がされた。 また、管理運営の良し悪しは、当事者(管理組合員自身)だけの主観的なものになりがちだが、行政が積極的に世の中に当該マンションに対し「居住価値が高いマンション」であるという証明を与える制度なのだと、その狙いを解説した。 加えて、各行政が立地環境などの特性に合わせた認定基準を追加でき、大阪市では、以下の3点が上乗せさせれている旨の説明があった。 イ)    年1回以上の防災訓練の実施ロ)    防災訓練とは別に上げる7項目の中のいずれかの防災対策が講じられていることハ)    旧耐震においては、耐震診断を実施し不足している場合は耐震改修などの議論等がされている また、ロ)の7項目と国が定めた認定基準にある「名簿の管理」の計8項目について、表層だけで形を整えるのではなく、いざという時にしっかり活用できる防災対策にするためのノウハウを、事例を交えて整理した。 認定基準を防災でしっかり活用できるために 管理計画認定基準(国+大阪市版の7項目) ※大阪市では、国の“名簿”に加え、防災訓練の実施と上記の7項目のいずれかの防災対策を講じていることを条件としています。 国の定めた名簿の管理について、名簿は安否確認のためにだけにあるのではない。 長期間遠方の親戚宅などで避難生活を送られる方もいるため、復旧等の総会を開催する場合など、より多くの方の賛同を得るためにも緊急連絡先が記載された名簿が必要になる。 また、熊本地震の例では、建物解体にあたり公費解体の行政支援を受けるためには、被災マンション法に関わらず所有者全員の同意等(その他、賃借人・抵当権者)が必要となる。まずは、区分所有者全員との連絡が取れる状態を確保することが最低条件との話があった。 大阪市の追加基準について 以下、抜粋して紹介しておこう。 ■避難所の周知徹底について■もちろん、どこが避難所なのかを知っておくのは、基本中の基本。 しかし、新耐震で堅牢なコンクリートの建物であるマンションの場合、避難所でのストレスや感染病などのリスクを考慮しておく必要がある。在宅避難が可能なケースも多く、どのような状態であれば避難所に行くべきかなどの判断と同時に、在宅避難ができる備えも大切であると説く。 熊本地震での直接死55名、全てが避難所のストレスが原因とはいわないまでも、被災生活期などで亡くなった、いわゆる被災関連死は218名に上っているなどの事例を交え解説した。 ■マニュアルについて■火災と震災では避難等の行動は異なる。災害ごとに、またマンションの立地・建物・住民の特性に合わせ、汎用型ではない自分たちのマンションにあったマニュアル作りが望ましい。 ① 特性分析②災害種類・規模等の条件③被害想定④備え等のためのアクションプランなど基本的なフレームを示し解説した。 ■高齢者の名簿について■市が作成している「避難行動要支援者名簿」の運用や地域への開示方法などを説明した上で、災害時の要支援者とはイコールではないものの、「日本の障碍者の割合は何パーセントぐらいだと思うか」という投げかけがあった。答えは8%であり、また高齢化と共に年々増加している。築年の古いマンションでは住民の平均年齢も高いことから、8%どころかもっと多いかもしれない。 自助が基本ではあるものの、マンション内で助け合う、“近所力”は大切であり、そのベースになるのが要支援者の名簿であることは確かであるとの話があった。 ■安否確認について■実は安否確認をすることだけが目的ではなく、家具の下敷きになっている人などの救出をスムーズに行うことが目的なのである。 阪神淡路大震災の際、神戸で発生した大火の後に発見された数多くのご遺体の解剖結果では、多くの方の肺にススは入っておらず、焼死ではなく圧迫死によるものであったことがわかった。つまり、いかに早く助け出すかがポイントなのだ。 コンクリートのマンションではいっぺんに倒壊する危険性はまずないが、体力のない高齢者や子供が家具等の下敷きになると命に関わる。なんのために安否確認を行うのか、しっかり深掘りしておく必要がある。 また、安否確認用としてマグネット付きのLEDランプを全戸に配布し、無事ならランプを点灯しドアに取り付ける。一目瞭然でどこに訪問して確認すればよいのかもわかるし、停電の際の共用廊下を照らす明かりにもなるという知恵も披露された。 防災の目的は生活復興 マンションの強みと弱みの整理と“生活復興”についての話でまとめとした。 まずマンションの強みでは、震災等には強い堅牢なコンクリートの建物であり、またマンションコミュニティ内で“近所力”を発揮しやすいこと。 一方、弱みとは、ハード面では建物の“高さ”、ソフト面ではコミュニティの“力“が発揮できず復旧や建て替えなどの合意形成ができない場合などをあげて説明した。 また、震災等も社会インフラが復旧すれば日常に戻れるレベル、また次には建物の復旧のために部分的に建物の改修が必要になり、家財の一部も震災ゴミになったが、修繕積立金や多少の貯えで復旧でき、職場も存続できているケース。 一番大変なケースとは、マンションの大規模な改修や解体除去が必要となり、家財もすべて震災ゴミとなる。その上、勤め先が被災し職場そのものを喪失し、その後の収入源も失われてしまうようなケース。 東日本大震災の際の倒産件数や負債総額、また家財が震災ゴミとなってしまった場合の再調達価格なども例に上げて説明した。最後に“資金”と“気力”については、建物や家財への地震保険・管理組合の潤沢な修繕積立金・支援金の活用の大切さなど、いざという時の資金の確保も備えであること。 また、怪我をしない・病気にならない、そしてコミュニティの力で“気力”を保つことも、大切であるとして締めくくった。 大阪市の取り組み 天六商店街にほど近い「大阪市立住まい情報センター」を訪れると、大阪市の“住”に対する、買う・借りる・維持管理するなど、総合的な発信基地であることがわかる。 また、こちらの8階にある「住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館」は、大阪の住まいや街の文化を伝える大変工夫されたミュージアムだ。大阪市マンション管理支援機構はこの住まい情報センターの中で、マンションの管理組合への支援窓口を担う。 大阪市の管理計画認定制度の上乗せ基準のひとつに同支援機構への登録が条件となっているが、十分に管理組合に応えられる位置づけであることを実感することができた。さまざまな行政の中でも、最先端でかつ意味のある運営をされていることに間違いはない。

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