自由研究のヒントは、身近にある?!マンションの秘密を探る夏休み

コミュニティ
自由研究のヒントは、身近にある?!マンションの秘密を探る夏休み

夏休みがやってくる

 筆者には小学校に通う子供がいる。子供が小学1年生の時、夏休みの宿題の自由研究・工作は、どこまで親が介入すればよいかわからず、とりあえず本人に任せてみた。案の定、子供は何もせず、何かを作ったと思ったらガムテープをぐるぐる巻きにして「ボールできたー!」といって投げていた。ただガムテープを巻くだけの工程にはまってしまったのか、それから毎日ガムテープボールを作り、リビングにガムテープの独特な香りが充満する頃には、2学期までもうあと数日という状況になっていた。さすがにこれではいけないと思い、話し合いと葛藤の末に、ガムテープボール作りと並行して、ビー玉を転がして遊ぶ工作を一緒に仕上げた。
 この自由研究をどうするのが正解なのかいまだにわからず、夏が近づくたびに「あぁ、今年も自由研究の季節だ…自分が小学生の時にはちゃんとやっていたのに…」となんともいえない気持ちになる。

マンションは自由研究ネタの宝庫

 普段何気なく暮らしているマンションだが、実は私たちが知らないことがたくさんあるのではないかと思う。大きさは?戸数は?屋上にある長い棒は?廊下にある赤いランプは一体何のため?どんな種類の木や花が一体どれだけある?
 ちょっと視点を変えて考えただけでも不思議がいっぱいだ。大人でも案外知らないのではないだろうか。一般的に戸建てよりも多くの設備があり、マンションによって設置されているものや仕組みも違う。自分の住んでいるマンションという建物がどうなっているのかは研究のしがいがあるのではないか、と閃いたのでいくつか自由研究案を考えてみた。

マンションの高さと屋上の長い棒

 住んでいるマンションは何階建てで、高さは何mあるのだろうか。実際に測ることはできないが、スマホアプリで大体の高さを測ったり、1階あたりの高さを計測して算出したり、方法を考えることから始めてみるのもいいだろう。一般的に1階あたりの高さは3mといわれるので、7階建てであればおおよそ21メートルとなる。
 屋上に上がることはほとんどのマンションでできないが、外から屋上を見ると恐らく長い棒が立っているはずだ。高層建築物に隣接していて安全上支障がない等の事情がない限り、高さ20メートルを超える建築物に設置が義務付けられている避雷針である。いわずもがな、落雷を受け止めて地面に逃がすためのものだが、その仕組みや、もしそれがなかった場合にはどんなことが起きるのか、調べて考察してみるのも面白いと思う。

廊下で赤く光っている「あれ」

 廊下には、いつでも赤く光っているランプがあると思う。消防設備の一種である自動火災報知設備や消火栓の設置場所を示すための表示灯だ。消防設備はマンションの築年数や規模によって種類や仕組みは異なる。また住戸内には火災報知器が設置されているが、それらを合わせた消防設備の仕組みはかなり複雑で、大人でも理解に時間がかかるかもしれない。火災が起きたらどうやって周りに知らせるのか、消防車が来たときはどうやって消火活動をするのか、想像しながら調べたらよいだろう。なお、くれぐれも試しに火災報知器の押しボタンを押してみる、消火栓ボックスを開けてみる、などということはしないようにご注意いただきたい。

マンションに植えられているさまざまな木

 植栽が多く植えられているマンションであれば、樹木の種類や本数、植栽スペースの広さを調べてみてはどうだろうか。シンボルツリーと言われる高木が目立つところに植えられているケースもあれば、中木と低木を組み合わせて一体的のある景観を作っているケースもある。樹木の名前、種類、花が咲く季節などを調べて、写真と共に自分なりの敷地図に書き起こしてみたら面白そうだ。手入れについては、ホースでの水やりのほか、自動潅水装置を用いている場合もある。水やりの方法や頻度を確認してみたり、専門の植栽会社が手入れする時期を確認したりすれば、いつも通り過ぎるだけだった植栽スペースが違って見えるかもしれない。

参考コラム:緑の資産:マンションライフを彩る植栽

身近なマンションから、法律まで

 共用部の給水設備を通じて部屋まで水が供給される仕組みや、エレベーターが動く仕組み、地震が起きたときにこれらの設備がどうなるのかを調べてみてもいいし、マンションにどんな設備があるのかを書き出したり、マンション中の階段や扉は全部でいくつあるのかを足を使って調べたりするのもまた楽しいと思う。
 設備によってはそれぞれに設置基準が設けられており、調べていくとそういった法律や行政の決まりにまでたどり着くかもしれない。インターネットを使った検索のやり方や情報の見方も合わせて学べば、素晴らしい研究の完成だ。

今年の夏は

 さて、今年はどうしようか。とりあえずお盆に帰省する実家で何かできないだろうか。まるで親が宿題を出されているような気分である。そんなことを思いながら、帰省のスケジュールを伝えるために母に連絡を入れ、今年も夏休みの自由研究が~なんて愚痴っぽく伝えたらこう返ってきた。
「あー懐かしいね。あなたのお父さんも毎年頑張っていたよ」
 はてさて、自分がちゃんとやっていた、と思っていたのは記憶違いだったのだろうか。父には申し訳ないが、父の活躍は微塵も記憶に残っていないあたり、完璧な黒子に徹してくれたのだろう。親が親なら子も子。数十年前の父に思いをはせつつ、今年の夏もうまく黒子になりたいと思う。


◆7月開催セミナー◆
「理事のなり手不足」解消の一手~ 組織開発支援で、住民の未来を拓く ~
>詳細をみる

剱持 くるみ
執筆者剱持 くるみ

マンションみらい価値研究所研究員。管理現場にて管理組合を担当する業務や、コンプライアンス・事業広報などを統括する業務を経験。現在は、事業の推進を担う部門に従事する傍ら、マンションみらい価値研究所の研究員として活動中。

Contact us

マンションみらい価値研究所・
セミナー等についてのお問い合わせ