「入学前おしゃべり会」で、一緒に入学準備!

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「入学前おしゃべり会」で、一緒に入学準備!

マンションと新学期

春になると、ランドセルを背負っているのか、背負われているのかと思うほど、大きなランドセルで登校する初々しい新1年生たちに出会うことがある。それと同じぐらい、我が子の登校を見守る保護者の姿も多く見られる。──そう、子どもが小学校に上がるということは、子ども本人はもちろん、親たちにとっても大きな環境の変化が伴うものだ。

そんな子どもの新しい学校生活に関して、マンション内に知り合いができるのは、防犯や近所付き合いとしても、得られるメリットは大きいことだろう。そこに目を付けて実現したのが、「入学前おしゃべり会」だ。

「入学前おしゃべり会」は、兵庫県で地域コミュニティスペース等を運営する「まちのね浜甲子園」が、住民の声を受けて企画したもの。2019年2月、新年度が始まる少し前の時期に、開催された。マンション単位でも、ご近所と一緒でもできる取り組みの一つとして、スタッフの井川さん・奥河さんのお二人に開催までのプロセスと当日の様子を聞いた。

*「まちのね浜甲子園」とは、兵庫県西宮市の浜甲子園団地エリアが「あたたかなつながり、ぬくもり、やさしさがある街」となることを目指して設立されたエリアマネジメント組織。地域のコミュニティスペースである「HAMACO:LIVING」とこだわり自家製パンとフレッシュ野菜のカフェ「OSAMPO BASE」を運営している。

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まちのね浜甲子園へインタビュー

Q1.開催のきっかけは?
井川さん:「住民の方が『子どもが小学校に入学するにあたり、学校の様子を聞ける機会がほしい』と話されたことがきっかけでした。それなら、今年やってみよう!と、2月にマンション住民と同じ学校に通う近所の小学生と中学生を対象に会を企画しました」

Q2.開催前にどのように広報・声かけをしたか?
奥河さん:「事前に、学区域の小学校・中学校に通う保護者に協力をお願いして広報を始めました。SNSや住民のLINEグループで呼びかけたり、マンションを販売しているモデルルームにチラシをおいてもらったり。新入学でなくても、マンションへ引っ越してくるときにこういった話が聞けると嬉しいですよね。このあたりの小学校は、集団登校をするので、それを取り仕切っている地域の団体にも協力いただきました」

Q3.開催当日はどのように進行したか?
奥河さん:「グループ分けでは、当初は小学生グループ・中学生グループに分かれてもらいましたが、参加者が多く、子どもグループもつくりました。そこで、参加者に自己紹介をしてもらい、気になっていることを一言ずつ話してもらいました。子どもグループも、自ら仕切ってくれる子どももいて、自己紹介をしあっていたのが印象的です」

Q4.どんな話が出たか?参加者はどんな様子か?
井川さん:「出た話は、学校給食から、習い事・学童までさまざまです。例えば、『牛乳が飲めないんですけど、大丈夫ですか?』『学校で使う持ちものセットって、具体的に何がありますか?』『帰宅後は、どんな風に過ごしていますか?』『行動範囲はどれくらいですか?』『習い事はどうされてますか?』『学童の様子はどうですか?』『中学校にどんなクラブがありますか?』など、多くの質問が出ていました」

奥河さん:「学校に問い合わせるほどでもない小さな不安や心配を持っている方は多いと感じました。参加者内に知り合いがいても、意外と知りたいことを、きちんと聞けている訳ではないこともあるので、テーマを絞って改めて話す機会があることは大事だなと思います。そもそも何を聞いたらいいのか分からないということもあるので、みんなでやると気がつかなかったことを発見できることもあります」

Q5.参加者の感想はどうか?
井川さん:「来年もやってほしいという声をいただきました。今年、質問する側だった参加者の方が、来年は教える側になるというように、その循環が続いていくと嬉しいですね」

Q6.今後こういった企画をしたいと思う方へポイント・アドバイスがあれば
井川さん:「『やってみたい』を『やってみよう!』と伝えたいです。実際にやってみると、知らなかったことや教えてもらうことが多く、本当に学びがありました。みんなが安心して入学できるように、一緒に入学準備ができる仲間を作る機会を今後もつくっていきたいです。新入学だけでなく、学期の途中からの転入の方にも、こういう場に来てもらえるといいです」

奥河さん:「私たちだけで企画を考えるのではなく、実際に住民の方の声を拾い上げた企画は喜ばれると思います。今回の取り組みの開催報告は、Facebookで多くの方にシェアしていただきました。みんなで不安を共有することで、悩み事が解決されるし、仲間ができる。さらに、不安を抱えているのは、自分だけではなかったんだという安心感が生まれるようです。こういった取り組みが広まっていくといいですね」

井川さん:「ポイントとしては、マンション内だけだと、新しい方が多く集まってしまい、欲しい回答などが出ない可能性もあるので、開催する際はマンションだけでなく一緒の小学校・中学校のご近所(マンションの周辺の方)にも声をかけ、長年その土地に住んでる方なども巻き込んだら、もっと沢山のお話やアドバイスをいただけると思いますよ!」

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「小1の壁」を乗り越えるためにも

小学校に入学すると、学校との連絡役は子ども。「明日の持ちものってこれでいいの?」「欠席時の連絡帳の受け渡しは、だれにお願いできるかな?」「地区ごとの当番ってどんなことするの?」など、どこの家庭でもちょっとした知りたいことが増えるものだ。特に、共働きの保護者にとって、PTAやクラスの係で保育園以上に学校へのかかわりが必要だったり、勤務時間と学童の開園時間が合わなかったり、慣れない子どもをフォローしながら、仕事での調整の苦労も増える時期。いわゆる「小1の壁」である。余裕のない生活に、少なからず、子どもへの申し訳なさを感じてしまう保護者も多いのではないだろうか。そんなときこそ、助け合える仲間がいることは、大きな支えになる。

まちのね浜甲子園での取り組みを参考に、そんな仲間づくりをしてみると、小学校生活がもっと楽しくなるかもしれない。春に目にする初々しい1年生のランドセル姿、見守る保護者の背中、背負う不安な気持ちは少しでも軽くしてあげたい。

西郷 民紗
執筆者西郷 民紗

社会福祉士・日本評価学会認定評価士。HITOTOWA INC.執行役員。デベロッパーにて勤務後、公益財団法人の児童分野のプログラムオフィサーを経て、現職。HITOTOWAこども総研での調査研究、地域拠点の企画・子育てコミュニティづくりなどを担当。

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