第6回 マンションみらい価値研究所セミナー 「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」

4月7日(金)、第6回となるセミナーが開催された。横浜市立大学、国際教養学部・ 都市社会文化研究科 齊藤広子教授をお招きし、「コロナ禍で気づいた住まいの価値〜マンションの魅力を再発見!〜」をテーマに講演を行った。

大学教授をゲストに迎えた今回は“授業”を模したスタイルで実施され、齊藤教授の授業を受ける生徒役には、当研究所の所長である久保依子をはじめ、同じくメンバーの田中昌樹、大野稚佳子の3名が並んだ。

コロナ蔓延初期から続く「在宅勤務」も丸3年。withコロナとなった昨今でも、出社をせず自宅等で仕事をする人が依然として多くみられる。齊藤教授は冒頭に「コロナを経験し、皆さんの生活はどう変わったか」と、生徒役の当研究所のメンバーに問いかける。最初に回答したのは田中。「運動不足になり太ってしまった」と多くの人が感じているであろうことを代弁。続いて回答した久保は「通勤をしなくなったので(通勤電車内で)喧嘩をしなくなった」という珍回答を出し、齊藤教授は「それは想定外の答えでした(笑)」と早くも笑いを誘った。

「コロナを経験し、生活がどう変わったか」について、齊藤教授は「2/7→7/7、3/24→24/24」という一見難解なキーワードを提示。分母の7は7日間(一週間)、分母の24は24時間(1日)を意味し、分子はそれぞれ在宅の日・時間を表しているという。

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実はコロナ禍となる以前より、国土交通省は「テレワーク」の普及を声高に推進していた。しかしながら2015年度の調査では、テレワーク人口はわずか7.7%であった。それがコロナ禍を経て急増し、齊藤教授が調査した横浜市のデータでは、労働人口の1/3が在宅勤務をメインとしていたことがわかったという。

それでは、コロナが収束したあとはどうなるのかということだが、「在宅勤務を続けたい」と回答する人が約半数いるといい、今後もこの状況は変わらないだろうと示唆した。

「通勤時間が余暇に充てられる」「子育てや家族との時間が増える」「家庭のことを顧みる時間が増える」といったメリットが在宅勤務には多いことはいうまでもないが、デメリットにもなる“困り事”としては「食事を作る回数が増える」「気分転換できる場や機会がない」「行動が制限される」などが挙げられた。

また、都心の勤務地なら豊富にある飲食店やスポーツ施設も、郊外の自宅で在宅勤務をするようになるとなかなか行けなくなったという意見も見受けられた。

そこで齊藤教授が述べたのが、「在宅勤務✕分譲マンション」というこれからのライフスタイルの話だ。実際、分譲マンションの敷地にキッチンカーを呼ぶ、キッズルームをシェアオフィスにするといったアイデアが展開されていることも紹介した。

時代に合った住宅とは何か。今まさに問題となっているのが、オンライン会議などが多くなることで、家族の声が気になる、または家族からうるさがられる、といったことだ。在宅時間が長くなる今、改めて考えたいのが、時代に合わせた新たな住宅のカタチだ。

齊藤教授が分譲マンションにおいて「どんな共用施設がほしいか」というアンケートを実施したところ、圧倒的に多かったのが「宅配ボックス」で、次いで「ゲストルーム」「ロビー・ラウンジ」と続く。その中でも昨今の状況を反映しているような回答として「スタディルーム」や「在宅勤務サポート施設(例:コピー機など)」「サテライトオフィス」というものもあった。

それだけではなく、昨今は“おひとり様”が増えていることに鑑み、“暮らしを支えている仕組み”を見直す必要があるのではと語る。たとえばコンパクトマンションにおいてシングルライフを送る人々の中で、管理組合は成立するのかといったところにまで言及。昨今、日本でも普及しはじめた第三者管理者方式についても触れた。

実際にコンパクトマンションの住民に対しアンケートを実施したところ、近所付き合いがないと回答した人は7割という結果に。その反対に、災害時の地域情報の入手方法や、助け合えるのかといった不安に対しては5割〜6割が「ある」と回答した。

一方で、東日本大震災ではマンションでの待機または在宅避難から大きな安心を得たという事例も挙げ、マンションのメリットを経験や持論を含め解説した。

「コロナ」がもたらしたものは、人体への悪影響ばかりではなく、ひと本来の幸せとは何か、豊かな暮らし方とは何かを改めて考えるきっかけを作った、という意味では少なからず良い面もあったと感じるところもある。さらに、在宅時間が増えたことで「快適な住まいとは何か」いったことなども議論されるようになった。

齊藤教授は、今がまさに「新たな価値・暮らしの未来を作る」という可能性に着目しやすい時代であることから、自然災害発生時などを見据えたのコミュニケーション作りにも目を向けてほしいとメッセージを送った。

次回のセミナーは、「マンション管理が直面する「今」~住むなら分譲、それとも賃貸?~(仮)」と題し、5月18日(木)16:00からの開催を予定している。

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