心配性なマンション管理会社社員が中古マンションを購入するならどこを見る?

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マンションの購入には不安がつきもの!

私は今、引っ越しを検討している。管理会社の社員として長年勤めてきたが、いざ「自分がマンションを購入する」ことになると、何を条件に選ぶのだろうと改めて考えさせられた。

私は日頃、分譲マンション管理の担当者をしている。よって、さまざまなマンションへ出向く機会があり、その度に建物のあらゆる部分を観察してきた。その視点から色んなことを考えてみたい。

そんな私は「心配性」

私はなかなかの心配性だ。例えば、翌日の早朝に用事が控えていようものなら、寝坊して遅刻したらどうしようという不安から一切眠れなくなることがあるほど。また、気になる事があると解決するまでずっと心配をしてしまう、そんな思考の持ち主なのだ。

そんな私だからこそ、いざマンションを購入するとなったら、まずはさまざまな点に対する不安を解消したいと思う。仕事をする中で、最近は修繕積立金が不足気味なマンション管理組合が増加していると感じる。それによって、大規模修繕工事など、建物の維持管理に必要な工事ができていないことや、災害が発生したときの備えが十分でないことなど、心配の種は尽きそうにない。
そこで、これらの心配を取り除くためにはどうしたらよいか、どのようなマンションだったら安心して購入できるのかを、心配性の私なりに考えていきたいと思う。

どんなことが不安? 7つのチェックポイント

まずは、これまでフロント担当者として複数の管理組合と関わってきた私が、特に心配になる点を挙げてみたい。

1. 修繕積立金は長期修繕計画通りに積み立てられているだろうか?
修繕積立金が積み立てられていないと、維持管理のための工事実施資金が不足してしまう可能性がある。つまり、建物が劣化しても放置せざるを得ない状況に陥るかもしれないということ。建物管理においては最重要課題のひとつであるため、このポイントに問題がないかどうかは非常に重要だ。

2.理事会は1~3か月に1回、総会は毎年1回、定期的に行われているか?
これは、管理組合として必要な意思決定をするための合意形成が行われているかどうかを判断するためのポイント。ここが不十分であると、例えば設備等で壊れたところがあった際にも、それを修理するかどうかが決められないほか、居住者のマナー違反への対応等もできず、規則や統制のないマンションになってしまう。

3.機械式駐車場がある場合、定期的に点検や修繕等の維持管理がなされているか?

機械式駐車場は便利な反面、壊れやすい・修理にお金がかかる・事故発生の際には人命を危険に晒す可能性があるなどのデメリットもある。従って、居住者の安全を保つためには定期的な点検・修繕が行われていることが必要。

4.掲示板は掲示書面で埋め尽くされていないか?

当然ながら居住のマナーに問題が多いと、注意を促す掲示書面が増加する。単純な話だが、掲示物が多く、その内訳がマナーに関する注意喚起が多い場合、居住者内に問題行動をしている方が多い可能性が考えられる。これも住む前に必ずチェックしておきたいポイント。

5.ゴミ置き場は清潔に保たれているか?分別マナーが守られているか?

ゴミ置き場は居住者マナーが色濃く出やすい箇所。分別ルールが守られていない、マナーを喚起する掲示文が貼られていたら要注意だ。

6.ハザードマップはどうなっているのか?

土砂災害・水災(河川氾濫区域かどうか)・地震などの項目において、安全な箇所かどうかは、防災上重要。地震が起きたときにどのような被害を受ける可能性があるか、水災リスクはどれくらいあるのか、などの観点でチェックしておくべきだ。

7.防災訓練は行われているのか?防災マニュアルは存在するのか?

私が業務を通じて痛感しているのが、管理組合によって災害に対する意識や準備(備蓄品の購入など)に大きく差があるということ。避難経路を示しているようなマニュアルなどがあれば良いのだが、備えていないマンションに出会うこともしばしばあるのが正直なところ。管理組合がどれだけ災害に向き合っているかどうかを判断する基準として、重要なポイントになるかと思う。

挙げればキリがないが、以上の7点は最も気になる部分なのだ。

どんなマンションだったら安心?

こんなにも多くの不安を抱えている私だが、もちろん買わない方が良いということを言いたいわけではない。これらの不安を解消するポイントは大きく2つあると思う。

1.総会(理事会)の議案書・議事録をチェックする
総会の議案書を確認すると、その管理組合の資産状況や設備の維持管理に関する情報、理事会の実施回数など、期ごとの活動記録を確認することができ、議事録ではその議案書に盛り込まれた議案が承認されたかどうかが分かる。これにより、どのような管理組合なのかをおおよそ理解することが可能。また、時間がある方はさらに理事会資料も確認できると、総会で報告するまでのプロセスを見ることができるため、より詳細に管理組合活動を把握することができる。

2.マンションの共用部分をくまなくチェックする
先述した不安のポイントにある通り、掲示板やゴミ置き場のチェックに加え、自分が使うエレベーターや廊下、エントランスだけではなく、マンション内の設備で不具合が起きているまま放置されている箇所がないか、などを確認する。これによって、資料のチェックだけではわからない最新の状況を把握することができる。

キレイな室内や理想的な間取り、コストパフォーマンスの高い購入費用だけでは、幸せなマンション生活を送れるわけではない。「どのような管理がなされているか」という観点を検討材料に加えることをぜひ提案したい。特にマンションの購入は人生に一度しかないかもしれない大きな買い物。心配しすぎなくらい、いろいろなマンションをリサーチし、考え抜くのがちょうど良いのではないだろうか。

金田一 賢
執筆者金田一 賢

管理業務主任者。大和ライフネクスト株式会社にて複数の管理組合のマンション管理担当として勤務。フットワークの軽さと心配性な性格を武器に、現場へ足を運び細かく観察し、お客様目線でよりよい管理を提案することをモットーにしている。

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