孤立死マニュアルについて、東京都健康長寿医療センター研究所副所長の粟田主一先生よりご講評をいただきました。

孤立死マニュアルを拝見して

 大和ライフネクストのマンションみらい価値研究所とプレシャスライフ相談室が「マンションと孤立死」をテーマとしたマニュアルを作成した。近年、孤立死が社会的な課題となっている。時宜にかなった取組みと思う。 
 マンションみらい価値研究所は、日本認知症官民協議会に設立当初から協力している。前期は「マンションと認知症」をテーマとしたマニュアルを作成し、同協議会の総会で発表をされていた。 
 孤立死のマニュアルに触れたい。同研究所が2021年に行った管理員に対するアンケート調査においては、「孤立死の対応をしたことがある」が11%に及び、「最初に居住者の異変に気付いた」のは管理員がもっとも多かったということが紹介されている。次に、孤立死に至る前の気付きが紹介されている。孤立死は、社会的な孤立が大きな要因と考えられるので、こうした配慮は大切であろう。さらに、孤立死の後に生じる部屋の特殊清掃や相続の手続きなどが解説されている。相続人の調査や法的な手続きについては、わたしは今まで知らなかった内容であった。この内容はマンション管理組合や管理会社に求められる知識だろうが、医療や福祉の関係者にも触れてほしいと思った。準備がなされずに人が亡くなった場合に、相続人や周辺居住者などが行う対処や受ける苦労は、意思決定支援の際に知っておくと良い内容だろう。 
 私は、日本認知症官民協議会の取組みに注目しているが、民間との連携の難しさを感じているところである。今回の「マンションと孤立死」は民間からの発信の好事例と思う。同社には、今後も積極的な取組みを期待したい。

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