第16回 マンションみらい価値研究所セミナー「超長期修繕計画から見いだせるこれからのマンション」

3月22日(金)、第16回となるオンラインセミナーが開催された。今回はゲストに明海大学不動産学部の藤木亮介准教授をお招きし、「超長期修繕計画から見いだせるこれからのマンション」と題しお届けした。司会とナビゲートは、私、マンションみらい価値研究所・所長の久保依子。
 
藤木先生が研究されている80年以上という「超長期修繕計画」に関して、考え方・メリット・今後の課題はどんなところにあるのかを教えていただいた。
 
藤木先生は、東京電機大学工学部建築学科を卒業後、社会人生活を送りながら同大学の大学院にて修士課程を修了。さらに東洋大学大学院工学科研究科に進学し博士号を取得してされた。その後、お父様が創業したマンション保全のコンサルタント業である株式会社スペースユニオンを経て、現在の明海大学不動産学部で教鞭を振るわれている。
 
この経歴を見ておわかりいただける通り、藤木先生は、学術的な理論だけでなくマンション保全のコンサルタントを経験したという学問と現場の両方を知る方である点が異色の研究者である。
 
その藤木先生に、実務家であり研究者という視点から「超長期修繕計画」の必要性について語っていただいた。

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藤木先生は2021年に「マンションにおける超長期修繕計画を活用した修繕費支出の高額化予測」という論文を発表されている。これによると、「修繕積立金の値上げ」という課題に対して急激な値上げには管理組合として合意形成に至ることができない場合が多いと説かれている。この“パターン”から抜け出すために考えたのが「超長期修繕計画」であり、その年数は80年以上の期間で計算されているという。

その説のとおり、先々に起こり得ることを予め見越した上で対応できるようにすれば、将来を予測し、長い期間をかけて資金の準備ができるようになるだろう。

ひとつ疑問になるのが「80年」という数字だが、これは現代の長寿命社会を見越した上でのもので、人生設計の一つの指針にできるのではないかと考えた数字だそうだ。確かに人生の長さを考えると、今の標準的な期間である30年の長期修繕計画の考え方では、短すぎるのかもしれない。

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こうした考えを実際に落とし込み、築37年から築125年まで89年間のシミュレーションを行った事例を藤木先生よりご紹介いただいた。
80年先の話とは夢のまた夢のような気がしていたが、試算してみることでマンションの将来の選択肢が広がることがわかった。

次回は4月18日(木)16:00から「マンション管理の法改正の移り変わりとこれからの課題」と題し配信を予定している。

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