最新!マンション標準管理規約の変遷~昭和57年版から令和7年版までの新旧対照表~(2025年11月更新)

2025.11.06更新
2025年10月17日、ついにマンション標準管理規約の改正版が公表された。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
国土交通省のホームページでは、これまで以上に各マンションでの管理規約の改正を推奨している。区分所有法の改正に伴いマンション標準管理規約も大幅に刷新されており、現行法をもとにした管理規約では、2026年4月の新区分所有法の施行以降、決議のたびに「法律と合っているか」を確認しなければならず、大変な手間がかかる。そのため、新法に合わせて管理規約を改正しておくのは必須だろう。
まだ築年数が浅いマンションや、最近、管理規約を標準管理規約に合わせて改正したばかりのマンションは、国土交通省のホームページにある新旧対照表を見れば、どの部分が改正されたのかが分かるだろう。しかし、長年にわたり標準管理規約に合わせた改正をしていなかったマンションでは、これまでにマンション標準管理規約は何度も改正されているため、改正箇所がどこなのかを判別するのも困難だろう。
そうしたマンションのために、初代の昭和57年(1982年)のマンション標準管理規約(旧「中高層分譲住宅標準管理規約」)から令和7年(2025年)の最新の改正版までの歴代のマンション標準管理規約を対照表にまとめた。
なお、マンション標準管理規約(単棟型)はこれまでに以下の10回の改正が行われている。
改正回数 | 西暦 | 和暦 |
1 | 1982 | 昭和57年 |
2 | 1983 | 昭和58年 |
3 | 1997 | 平成9年 |
4 | 2004 | 平成16年 |
5 | 2011 | 平成23年 |
6 | 2016 | 平成28年 |
7 | 2018 | 平成29年 |
8 | 2021 | 令和3年 |
9 | 2024 | 令和6年 |
10 | 2025 | 令和7年 |
昭和57年版から令和7年版までの標準管理規約の変遷
※このPDF以外の形式での配布予定はない。
※このPDFファイルはパソコン等の画面上で確認していただくことを前提に作成しているため印刷には適していない。
1. 令和6年度の対照表作成の経緯
中高層共同住宅標準管理規約、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という。)は、昭和57年に公表され、その後、昭和58年、平成9年、平成16年、平成23年、平成28年、平成29年、令和3年と改正されている。しかし、昭和57年、昭和58年、平成9年版の標準管理規約は、筆者らが検索した限りでは、国土交通省、旧建設省のホームページからもすでに削除されており、確認することができなかった。
平成16年以降の標準管理規約は、改正前と改正後の新旧対照表は、国土交通省のホームページにも、添付されている。しかし、複数回をまたがる対照表は公開されていない。それ以外のホームページ上でも、すべての改正をひとつにまとめた形式ですべての改正を対象にした資料は筆者らが検索した限りでは存在していない。
2. 昭和57年、昭和58年版の標準管理規約
当社受託管理マンションのうち、昭和57年、昭和58年当時に原始規約が作成されたと思われるマンションを調査した。昭和57年版は翌年に改正されていることから、これを参考にしていると考えられる規約はなかった。
昭和57年版は、区分所有法が改正になる前に公表されたものであり、昭和58年版と下記の2点が大きく異なっている。

3. 標準管理規約の追加を数値化
標準管理規約の「分量」の推移を測るために、改正年毎の「条」、「項」、「号」のそれぞれの数を数値化した。
平成16年版では、「電磁的方法が利用可能である場合」が追加され、項の数が20%増加している。また、平成29年の最新版への改正時も17%以上の増加率である。この2回の改正が大きかったことが分かる(図1参照)。

4. 改正のない条文(昭和57年当時から令和6年までの間)
昭和57年当時から令和6年までの間で、改正のなかった条文は下記の17条文のみである。それ以外の条文は何らかの改正が加えられている。
第1条 (目的)
第4条 (対象物件の範囲)
第8条 (共用部分の範囲)
第13条 (敷地及び共用部分等の用法)
第14条 (バルコニー等の専用使用権)
第19条(昭和57年)・第20条(平成29年) (区分所有者の責務)
第29条(昭和57年)・第30条(平成29年) (使用料)
第30条(昭和57年)・第31条(平成29年) (組合員の資格)
第37条(昭和57年)・第39条(平成29年) (副理事長)
第40条(昭和57年)・第42条(平成29年) (総会)
第53条(昭和57年)・第56条(平成29年) (会計年度)
第54条(昭和57年)・第57条(平成29年) (管理組合の収入及び支出)
第56条(昭和57年)・第59条(平成29年) (会計報告)
第58条(昭和57年)・第61条(平成29年) (管理費等の過不足)
第59条(昭和57年)・第62条(平成29年) (預金口座の開設)
第60条(昭和57年)・第63条(平成29年) (借入れ)
第65条(昭和57年)・第71条(平成29年) (規約外事項)

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関連情報 参考文献
●「マンション法」読本 丸山英気編 1984年5月 三嶺書房
● 住宅金融月報 1982年 №363 住宅金融公庫
● マンションの法律第3版 玉田弘毅著 1986年12月 一粒社
● 宅地建物の取引の校正と流通の円滑化を図るために宅地建物取引業制度上講ずべき措置についての第二次答申 1982年 住宅宅地審議会

マンションみらい価値研究所研究員。一般社団法人マンション管理業協会出向中。現在は、マンションみらい価値研究所にて、防災・減災に関する統計データの活用や居住者の高齢化や災害の激甚化などの社会的な課題について、調査研究や解決策の検討を行っている。

マンション管理士、防災士。不動産会社での新築マンション販売、仲介業を経て、大和ライフネクストへ転籍。マンションフロント担当、賃貸管理担当などを経験したのち、新築管理設計や事業統括部門の責任者を歴任。一般社団法人マンション管理業協会業務法制委員会委員を務める。著書『マンションの未来は住む人で決まる』が第15回不動産協会賞を受賞。






