2018/12/15団地・マンションリノベーション総合展(東京ビッグサイト)で、「2つの老い」をテーマに講演11月20日(水)から3日間に亘り、東京・江東区の東京ビッグサイトで「第2回 団地・マンションリノベーション総合展」が開催されました。このイベントは、団地やマンションの管理組合の方を中心に、今後のマンション管理の在り方や現状の悩み・課題に対するヒントをみつけることを目的としたものです。このイベントの中で、マンション管理士の丸山肇は、「あなたのマンションの将来設計」と題した講演を行いました。高齢化が進んだ現代の日本、同時に、昭和のはじめに起こった団地・マンションの建設ラッシュによる経年劣化という「2つの老い」が課題となる中、その解決策として「世代が変わってもこのマンションに住んでみたいと思えるようなマンションをつくりこめるかどうかがカギ」と解説。その実現のためにはコミュニティをしっかり形成し、価値観を共有できるようにしていく必要性があることを訴えました。さらに、マンションに対する永住志向の高まりをデータを使って紹介する中で、「マンションを終の棲家として全うしたとしても、独立した子供たちは別に暮らしているケースが多く、相続して住むケースは少ない」と、若い世代への継承活用の難しさを解説。親世帯の家を相続するにあたり、子世帯は「管理費や固定資産税を重荷に感じ、相続放棄をする事例も出てきている。管理費などが不足し、マンションの管理が回らなくなる悪循環に陥るというのが最大のリスク」と、空き室増加がマンション運営に大打撃を与えると問題点を指摘しました。入居者と建物という2つの老いの解決には、世代を超えて価値が見出せるマンションになるよう将来設計することが重要であり、そのためには●2巡目の長期修繕計画をマンションのスタートラインにする●次世代につなぐ組合運営の主役の育成●マンションの2つのポテンシャルへの理解●コミュニティ全体での共有と理解の優先●持続可能性をゴールに据えるといった項目を提案しました。いずれにせよ、長期的なビジョンを描いた上で長期修繕計画を見直しするとともに、リノベーションという意識を加えることも大事であり、「2巡目の計画は将来設計の最大ツールになる」と話しました。マンション住民同士で価値観を共有するためには、まず現状をしっかり分析して状況を把握し、その上でひとつの選択肢に縛られないよう、情報と手法を用いて合意形成を図っていくことが大切とし、「マンションを理解していこうという強い思いがコミュニティとして高まっていかないと将来設計を描くことはあり得ない」と話しました。