癒しの同居人~ペットと暮らすマンション~

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癒しの同居人~ペットと暮らすマンション~

ペット可のマンションが増加?

 

 ここ数年、筆者の周りで犬や猫などのペットとマンションで暮らす人が増えてきた。犬好き・猫好きの身としてはうれしい状況である。
たとえば、彼らはそれぞれ下記のようなペットを飼っている。

  • 犬2匹(チワワ)
  • 猫2匹(ミックス、ブリティッシュショートヘア)
  • 犬1匹(フレンチ・ブルドッグ)
  • 犬1匹(トイ・プードル)
  • 犬1匹(ミニチュア・ダックスフンド)

 

 これは、ペット可のマンションが増えてきたからだろうか?それともペットを飼っている人口が増えてきたからだろうか?
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査によると、ペットを飼っている人の割合は、2021年と比べて2024年の方が増えている(図1)。

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参考:https://www.cross-m.co.jp/report/trend-eye/20240424pets

 

国土交通省が実施した「令和5年度マンション総合調査」※1によると、ペット飼育に関する使用細則・協定等の記載がある管理組合は70.5%となっている(表1)。

C212_3.png ペット可のマンションの割合は、当該調査には該当する項目がないものの調査項目としてはなかったようであるが、「平成30年度マンション総合調査」※1には、飼育ルールの内容に関する項目があった(図2)。

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 「種類・サイズ・共用部分での通行形態等を限定し、認めている」が49.3%、「全面的に認めている」が4.1%で、合計し53.4%のマンションがペット可であった。「禁止している」が40.3%となっているが、ペットを飼っている人が増えていることを考えると、2026年現在では、もう少しペット可のマンションが増えているのではないだろうか。

 また、同じくマンション総合調査から、平成15年度~令和5年度までの「トラブルの発生状況」のうち「ペット飼育」を原因としたトラブルの発生率をグラフにまとめた(図3)。平成15年度では、46.6%だったのに対し、令和5年度では14.2%にまで落ち着いてきている。
 なぜだろうか。
 マンション標準管理規約によって、ペットの飼育を認めるか認めないかを規約で定めることが求められるようになったので、ペットのいない区分所有者がペット可であることを知ったうえで入居していることも理由の一つだろう。また、ペットと暮らす側の知識やマナーが向上していることも理由として考えられる。
C212_5.png

平成15年度:N=1,058 平成20年度:N=2,167 平成25年度:N=2,324 平成30年度:N=1,688 令和5年度:N1,260

使用細則とペットの大きさ

 

 では、ペット可のマンションではどのような使用細則が定められているのだろうか。
 前述のマンションで暮らしている人たちからは、
・2匹までしか飼えない
・エレベーターでは抱っこしないといけない
・小型犬に限定される
という話も聞いていたが、どのような管理規約・使用細則が多いのかを実際に見ていこう。

 マンション標準管理規約」によると、以下のように示されている。

マンション標準管理規約(令和71017日改正) 単棟型第18条関係コメント

② 犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。基本的な事項を規約で定め、手続等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である。
なお、飼育を認める場合には、動物等の種類及び数等の限定、管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法並びに共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置等の規定を定める必要がある。

③ ペット飼育を禁止する場合、容認する場合の規約の例は、次のとおりである。

(ペット飼育の禁止)
第○条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。

 

(ペットの飼育)
第○条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。

 本コラムでは主に、犬、猫に注目して考察を進めていきたい。
 大和ライフネクスト株式会社が保有するデータでは、以下のような使用細則があった。

  • 成長時の体長50cm以下までの犬・猫
  • 成長時の体長約50cmまで。犬・猫は合計2匹まで。
  • 成長時の体高40cm程度・体重12kg程度まで
  • 成長時の体長(哺乳類の場合は胸骨端から座骨端まで)が80㎝以内
  • 小型犬・猫は2匹まで
  • 1階住戸のみ大型犬(50cmを超える犬)の飼育可

 

 猫は、種類によって違いはあるものの、だいたい体重は2.5kg~6.0kg、体長は30~50㎝であることが多いが、犬は種類によってかなりの差がある。犬で「成長時の体長50cm」というのはどういった犬種なのか見てみたい。 (※2)
 犬籍登録を行う一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)で、犬種のサイズ感などを見てみると、
なんとJKCでは、「小型犬」「大型犬」などの大きさでの分類は定義していない。また【犬種紹介】のページから見られる犬種は全部見たが、サイズの記載は下記のみであった(2026年2月時点)。使用細則で使われている「体長」という表現はないのである。

体高
体重
肩部での体高
理想体高
キ甲の高さ
胸囲

 犬種のサイズ感で使用細則を作成する際は、上記も参考にしてみてもいいかもしれない。 
環境省の調査(※2)でも、「体長は、国際畜犬連盟のインターネットサイトに記載されていた『体長は体高より〇%長い』等の記述を基に、体高から計算された値である。」となっていたので、体長は、参考的な数値なのかもしれない。

日本人は、小柄な犬が好き?

 JKCが発表している「2025年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数」では、1位から10位までを見ると、小柄な犬種が多い(表2)。スタンダード・プードルも含めたプードルが1位だが、その内訳のなかでも、特に小型であるトイ・プードルだけで1位となる多さである。JKCではすべての犬種の体重目安が載っているわけではないので、犬に馴染みのない方にはピンとこないかもしれないが、1位から10位まですべて、抱っこできるくらいのサイズ感であり、環境省の調査(※2)によると、成長時の体長約50cmまでだろうと予想される(スタンダード・プードルは除く)。マンションに居住する方も一軒家に住む方も、抱っこできるサイズ感の犬を飼っている人が多いと推察される。

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参考:https://www.jkc.or.jp/registr-statistics/

 筆者が以前住んでいたニューヨークでは、大型犬をよく見かけた。海外や他州から自分の犬を連れてきている学友も多く、なかにはセント・バーナードを飼っている人もいた。何度か会ったが、とてもおっとりした性格だった。ただ、家で寝そべっている姿はリビングのソファより大きく、その迫力は今でも印象に残っている。
(【世界のマンション~ニューヨーク編~】ニューヨーク住宅事情回顧録)


C212_7.png アメリカでは大きな犬を飼っている人が多いのだろうか?アメリカンケンネルクラブ(AKC)が発表している犬種ランキングでは、日本との違いが見られた。ダックスフンドとプードルがどのタイプを指しているのかわからないが、その2種を除いた8種のうち、筆者が抱っこできそうなのは、フレンチ・ブルドッグとビーグルくらいである。ということは、10種のうち筆者では抱っこできない犬種が少なくとも6種いるということである。

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参考:https://www.akc.org/expert-advice/dog-breeds/most-popular-dog-breeds-2025/
体重、体高はJKCを参照

 どうりで街中で大きな犬をよく見かけたわけだ。しかし、ニューヨークの住居が日本より広いとは言えないので、住環境だけが大きな要因であるとは考えにくい。
 犬は散歩が欠かせないため、大きな犬を飼うには、どうしても飼い主側の体力なども視野に入れるのだろう。日本人の平均身長が「男性:167.7cm」「女性:154.3cm」(20歳以上の平均)※3であるのに対し、アメリカ人の平均身長は「男性 175〜177cm前後」「女性 162〜163cm前後」※4と、10㎝近く違いがあることを考えると、アメリカで大きな犬が好まれるのもなんとなく想像がつくような気もする。

ペットと暮らすマンション

 犬や猫を迎えて、その種類や両親から予想された体型より大きい・小さいということはよくあるだろう。しかし、使用細則で規定しているサイズより大きくなったからと言って、成長後に飼育NGになるのだろうか。
 また、大きな犬を飼いたかったが、使用細則によって小さな犬にするということもあるだろう。だが「小さい犬だから抜け毛が少ない。」「小さい犬の方が静かだ。」などということを一概に言えるわけではない。

 マンションという場には、動物が好きな人だけでなく、苦手な人も暮らしている。お互いに配慮しながら、ペットを「共に暮らす仲間」としてどう受け入れていくのか。相互に理解を深めていけるような未来を目指していきたいと思う。

 JKCのサイトにはこんなことが書かれていた。

犬種標準とは、それぞれの犬種の理想像を作りあげて記述したものであり、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするものです。この事項から外れることがあっても、その犬種として、家庭の良き伴侶として飼育されることに問題はありません。

 

 どんなサイズでも、それはそのペットの個性であり、ともに暮らすと決めた瞬間から、かけがえのない存在となる。そのような共に暮らす大切な仲間として、ペットと暮らしやすいマンションが今後さらに増えていくことを願っている。

 

 最後に、この記事を書くにあたりペットの情報や、お写真を提供いただいたみなさん、被写体のみなさん、ありがとうございました。


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<参考記事>
マンションみらい価値研究所 ペット問題は解決したのか

※1 国土交通省 マンション総合調査
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html
※2 環境省 犬猫の大きさと流通しているケージに関する調査結果
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_06/ref02.pdf
※3 s-Sat政府統計の総合窓口 国民栄養・健康調査
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003224177
※4  World Population Review  Average Height by State 2026(州別平均身長)
https://worldpopulationreview.com/state-rankings/average-height-by-state

久保田 麻記子

執筆者

久保田 麻記子 マンションみらい価値研究所

Webプロモーションの経験を活かし、マンションみらい価値研究所のWebサイト・セミナー運営も担当している。
無類の動物好き。

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