中古マンション、購入の見極めポイントはこれだ!

サステナビリティ
中古マンション、購入の見極めポイントはこれだ!

マイホーム購入は今どき中古もあたり前

念願のマンション購入の検討。今の時代は新築だけでなく、中古も積極的に検討される方も多いのではないだろうか。郊外であれば新築マンションでも予算内かもしれないが、都心ではなかなか手が出ない。しかし好立地を求めて、中古で都心部のマンションの購入を検討する人も多いはずだ。

木造住宅とは異なり、鉄筋コンクリート造で建てられたマンションの構造躯体の寿命は非常に長い。そのため、築30年から40年のマンションも流通している。とはいえ「中古」だからこその注意すべきポイントが、ぴんと来ない方も多いのではないだろうか。

中古だからこそ マンションは管理を買え!

中古マンション購入のポイントを考えてみよう。どんな視点で見るのかということなのだが、中古マンションは判断材料には事欠かない。それは、マンションを維持管理していく管理組合としての歴史があるからだ。これまでにメンテナンスはどのくらい適切に行われてきたのか、またこの先どんな工事が予定されているのか。管理組合のお財布事情(修繕積立金の残高・収支)はどうなっているのか。マンション内コミュニティの関係性は良好か、など。

これらのポイントは、すべて「管理の品質」に関わる重要な判断材料になる。マンションは「管理を買え」とよくいわれるが、立地や建物の外観、お部屋内(専有部分)などの表面だけではなく、どんな管理がなされてきたのかの歴史も意識してもらいたい。

耐震性にも注目してみよう

中古マンションを買う時には、築年も注意が必要だ。一般的に1981年以前に竣工したマンションは、旧耐震基準で設計されているマンションが多い。竣工年月が微妙な場合は、建築確認交付年月日が1981年5月31日以前であれば、旧耐震基準で設計されていると考えて良い。建築確認交付年月日が販売時のパンフレットなどに記載されているので確認すべきポイントだ。

旧耐震基準とは、震度5強程度に対して建物が倒壊しないように定められた基準だが、新耐震基準では、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。

旧耐震基準で設計された建物が全て震度6以上に耐えられないという訳ではないが、正確なところは耐震診断をしてみなければわからない。耐震診断実施の有無やその結果や耐震補強工事を行ったかどうかも重要なポイントになるだろう。けして安い買い物でもなく、住み永く暮らすことを考えれば、安心・安全は見過ごせないだろう。マンションの購入前に確認することができるので仲介業者に尋ねてみてほしい。

総会議事録は情報の宝庫だ!

また、築30年から40年を経過している場合、ひょっとすると建替えや建物を取り壊して敷地売却を検討しているケースも稀にあるかもしれない。末永くここで暮らそうと思っている人にとっては、せっかくマンションを購入してすぐに建替え・売却……なんてことになったら大きく予定が狂うことにもなる。管理組合がどのような検討をしているかは、総会議事録を見ればわかる。管理組合は区分所有者のほか、マンションの購入予定者など利害関係がある人の請求があれば、議事録を閲覧させなければならない。この場合は管理会社に依頼して、数期分を開示してもらうと手っ取り早いかもしれない。

長期維持をしていくためには、今後もメンテナンスし続けられる財政的な体力があるかどうか、すなわち修繕積立金は潤沢かどうかの確認が重要になる。仲介業者は買主に対して重要事項説明を行うことが義務付けられいて、その中に修繕積立金、管理費の金額、滞納額などの報告が含まれている。総会議事録と合わせてしっかり確認すればマンションがどんな状況かわかるはず。

総会議案書は情報の宝庫なのだ。

お目当てのマンションを見学しに行った際のチェックポイントもある。日常的な管理の品質を見極めるポイントとしては、管理員の対応・清掃状況・管理会社の評判・駐輪場の整頓状態や駐車場の管理状態。細かく言えば、ひとつひとつに複数のチェックポイントはあるのだが、まずはあなた自身の感性でかまわない。管理員が親切そうで愛想が良い。隅々まで清掃が行き届いており薄汚れたところがない。自転車が乱雑でなく整然と整理されている、など。これらの観点も踏まえてチェックしてみてほしい。

一番大切なのは、管理組合の主体性とコミュニティ

私自身、資金面・ハード面などを吟味した上で中古マンションを購入したのだが、いざ管理組合の総会に参加してみたら管理組合内で訴訟が起きていた、という経験をしたことがある。管理組合の中で大きなトラブルなどが起きていないかという点も大切だ。素朴な言い方をすれば、同じ建物で末永く一緒に暮らしていくことになるわけだから、お住いのみなさんの雰囲気も大切になる。管理組合が管理会社任せでなく、主体的に管理運営を行っている。もちろん、全体で「良い管理」を目指すには、コミュニティで合意形成していける力も欠かせない。素敵なコミュニティかどうかという点も重要だ。総会議案書や仲介業者の重要事項説明書だけでは読み取れない点だが、マンションの見学の際に、すれちがう住民に「こんにちは」とお声かけしてみた時の反応や、コミュニティイベントなどが活発かどうか掲示板を覗いて確認すると、ひとつの判断の基準になることもあるだろう。

管理の品質とは、ハード面や管理会社の質だけではなく、管理組合活動やコミュニティなどのソフト面も非常に重要。「管理の品質」は、これから始まる新生活が楽しくて素敵なものになるかどうかを大きく左右する。中古マンションを買うときは、ぜひ「管理の品質」にこだわり、「管理を買う」気持ちで見極めてほしい。

畠中 一江
執筆者畠中 一江

一級建築施工管理技士・マンション管理士。大学で建築学専攻し、マンション防災や帰宅困難者対策を研究。高齢化や人口減少を迎え建物を永く維持管理していく大切さを感じ、管理会社である大和ライフネクストに入社。修繕工事部門で現場管理や工事監理を行う。現在は次世代ソリューション推進課にて高経年マンションや防災に関するサービスに従事。

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